越冬交代
47次と48次の越冬交代の日.今夜はネットがつながらないしらせに引き上げるので,本丸にいるうちに,たぶんこんな気持ちになるんだろうなぁと予想しながら,引き上げ便に搭乗する瞬間の情景を歌に託して書いておくことにする.
なごり雪(48次追いコンバージョン)
(1) ヘリを待つ君の横で
ぼくは時計を気にしてる
季節外れの雪が降ってる
「昭和基地で見る雪はこれが最後ね」と
さみしそうに君がつぶやく
なごり雪も降る時を知り
ふざけ過ぎた季節のあとで
今 夏が来て君はきたなくなった
去年よりずっときたなくなった
(2) 動き始めたヘリの窓に
顔をつけて
君は何か言おうとしている
君のくちびるが「さようなら」と動くことが
こわくて下を向いてた
時が行けば きれいな僕も
きたなくなると 気付かないまま
今 夏が来て君はたくましくなった
去年よりずっとたくましくなった
(3) 君が去った昭和に残り
落ちては凍る 雪を見ていた
今 夏が来て君はたくましくなった
去年よりずっとたくましくなった
去年よりずっとたくましくなった
去年よりずっとたくましくなった
昭和基地よ,さようなら.
仲間達の日々,ありがとう.
南極大陸よ,また来るその日まで.
#しらせに乗船したら,昭和基地と無線LANでつながっていたので,以下船内から追記.
最後の余韻に浸る間もなく,朝から撤収作業.最後の私物をトラックにつんで越冬交代式に臨む.19広場の昭和基地の看板をはさんで左右に両隊が整列し,正面で握手を交わしながら左右を入れ替わる.これで越冬交代完了.50年前になぞられれば,我々は国際地球観測年の本観測を控え,予備観測の任を担った第1次隊に相当する.残念ながら本観測時の第2次隊は越冬を断念しなければならなかったけれど,48次隊はちゃんと越冬に入れそうだ.IPY2007-2008の初年度を担う重要な隊として無事に任務を果たされることを祈念したい.
JARE50周年を記念して,1次隊から現在までの観測隊員の名前が刻まれたプレートが各隊次ごとに作成された.隊員経験者で希望する人にも販売するという.今回,そのプレートを昭和基地に掲示すべく,48次隊が日本から持参しており,その除幕式も行われた.かつて活躍した犬たちのプレートもある.これから毎年越冬が成立するたびに,一つずつプレートが増えていくことになる.48次に関しては,越冬成立前でまだ2週間以上はあるけれども,この除幕式にあわせて一緒に掲示されることになった.
式の後,ヘリでピックアップされてしらせに乗船.さっそく,第4船倉に入っている私物と免税品を船室まで運び上げる.
しらせの決定的な欠陥は,観測隊が使用する1甲板にエレベータの出入り口がないこと.ヘリポートのある01甲板に下ろされた物資は,そのままエレベータで2階下の2甲板にある第4船倉へ格納されるのだが,2甲板から1甲板へは狭い船内階段と通路を使って,手作業で荷物を運び上げなければならない構造になっている.特に何かのポリシーがあってこうなっている訳ではなく,設計時の仕様指定ミスらしい.おかげで,観測隊はいつも,物資の出し入れに,手作業を伴う作業を強いられてきた.新造船には01-1-2甲板をつなぐエレベーターがちゃんと装備されていることを期待したい.


