セルロン・フリーズドライ
南極OB会札幌支部で,49次隊の壮行会.北海道からの越冬はないが,目玉のトラバース隊に二人,セルロン隊に一人参加.杉山・榎本隊員からトラバース隊,阿部隊員からセルロン隊の概要の説明を受ける.トラバース隊は火曜日に出国し,一週間後の土曜日にはもうS17にいる予定だという.南極もずいぶん近くなった.
阿部さんからはさらに,10/18に極地研での準備作業中にみかけたフリーズドライの現物が披露された.写真はハンバーグのフリーズドライ.手にとってみると,フワッと感じるほどの軽さ.紙でできているのではないかと疑ってしまうくらい.調理隊員経験者にも同行してもらって,長野の会社で特別に開発したのだとか.2ヶ月以上のテント生活の要となる食事だけに,品目もたくさん用意されたようで,全部で1万食分だとか.
沿岸で野外調査をしていても,生肉のブロックや業務用調味料の大型パッケージなどをそのまま渡されるような状況に,食料の軽量化・簡易化はもう少しどうにかならないものかと,しらせや極地研の方針にはいつも疑問を抱いてきたが,一向に改善される気配はない.
今回のセルロン隊は,雪上車も小屋もない極限の野外調査形態という特別な形式だから,必要に迫られて実現したことだろうと思うが,食料だけにとどまらず装備やロジスティックス全般についてもこれぐらいのショック療法をとらないと,やりかたを変えるのはなかなか難しいのかも.また,こういう工夫や技術の進歩を積極的に取り入れていく姿勢がなければ,本質そのものの進歩もないし,観測事業から生み出されるあたらしい要素もなにも生まれないのではないかと思った.初期の観測隊は多分に探検的要素が強かった.だから,そういう創意工夫や新しい要素を積極的に試して取り入れていく姿勢があったはずなのに,いつの間にか,30年以上も前に確立されたやりかたの繰り返しという,官僚的なやりかたに陥ってしまっている.
トラバース隊も,今回はスエーデンとの共同調査だ.文化もやり方もちがう日スの両隊員が3000kmもの距離を雪上車で一緒に旅をする.その交流の中で,お互いのやり方を見聞し実体験する機会にもなるはず.さて,日本のやりかたを体験するスエーデン人は,どのような感想をいだくのだろうか.
トラバース隊とセルロン隊の帰国報告を聞ける日が待ち遠しい.