南極 一覧

記憶とは何か、気概とは何か

連休中の実家の片付けで掘り当てたMacintosh Plusですが、東京の研究室に送って、久しぶりにケースを開けてみました。実はこの筐体を開腹するには、奥まった穴の先にあるネジを外すための「なが〜いトルクスドライバ」が必要です。そんな専用品もなぜか自分の工具箱にはいっていたりします。こういう「専用道具」を後生大事に取ってあるあたりに、我ながら、Macユーザー40年歴の業の深さを感じます。
 開腹してまず見てみたかったのは、噂に名高い、筐体の内側に刻まれたMacの製造スタッフたちのサインです。量産品の裏側の、外からは決して見えない場所に、作り手たちの痕跡がそのまま残っている。伝説のサインを実際に目の当たりにしてみて、これは単なる工業製品ではなく、「自分たちの作品を世に送り出す」という気概の時代だったのだな、と胸を打たれました。そして、このコンパクトな筐体の中に、ブラウン管、ロジックボード、電源基板が驚くほど密に詰め込まれているのを見て、「よくこれをこのサイズに収めたな……」と感心することしきり。
 ケースの内側に隠されたサイン群を見て、南極基地の梁に残された歴代観測隊の銘板のことをふと思い出しました。「ここに、確かに人がいた」という痕跡であり、南極観測を絶やさずにつないできたリレーランナーたちの存在の証でもありました。それらを見るたびに、自分たちも先輩たちに負けず、基地と観測を守り抜かねば……と、気持ちを引き締めたものです。噂によれば、そうした銘板の類いも、近年の基地改修の過程ですっかり一掃されてしまったのだとか。時代の流れといえばそれまでですが、せめて誰かの手元に、記憶として戻っていてくれたら、とも思います。
 Mac Plus開腹の儀に際して、記憶とは何か、気概とは何か……そんなことを、しばらく考え込んでしまいました。

JARE70周年

1956年に第1次隊が出発し年明けの1957年に昭和基地が開設された日本の南極観測は今年で70周年を迎えます。国立極地研究所を中心に記念事業が実施されますし、7月からは日本科学未来館にて特別展「大南極展」が開催の予定です。
JARE50周年のときには私は昭和基地にいました。当時科学未来館の館長をされていた毛利衛氏らの視察団を昭和基地でお迎えしたのが懐かしいです。そのときは上野の科博で南極展が開催されていましたが、その会場からの衛星回線中継で生まれたばかりの息子と対面させてもらいました。あの越冬中に生まれた息子ももう成人です。月日のたつのがなんと早いこと...

海自が南極観測から撤退

うすうす聞いてはいましたが、ついに「ふじ」就航以来砕氷船を運航してきた海自が南極観測から撤退ですか...記事にもあるように、運航を引き継ぐJAMSTECのほうが柔軟に事業計画の策定することが可能なのは確かだろうとは思います。また、これまでの知見を生かすために経験ある自衛官を約30人程度支援派遣するとのことなので、そこも不安はなさそうです。いっそのこと、昭和基地の運営・管理も民間に委託にしてもよいのかも。ペンギン饅頭号の登場も夢ではなさそう。

3年前

昭和基地の隊長室で書き初めしたのがつい先日だったように思われます。11〜12月に3連チャンで襲来した違例のブリザードですっかり埋もれてしまった基地の掘り出しに苦労して、なんとか夏オペに間に合わせたすえに迎えた年明けだったのでした。

Nature論文

ようやくリリースされました。私もお手伝いさせていただいた論文です。

Aurora Australisの思い出

2020年に退役したAurora Australisの精密模型がタスマニア海洋博物館に収蔵されたようです。その記念に、Aurora Australisの思い出の写真を募集しているそうです。JARE関係者からもいかがですか?

Why did Endurance sink?

面白い論文を読みました。「Why did Endurance sink?(なぜエンデュアランス号は沈んだのか)」Jukka Tuhkuri著、Polar Record(ケンブリッジ大学出版, 2025年)という論文です。日々の業務や身の回りのことですさんだ気分をちょっと転換してくれた気がします。
南極海に沈んだエンデュアランス号が2022年末に発見されたというニュースもありました。その発見の顛末を記録したナショジオのドキュメンタリー番組もおもしろかったです。この論文は、エンデュアランス号沈没の原因を構造力学的視点から再検証しています。注目すべき結論は、エンデュアランス号は従来言われていた最強の船(工学的に)ではなく、Fram号やBelgica号といった同時代の南極探検船と比較しても船体構造が弱く、しかもShackletonはその危険を承知で出航していた可能性が高いということです。2022年末の発見で確認された現物の破壊箇所でもそのことが裏付けられたようです。

南極観測船「ふじ」

大学役員のおつとめで校友会行事に出席するために名古屋に来ました。昨夜の会合で役員挨拶と南極に関する講演をすませて今日は一日フリーとなったので、帰りの新幹線までの時間で名古屋港に係留されている南極観測船「ふじ」に行ってきました。今年はふじが還暦を迎える就航60周年、名古屋港に来てから40年の節目です。その記念行事が夏に開催されるという案内が出ていました。
 日曜日の水族館は親子連れで大混雑していましたが、ふじはほぼ貸し切り状態で、避暑もかねてのんびり過ごしてきました。ブリッジや甲板にいると南極海を航海していた感覚が蘇ってきます。水族館でペンギンの泳ぎも観察できたので、すっかり南極リゾート気分になれて満足しました。

BEDMAP3


「タロとジロ」


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