チョウノスケ
青空が広がる行楽日和.連休中にどこにも連れて行ってやれない子供達の気を紛らわせるために北大構内を散歩.博物館の企画展示「花の日露交流史」を覗く.本企画には3人の主人公がいるのだけれど,私の目当てはその中の「長之助」さん.
私が専門としている寒冷地域の自然環境や第四紀の気候変動を研究している分野では,「長之助」さんの名を冠した「チョウノスケソウ」という植物が,ある意味で特別な存在だったりする.植物にはあまり詳しくない私が今回の企画展示に興味を持ったのは,ただ長之助さんのことを知りたいと思ったというのが正直なところ.
最後の氷河期が終わって現在の温和な気候につながる温暖化が進行しつつあった今から約13千年ほど前,その温暖化の歩みは突然中断し,地球は急激な寒冷化に見舞われた.このイベントは「Younger Dryas(新ドリアス期)」と呼ばる亜氷期として,多くの気候変動研究者の興味の対象となっている.氷床の融解水が海洋に一気に供給されたことが急激な寒冷化の原因ではないかとされていて,そのメカニズムを担う氷と大地との関係の解明が,私の研究のメインテーマの一つ.この「ドリアス」というのが,「チョウノスケソウ」という和名を持つ,寒冷地に生育する木本に因んで命名されている.
今日は,生誕地の岩手県からわざわざやってきた長之助像を拝むことができて良い一日であった.子供達は,訳も分からず,いつもの散歩ルートを連れ回されただけで,非常につまらなそうだったけれど...