物の居場所をもう一度探す作業

実家の片付けをしていると、ときどき「どうしたものか」と手が止まる品が出てきます。父たちの世代の交友範囲には、割と叙勲者が多かったようで、季節ごとに記念品が届いており、菊の御紋をあしらった品々が結構出てきます。こういうのは畏れ多くて処分してよいものか毎回迷います。
 この花立ても、その一つでした。菊の御紋入りなのに加えて、金属のシリンダーが三本だけ、という不思議な意匠です。普通の花を入れると、どうにも落ち着かない。処分するには惜しいけれど、活かし方も分からず、「保留箱」に放り込んでいました。
 ふと、この季節の菖蒲……いや、あやめ? の造花を挿してみたところ、急に腑に落ちました。すらりと立つ茎の線が、そのまま器の直立したフォルムと響き合うのです。なるほど、この花立ては、華やかな盛り花ではなく、一本の“姿”を見せるための器だったのでした。
 実家整理というのは、単なる廃棄作業ではなく、「物の居場所をもう一度探す作業」なのだなと思います。