VIP離昭和

image昨夜から15m/s超の強風.雲はなく青空の東風なので基本的にカタバなのだけれど,多少低気圧の影響もある様子.外作業とヘリフライトは一時見合わせ.

明け方まで続いた飲み会から,そのまま越冬最後の当直に突入.二日酔いの頭を抱えながら業務をこなす.

午後には風が止んでフライトも再開.VIP一行が昭和を離れ,日本への帰途についた.今夜はS17泊.手空き総員でAヘリで一行を見送る.

引率役の本吉さんが涙をこらえながら整列した見送りと握手して行った.氏が数年来手がけてきた企画が成功裏に実現した安堵感・第二の我が家とも言っていた昭和基地との別れなど,本吉さんの胸中には様々な感慨が渦巻いていたに違いなく,その気持ちは痛いほどよく分かる.南極が生み出す男の涙とはまさにこのこと.

本吉さんは白石47次総隊長と並んで,私が,学生時代から南極地学の先輩として頼ってきたお二人である.どちらも生涯を南極観測にかけてこられた研究者だ.昨年の最終便では,白石総隊長の涙もみたし,これでお二人の決定的瞬間をはからずもこの昭和基地でみることができた.

私も泣くのなら,こんなふうに泣いてみたい.男の泣き方までお二人に指南された感じ.でも,お二人のように泣けるようになるまでには,私はまだまだヒヨッコである.

VIP一行が去って,昭和基地本丸には越冬中にもどったような寂しい雰囲気が漂っていた.ほんの数日前のもとの人数にもどっただけだし,しらせも48次隊もいるのだけれどそう感じてしまうのは,客人が滞在していた華やかさが相当のものだったからであろう.そう思えるのも,客人の皆さんの人格や品位,観測隊への理解などがすばらしく,肩肘をはらないきさくさもあって,双方の心を動かすような交流ができたからに違いないと思う.今回のVIP訪問の人選は大正解だったと思う.