新年事始め
正月休み中に,NHKでやっていた爆笑問題のニッポンの教養・新年会スペシャル「2008年ニッポンの大問題」を見た.『《因果関係》と《相関関係》とは別物』という意見が一番印象に残った.物理屋さん・生物屋さん・哲学屋さんなど,異分野の大御所がそろった対談だけに(地球科学者がいないのは残念),科学哲学全般の話題へと発展するかな...と期待していたけど,この意見が出たところで続きは尻すぼみ.残念.
我々の分野は記載を中心とする帰納的・説明的・解釈的学問である.学院の体制の中で,多くの分野と関係を持ちつつ,異分野の議論にも参加することが多いが,そういう《相手》は《相関》を明らかにする論法をとる分野が圧倒的に多い.かたや我々の記載学的手法からは《相関》を見いだすことなどまずあり得ない.言ってみればいきなり《因果関係》への帰納的推論へといってしまうことも有るわけで,論法の異なる《相手》との相互理解が成立しないこともしばしば経験する.私個人がよく抱く感想は,《相関》は,一見きれいに結果を示すことができるけれど,それがホントに《因果》関係を示しているかどうかは別問題だよね,ってこと.たぶん《相手》も,我々の話を聞きながら,おいいきなり《因果》かい,なんて思っていることはかなり確実なんだけど...
まぁこんな感じで,今年もまた,学院内のこうした異分野間の関係が繰り返されていくんだろうな,と思う.
数ヶ月前に古本屋で買ったまま放置していた「白亜紀に夜がくるー恐竜の絶滅と現代地質学ー」(Powell,J.L.著,寺嶋英志・瀬戸口烈司訳,青土社)という本を読む.「漸進説」と「激変説」,「斉一説」の誤解,パラダイムシフトなど,恐竜の話以上に,現代地質学の科学としての本質について書いている部分のほうに惹き付けられた.一般向けにしては,思いの外きっちり書けている本だ.正月休みでのんびりしている時に,たまたま手をのばしたのだが,今年一年の始まりに読むには幸先の良い大当たりであった.