「劔岳」
我が心の山「劔岳」の映画を見てきた.反抗期気味の息子を無理矢理連れて行ったのだけれど,シアターの中を見回すと,まあ年齢層の高いこと.昨今の山の中とおんなじだ.
映画の出来はまぁまぁ.「CGも空撮もなし」というだけあって,ガチンコのロケ映像にずっぽり浸ることができる.劇場を出るころには,すっかり立山周辺を歩いてきた気分になった.
物語のカギとなる三つのルート(早月ルート,別山ルート,長次郎谷ルート)の区別は,このへんの地理に詳しくないと難しいかな,と思ったけれど,それぞれのルートから見える剱岳は,確かにその方向からの姿が描かれていて,現場に忠実.私などは,ストーリーはそっちのけで,今どのルートのシーンなのかをスクリーンに映っている剱の見え方で判定していたくらい.
劇中で柴崎が参考にしていた志賀重昂の「日本風景論」は,北大山岳館蔵書最古の和書でもある.劇中の表紙を見る限り本物の表紙をちゃんと再現しているっぽかった.劇中では書中に書き込みがいっぱいしてあったのだけれど,今からすれば「あ〜〜貴重な本になんてことを...」ってことになりそう.このような理解にも鑑賞前の知識が必要かな(マニアックすぎ?).
史実に基づいているとはいえ,あくまで「小説」の映画化である.本物の小島烏水はこの映画ほど剱に固執していたわけではない.強いていえばこの映画の中の小島は,JAC創始者に代表される当時の近代アルピニズムの先駆者達を集約・代表させた人物と考えたほうがよさそうである.
映画館から戻ってからというもの,息子は富山弁で話しかけてくるようになった.反抗期の彼にもそれなりに影響はあったみたい.