南極講演

数日前から北大で南極科学委員会国際生物シンポが開催されている.私は生物屋ではないが,南極,ということで極地研をはじめとして南極つながりの知人も多く来札しているので,ポスター会場などに顔を出したりしている(モグリ?).

午後,市民向け公開講座に出かけて,昭和基地とのテレビ会議や作家の立松和平氏の講演など聞いてきた.立松氏は,南極観測50周年を記念した企画で宇宙飛行士の毛利さんらと共に昭和基地を訪問しており,私は昭和基地で彼らVIP一行をホストしたという関係.

立松氏は科学者ではないので専門家としてのデータに基づいた説得力はないけれど,作家としての語り口や表現力には唸らされるものがある.昭和基地ではさんざん学術的な内容をレクチャーしたので,そのかいあってか,南極観測のサイエンスの面についてもそれなりに理解してもらえたようで,立松氏の語りを聞いていて,軸をはずすことがない安心感があった(ときどき間違えるけど致命的ではない).

私は職業柄,地球環境変動や温暖化の議論の考え方についてよく質問されるけれど,的確な回答を持ち合わせていないものの一人であることを常々自覚している.今日の立松氏の「語り」を拝聴して,その中の言葉にヒントを見つけた.それは「地球にやさしく」というけれど「地球は我々にはやさしくない」という言葉.これは,南極の厳しい自然を目の当たりにした立松氏の率直な感想であると同時に,アイスコアから読み取られようとしている地球の数十万年の歴史,そしてその激動の歴史の中で人類をはじめとして多種の生物が盛衰を繰り返してきたという事実がある,ということをわきまえた,そういう意味深長の言葉であるように思う.