西オングルルート完成

imageスノーモービルで西オングル島にあるテレメ小屋までのルート工作に出かける.小雪が舞って寒いのでパッパと作業したら午前中の仕事でルートは完成してしまった.アンテナ島周辺はまだ薄いところがあるけど,西の浦に出ると80cm以上の海氷.もうそろそろ雪上車もOKかな.

今回は指向をかえて海底地形図にルートを載せてみた.海氷に覆われた海水の下には陸上以上に起伏に富んだ地形が隠されている.前回の越冬時からそうだが,こういう海底地形を調べるのも私のメインテーマの一つ.この図でははっきり見えないけれど,点々と等間隔に記載されているのが実際の測定ポイントの深さで,7次隊以降断続的に地形越冬隊員によって一点一点海氷に孔を開けて音響測深器によって深さが測られてきた.位置も正確に出さなければ意味がないので,現在のようにGPSのなかった頃は孔の位置の測量だけでも大変な作業だった.

前回の越冬で私は西オングル島西方を担当し,一冬かけて600カ所の深さを測った.その結果を出した時点で測深の仕事は中断し,これまでの成果がコンパイルされて「オングル島周辺の海底地形図」として極地研から出版されている.

一点一点測る方法にはどうしても限界がある.範囲を稼ごうと思えば点と点の間隔が広くなって細かな地形はもれてしまう.かといって細かく測ると限られた時間で測定できる範囲は狭くなってしまうのだ.この地図にあるように,陸上の等高線の屈曲具合というか細かさに比べて海底のがおおざっぱなのはそのへんに原因がある.本来なら陸上なみかそれ以上に複雑な地形が存在しているはず.

今回のプロジェクトでは,その点を克服するための新兵器を持ち込んだ.サイドスキャンソナーである.これを使えば,ソナーから連続的に発せられる音波によって,測線方向にある幅をもった範囲の海底地形を細かく調べることができる.

氷河期には南極氷床は現在の位置よりも海側に張り出していた.そのときは氷床は海底に着底して地面を削ったり堆積物を残したりしていたはず.そういう痕跡を期待して,この冬には海底堆積物を採取したり,海底地形を明らかにしたりして,南極氷床の盛衰を復元しようとたくらんでいる.