夏の思い出1:ルンドボークスヘッタ編
写真コンテストに出す写真を選んでいて,思わず夏オペ中の写真に見入ってしまった.特に何もないときは野外調査の記事でも書こうかと思う.今回は,昨年12月の南極到着直後に,最初に訪れた露岩「ルンドボークスヘッタ」.
この湖は,ノルウェー語の地名を和訳したものにちなんで「丸湾大池」と呼ばれている.現在は氷床の末端が直接湖面に接して池を涵養しており,池自体は海からは切り離されて,そこから小川が海へと流出している.おそらく,6000年くらい前の高海水準期には池と海洋はつながっていただろう.実際,現在の海岸線から20mくらいの高さまでには,貝殻などの化石を含む堆積物が載っているのをみることができる.氷が張った池の上から,前次越冬隊の地学と今次夏隊の生物部門共同で,湖底堆積物採取が実施された.
これは採取した堆積物を半割にしたところ.緑色に見えるのは微生物の死骸が積み重なったもので,さわると羊羹のようにグニュグニュする.その間に白っぽい岩石質の細かな堆積物が挟まれている.おそらくこの縞模様は季節変化や数年単位の寒暖サイクルを反映した「年層」に近い物だと思われる.
氷床に近いだけあって,基盤岩の表面は新鮮.典型的な羊背岩が分布する.その上にはこれまたきれいなS-formもスーパーインポーズしていて,氷の浸食と氷底水流の浸食の関係を見るには非常に都合がよい.