一時帰還
午前中に,スカーレン方面へ向かうパーティに送ってもらって,修理した部品を携えたリーダーが合流.昨日開けた孔にROVを使ってワイヤーを通す.海水の透明度が悪く,なかなか目標の孔を発見できず時間がかかる.なんとかワイヤーを通していざ探査開始,という時になって,修理した部品と一緒に持ってきたケーブルが断線で使用を放棄していたほうのものだったことが発覚.昭和基地へ交換しに戻ることに...
私は,国内の仕事やらテレビ会議の準備やらで,もともと近々に一時帰投する予定になっていたので,ちょっと予定を早めて一緒に戻ることにした.当然,作業は中断.夕刻に基地に到着し,リーダーは正常なケーブルを携えて,とんぼ返りで2.5時間の道のりを引き返していった.
出発前にお別れしたドーム旅行隊の面々ともう一度夕食をともにすることができたのはもうけもの.
一緒に夕食後の皿洗いをしながら,宙空の院生隊員が,Super Science High School(SSH)の生徒を相手にテレビ会議をしたことを聞かせてくれた.「入念に下調べをしている彼らにはかなわない.でも,ちょっとつまらなかった」と言っていたので,「本や資料では知ることができない現場の臨場感,観測というものの実体や本や資料になるまでのデータ取りの大変さみたいなことを伝えるのが大事なんじゃないかねぇ」とアドバイスする.
私の言葉を彼がどう感じ取ったかは分からないけど,最前線で一緒に仕事をしてきた仲だから,気持ちは通じたことと思う.研究者魂やその実体を頭でっかちの高校生に伝えることを通じて,この若き研究者の卵の隊員も本物の研究者として育っていくんだなぁ,なんて年寄りじみた感慨にひたる.
彼の成長ぶりを見るのは,まるで昔の自分を見ているような気もするんだよねぇ...