停電

VIP一行は,バスラーの機材繰りの都合で今日一日S17に足止め.私のほうも,昨日の強風で決まっていた予定が延びてヒマになったので,個室にこもって論文と記事の原稿書きに専念.

午後,アラームとともに突然電源が落ちた.エンジンの重い響きがないので発電機が停まったのだとすぐに分かった.非常事態の発生である.

無線機をつかんで,とりあえず環境科学棟と衛星受信棟のブレーカーを落としに向かう.この経路で発電機のそばを通るので,停まっていることは自分で確認できた.

環境科学棟のブレーカーを落とした後,衛星受信棟に行って,無停電電源装置で生きている観測機器の電源を手動で落とす.さらに西部地区の地学棟に行って,潮汐観測機を発電機につないでバックアップ.その後,ふたたび東部地区の端にある地震計室に向い,水素メーザー関係の停止をチェック.

一時間ほどで復電が開始された.順番にブレーカーを上げていく作業.環境科学棟の復電を確認したあと,衛星受信棟の機器を再起動し,地震計室の水素メーザーの正常動作を確認.地学棟の潮汐機器は地学棟の担当にまかせることにした.

これまで一年間,一度も停電がなく「奇跡の越冬隊」と噂されかけていただけに,交代まであと二週間というところで事故停電してしまったのはなんとも口惜しい.機械隊員の申し訳なさそうな顔は見るに堪えずつらかった.

真冬の停電だったら命にかかわる重大事故になってしまうが,今回が事故発生とはいえ夏期だったことは幸い.夏オペの外作業をしている48次隊の中には,停電のことなど気にもかけず,仕事を続けていた現場もあるくらいだ.我々の事故への対応も,一度も訓練していなかったわりには整然と落ち着いて行われていたような気がする.

実際に事故停電を経験してみて,いろいろと勉強にもなった.電気が停まることへの備えは,観測系はかなり周到に整備されているかんじ.むしろ,復電時の優先順序が意外に重要だということを認識した.特に,ネット化した設備では,タイムサーバーやDNS,ルーターなどの起動順序がキモ.今回は,定常観測系の地区を優先して復電させたけれど,冬期であれば,水循環系など,凍結に弱い箇所の復旧が優先されることになるだろう.

越冬も残りあと二週間.これ以上事故をおこさないように気を引き締めなおしているところ.