疑似テレビ会議

image北海道陸別町で開催されている「しばれフェスティバル」で,南極の紹介コーナーがあり,そこにNiCTがからんで,昭和基地の電離層棟に設置されている監視用ネットカメラの画像を会場に送る企画が実施された.

このネットカメラは,昭和基地を映している公開Webカメラとは別に,NiCTが独自に業務用で設置しているものであり,普段は一般には公開されていない.また,南極教室で使っているようなテレビ会議システムでもないので,双方向のやりとりもできない.しばれフェスでの企画は,当初はカメラの画像を会場に配信するだけだったのが,電話を使って会場と音声だけやりとりして,電離層棟の監視カメラの画像とあわせて,擬似的にテレビ会議をやってしまおう,という計画までふくらんでしまったのである.

すでに,越冬交代して48次隊の業務になっていたが,これまでフェス側とやりとりしてきた都合上,47次の電離層隊員が中心となって,今日の企画をすすめることになった.私も北海道関係者ということで出演を依頼されて,今日の企画に出演.また,丁度昨日にドームから帰ったばかりの斉藤隊員が陸別出身ということで,急遽出演してもらうことになった.

陸別町といえば,北海道でも最も寒い地方のひとつで,今頃の時期には氷点下20度以下に下がることもざらにある.当然,夏の昭和基地よりもずっと寒い.この寒さを利用して,ドームで使う掘削機材の開発テストも行われた場所で,なにかと南極とは縁のある町なのである.

昨夜からの強風もなんとか収まり,電離層棟の南側入り口外に臨時に設置された屋外スタジオで,監視カメラに向かって受話器を片手に,陸別町の会場に語りかける.相手の反応が分からないので一人芝居をしているような不思議な感覚.斉藤隊員のご両親も偶然会場にいらして,はからずもドームから無事帰還の報告の会話も実現した.

やっぱり相手の顔がみえないテレビ会議は物足りない.これまで南極教室やライブステージを,そんなに苦もなくこなせてきたのは,日本側のいろんな人々に会うことができたからなんだなぁ...と,あらためて昭和基地の孤立環境にいる人恋しさの気持ちを認識した次第.

北海道と南極との関わりについては北海道新聞のこの記事に詳しい.