第四紀問題決着とBEDMAP
施設公開二日目.もう一度トーク.同じ内容を二日続けてやると,だいたい二回目は時間が延びる.油断してしまうのかなぁ...
このところ引っ越しの話ばかりなので,最新の情報を少し.

ここやここで書いてきたように,8年近く前からずーっと気にかけてきた第四紀境界問題は,国際層序委員会での投票により8割以上の賛成票を得てINQUA-SQS提案の「Gelasian基底 = 第四紀/Neogene境界 =鮮新/更新境界 = 2.588 Ma」が承認されたということで決着した模様.四紀屋としてはめでたしめでたし.でも反対票を投じた人の言によれば「呼び方は人間側の問題で,名前がどうだって岩石が変わったわけじゃない」ということ.自然科学上の真理は多数決で決めるようなことじゃないからねぇ...少数でも正しいときは正しいんである.温暖化問題なんかは,その典型例かも...
- “Quaternary geologists win timescale vote”:Published online 3 June 2009 | Nature 459, 624 (2009) | doi:10.1038/459624a
- “The Quaternary Period Wins Out in the End”:Science 5 June 2009 Vol. 324. no. 5932, p. 1249, DOI: 10.1126/science.324_1249a
- Subcommission on Quaternary Stratigraphy
ついでに,このNatureの同じ号には,南極氷床の起源に関する論文も掲載されている.
Bo et al.: The Gamburtsev mountains and the origin and early evolution of the Antarctic Ice Sheet, Nature 459, 690-693 (4 June 2009) | doi:10.1038/nature08024
1960年代から南極氷床下の基盤地形を調べるBEDMAPという国際プロジェクトが続けられてきていたのだけれど,この論文は,その不足を補う中国の最新の成果を使って明らかにされた南極氷床の起源に関するものである.ドームA付近のガンブルツェフ山脈を含む南極山塊が氷床の起源で,3,400万年前に谷氷河から成長を始めた,という解析結果が得られた,という.
BEDMAPについては,昨年出した本「なぞの宝庫・南極大陸 100万年前の地球を読む」にも詳しく書いたのだけれど,日本では極地研の藤田さんが担当されていて,この論文の著者にも入っている.
ドーム氷床掘削とかBEDMAPとか,大きな枠組みの中で仕事をされている日本人研究者の成果がNatureに掲載されるのは嬉しいものだ.
ただ,この論文,氷河地形発達に関しては,年代にしろ形態にしろ,あらい議論しかしてない.氷の下の谷氷河地形だからこそNatureネタになる,ということのようなのだが,表面に出ている氷河地形だとしたらこうはいかないだろう.なまじ見えてる地形を扱っていると,こんな大胆な議論を展開しようという気にさえならない.そこがかえって私なんかの弱みになっているような気もする.もっと大胆になってNatureに挑戦してみてもいいのかもしれない,と思ってみたり...