地形の年代
ナショジオのサイトにガンブルツェフ山脈の記事がのった.ここでも6/7に取り上げている.そのせいか,今日のアクセスはいつになく多い.
今回ナショジオのページに載っている図は初めて見るものだけれど,思っていたよりも詳細に山脈の地形が分かっているようだ.ただ,形成年代に関する議論はまだまだこれからという気がする.地形の形成年代というのは,最後にその形が形成された年代をいうのか,それとも,起伏のベースとなる高まりが形成された年代をいうのかで,大きく異なるからだ.氷の下であるとは言え,氷床による侵食は現在でも継続しているはずで,その意味では,形成年代は限りなく「今」に近い.でもそう言っては元も子もないので,大抵は,水系やリッジのパターンが認識できる程度のオーダーの地形を対象にして,それが形成された年代が議論される.でも,これがなかなか難しい.
実は,我々も南極で地形の形成年代を探ろうと日夜模索を続けているところ.しかも,氷床からから露出していて,実際に見たり触ったり出来る地形だ.それにも関わらず,その形成年代の決定はいまだに解決していない.
地形には堆積地形と浸食地形とがある.堆積地形の場合は,その堆積物に含まれる年代資料を分析すれば,その堆積年代が求まるので,最も表層に近い物質の堆積年代をもってその地形の形成年代とすることができる.一方,浸食地形の場合は,基盤岩そのものの表面がいつ露出したのか,言い換えれば,現在の地表面がどれくらい前から表面に出ているのか,ということを明らかにしなければならない.
基盤岩の年代そのものは測定することが可能であるけれど,その年代はあくまでその岩石が形成された年代であって,表面に露出するようになった年代ではない.とくに深成岩や変成岩など,本来地中深部で形成される岩石の場合は,地殻変動などで地表に出てくるまでに相当の時間を要するから,岩石の形成年代と表面露出年代とは,時として数オーダーも異なる年代になることがある.さらに,地表面に出てきてからも,様々な浸食作用や風化が働いて,おおまかな谷筋・尾根筋が形成されるまでにもそれなりの時間を要する.露出年代そのものを推定する方法もないわけではないけれど,手法的に確立されている訳ではなく,検証や革新が続けられているまっ最中だ.
ガンブルツェフ山脈の形成年代の議論をフォローするには,このような論点を押さえておく必要がある.