あらたな始まり
VLBI観測は昨夜に無事終了し,今,一風呂あびて無精ひげをそり落としてすっきりしたところです.がらんとした第一夏宿の食堂に一人きりでパソコンの画面に向かっています.徹夜の観測の疲れが心地よく体を包んでいます.外は予想通り,風速20m/sを越える強風.夏宿の壁にビュービュー吹き付けて,真冬のブリザードを思い起こさせます.こうして短い夏が終わり,オングル島にまた冬がやってこようとしています.
もう数時間もすれば,いよいよ昭和基地を離れなければなりません.48次越冬隊だけを残して我々は昭和基地を離れ,しらせに乗船して帰国の途に就くのです.
私の2度目の昭和基地滞在はこれで終了しますが,越冬中に得た研究試料の分析や論文・報告のとりまとめなど,南極に関する仕事はまだまだ続きます.惜別の念が募るのは確かですが,越冬という貴重な機会を与えられた研究者として着実に成果を出していくことが期待されているかと思うと,感傷に浸ってばかりはいられません.
昭和基地を離れるこの時点が,私の南極のあらたな始まりなのです.南極への情熱と思い入れを一層新たにしたところで,前向きな気持ちでここを去ろうと思います.
3月1日には,国際極年2007-2008が正式にスタートします.また,私が所属する北大・大学院環境科学院では,すでに「国際南極大学構想」に参画するための国際カリキュラムが動き始めていて,今年4月からは「南極学カリキュラム」も開講されようとしています.残念ながら私は助教という立場である都合で,講義を直接担当することはできません.もちろん私など霞んでしまうような立派な教授・助教授陣が担当されますので,私などいなくても,北大が世界に誇れるすばらしい講座になることは間違いないでしょう.そのような講座に裏方でサポートできる機会が帰国後にちゃんと用意されているというのも本当にありがたいことです.そして,南極越冬経験者として,また南極研究をメインテーマとする研究者として,この構想に積極的に参画し,将来の人材育成に貢献していきたいと,今からワクワクしています.
とりあえず,近々に下記の企画が札幌で開催されますので,お近くの方は是非足を運んでみてください.
北海道大学 南極学カリキュラム 開設記念イベント
〜 ふしぎ大陸 南極を見に行こう!〜
ということで,昭和基地からのBlog更新をこれで終わりたいと思います.ご愛読いただいた方々,どうもありがとうございました.帰国まではまだ一月以上ありますので,折りをみて船上から更新を再開したいと思います.
最後になりますが,今回の昭和基地越冬では,大きな事故もなく無事に任務を完了することができました.これも,遠くから見守ってご支援いただた家族や友人や職場の多くの方々,そして,ともに南極で過ごした46次・47次・48次観測隊の皆さんのおかげです.心よりお礼を申し上げます.そして,帰国後もかわらずおつきあいいただきますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます.