往年の機器

昨今はなんでもWeb経由で事務処理がすすむ.先日,人間ドッックの申し込みがアウトソーシングされて,Web経由で予約を入れるようにと連絡が来たばかりだが,実際にそれを使ってみるとエラーが頻発.アクセスが集中してサーバーが追いつかなかったためだとか.エラー表示に「Windows…..」と出てたのを見て,意地の悪い私は思わずほくそ笑んでしまった.全国に文科省共催組合員がどれだけいるか,たかをくくっていたのかねぇ…銀行でATMがうまく機能しないと頭取クラスの責任問題になるみたいだけど,この場合の責任はどこに行くのか興味があるところではある.

ついこの前には旅費申請システムもうまく機能していなかったみたいだし...運営基盤システムとしての重要性がネットシステムにかかる比重がどんどん増大している.その中で,裏方でサーバー管理業務にたずさわるSEさんたちの過酷な労働環境の話をしばしば耳にするけれど,彼らの社会的地位向上は今後期待できるのかしら?

実験に使う薬品管理もWeb上のシステムを使うように全学的に指示されている.実験室にはそのための端末を用意しているのだが,専用マシンを新たに購入するだけの余裕がない貧乏講座のうちでは,第一線を退いた旧式のマシンをそれにあてている.

新年度も始まって,実験室の整理にとりかかっている院生から,薬品管理端末が使いづらい,と苦情が来た.確かに何世代も前の古いマシンに違いはないけれど,私はそれで何本も論文を書いてきたのであり,愛着という感情的バイアスをのぞいても,まだまだバリバリ使えるマシンである.

でも,それからみればひ孫ぐらいの世代に進化している最近のマシンしか触ったことのないような院生にとっては,なんとも使いづらい代物としか感じないのだろう.その気持ちもよくわかるので,最新とまではいかないけれども,もう少しマシなPCに入れ替えることにした.

完全に見捨てられたマシンを片付けながら,PC界の世代交代の早さに一種の感慨を覚えた.それでもこのマシンは,つい先日も一役たったばかり.というのも,十数年前に南極でとったデータが古いタイプのFDに保存されていて,最近それが必要になったのでなんとか取り出したい,とSさんから相談があり,見事にこのマシンが役目を果たしてくれたのである.

まあ,所詮こんなことぐらいにしか使い道がなくなってしまったけれど,PC進化の落とし穴をさける意味で,古い機種を取っておく意味はある.昭和基地でも同様の経験をしたのを思い出した.

物事を安定に稼働させるには,なによりも「枯れた技術」を使うことが基本とされる.最新技術はこれまでにない展開をもたらしてくれるけれども,時間やダメダシという厳しい関門をくぐっていないだけに,思わぬ落とし穴が潜んでいる危険性も併せ持っている.研究業績の評価だって,正当に評価され学界の血肉となるにはそれなりの時間を必要とする.1-2年前の成果なんて,次の瞬間には否定されているかもしれないし,ずるいことをやって出した成果だったことが発覚することだってありえる.

コンスタントに結果を生産し続けていく力量をもつことが要求されるのは確かだけれど,時間という評価に耐えるだけの成果を出したかどうか,という面も,もうちょっと重要視されてもいいんじゃないかと思うこのごろ.