水流特集

極地研では観測物資が大井埠頭へと移送される忙しい日のはず.こちらは科研費の申請書をなんとか仕上げて,ほっとしたついでにしばらく遠ざかっていた文献読み.

久しぶりに電子ジャーナルのサイトをチェックしたら,QSRの最新号でメルトウォータープロセスを特集していることに気づいた.内容は,一昨年のリノで開催されたINQUAの特別セッションをまとめたもので,アイスランドのヨコロウプに始まって,ローレンタイド氷床に関わる水流浸食地形や,氷床の融解水が海洋へ流入した影響を評価したものまで,全部で7編の論文が掲載されている.Fisher氏がコンビーナーをしているだけあって,どちらかといえばいわゆる「氷底水流派」の論文が主流だ.

もちろんこの一冊は私にとっては非常にうれしい号なんだけど,5年ほど前のいまわしい記憶が甦ってくることにもなった.それは,学位を取得した直後ぐらいに,同じFisher氏がまとめ役だった特集号から,論文を投稿してくれないか,と招待を受けたことがあるのだが,結局後味の悪い結果になったというものである.その後,エドモントンでShaw教授にお世話になることで,裏事情がはっきりして和解したのだけれども,サイエンスの世界もなかなか政治的な思惑がうごめく世界であることを身をもって知る機会ともなった.

まあ,それはいいとして,今回のQSRの論文の中でも極めつけは,Shaw教授の最後の弟子でもあるMunro女史が書いているケリー島のS-formの新解釈に関する論文.在外でオハイオにいた三浦さんの誘いで,岩田さんや横山さんと一緒に現地を見てきた経験もあるし,あそこで水流浸食説を力説した覚えのある身としては,「ついに書きましたねMandyさん」と思わず言いたくなるような論文である(ありがたいことに私の論文も引用してくれているし).

他の論文も,久しぶりに水流派がしかけてきた攻勢だけに,ページをめくるのがもどかしいくらいに早く頭の中にいれてしまいたい気分.だけど,なかなか落ち着いて読んでいる暇がないんだよなぁ...