発見・再発見
VLBIの仕事を終えて受信棟から外に出たら,これまで褐色の地盤がむき出しだった基地の周辺は,すっかり白い世界に変わっていた.観測で活躍してくれた大型アンテナを覆っているレドームも,めずらしく雪化粧していた.普通の場合,昭和基地の雪は強風に飛ばされて横向きに降るので,これだけしっとりとレドームが雪をかぶるのも珍しい.
VLBI観測の最後の仕事は,受信の障害になるため一時停止させていた地学棟のドリスビーコンを再起動させること.そのついでに,海氷GPS観測で使う機材の確認に向かう.
11倉庫と間違われるほど荒れ果てていた地学棟もすっかり片付いてすっきりしていた.すっきりし過ぎて,必要な物品がすぐに見つけられず,一瞬あせる.
きれいに片付いたサロンの机の上に雑記帳があったのでめくってみた.まだ20ページほどしか書き込まれていない.一体いつから使っているのかと思って最初のほうをみたら,なんと32次から使われているものであった.15年で20ページ.年間1ページのペースということになる.
よくよく読んでみると,前に越冬したときに私が自分で10ページほどを埋めていた.まったく今書いているこのBlogと変わらない調子で日々の雑感が書いてあり,何年たっても変わらないなあ...と変な感慨に浸る.
残りのページの記載は,越冬交代間際か,あるいは昭和基地を最後に離れる前になって一人か二人がようやく書き込んでいるものばかり.これじゃページが進むわけがない.どれも決まって「今日になって初めてこのノートを発見しました」という文言で始まる文章になっていたのには大笑い.
ということで,私も「今日になってようやくこのノートを再発見しました」で始まる【越冬前の】一文をしたためてきたところ.今回の越冬でもこのノートのページを埋めるのは私の役割になるのかなぁ...