時刻
衛星受信棟にある時刻配信サーバーのアドレス切り替えを実施.
このサーバーは,GPS衛星から正確な時刻を取得し,それをネット経由で配信して,PCや観測機器の時刻を同期させるものである.衛星受信棟にあるものが,一応,昭和基地の正式なタイムサーバーという位置づけになっている.
とはいっても,昭和基地ではじつに多くのGPS受信機が稼働している.タイムサーバーのように正確な時刻を取得するためのもの,地殻・海氷・氷床などの変動を測定するためのもの,地図作りのための正確な位置を出すためのもの,ルート工作などナビゲーションに使われるもの等々...少なくとも衛星受信棟だけで4つのGPS受信機が稼働していて,その数だけアンテナもたてられているし,そのほかの観測系の棟にも複数個のGPS受信機が設置されている.
観測には,観測時刻を記録する意味でも,機器の動作をシンクロさせる意味でも,正確な時刻が不可欠だ.正確な時計としては原子時計が最も信頼できると言われているけれど,それはとても高価な代物でおいそれと手に入るものではない.しかしGPSを使えば,原子時計が刻む正確な時刻が空から下りてきてくれるのだから,それを使わない手はない.GPS衛星が搭載している10-12sの精度を誇るセシウム時計を利用して時刻をあわせるというのは,最も手軽で確実な手段なのである.
一方,VLBI観測も正確な時計を必要とするが,その要求精度は半端じゃない.なんせ,人工衛星など比較にもならないくらい遙か宇宙のかなたからやってくる電波の到達時間の差を計測しようとしているのだ.GPS時計のさらに上をいく10-15sの精度を持つ水素メーザー時計が昭和基地にあるのはそのためだ.
数日前に水素メーザーのある地震計室と衛星受信棟との間の配線をチェックしいて,「セシウム」と書かれた札の付いたケーブルがあるのを見つけた.これはカウンターにつながっていて,水素メーザーからの信号との差を計測するようになっていた.セシウム時計の時刻は1秒遅れ.今年の初めにあった閏秒の補正がまだ適用されていない模様.実際の使用は,1ppsの刻みを比較しているのでこれでも実害はないが,そのうち国内に問い合わせて補正しておこうと思う.
それにしても,どこかの一台のGPS受信機で基地のGPS機能を代表させられないものなのだろうか?ちょっと考えただけでも,数が多すぎるような気がするんだけど...