シャクルトンに消された男たち

image先日の学会の飲み会で,岩田先生に「シャクルトンに消された男たちー南極横断隊の悲劇」(Kelly Tyler-Lewis著・奥田祐士・訳,文藝春秋)という訳本が出ていることを教えてもらった.注文していたのが届いたので流し読みしているところ.それに触発されて,最近あちこちのBlogで話題の「幕末古写真ジェネレーター」を使って,47次隊を残して昭和基地を去るしらせの見送りシーンを南極探検時代風にしてみた.けっこうそれらしく見えるじゃない?

さて,この本は,南極探検史上まれにみる生還劇をなしとげたシャクルトン隊の陰で,悲劇的な結末をたどった別動支援隊の顛末を,詳細な調査を元に復元した労作.この別動隊については,シャクルトン自身の「South」でもかなりのページを割いて記述されているのだが,本書はさらに克明に経緯を掘り出している.これからじっくり読ませてもらおう.

著者のKellyさんは,私がエドモントン滞在中に見たエンデュアランス号のTVドキュメンタリー番組でエミー賞を受賞しているという.スコットポーラー研にもいたことがあるというし,NSF主催の芸術家と作家のための南極体験プログラムで実際に南極にも行っているすごい人.NSFのこのプログラムは,まさにこのようなプロデューサーにこそふさわしい.日本の観測隊も,新しいしらせになったら同様に芸術家や作家を連れて行くことも考えているようだが,ちゃんとしたテーマを持っている人がどれだけいるか,ちょっと疑問.彼女こそが目指すべきよい手本になるだろうと思う.

スコットポーラー研にはAntarctic Bibliographyという分野もあるみたいだし,英国探検史の蓄積の深さは尋常ではない.

道新「現代かわら版」で今日から,こちらは無事に横断を果たした日ストラバース隊の活動を報告する「白き氷河に抱かれー南極大陸横断記」という連載が始まった.なんといってもこの隊には北海道から二人も参加しているのだから,道新が大きく取り上げる意義もある.Webには数週間遅れて掲載される...のかな?私としては,この前の学会では越冬隊から参加したもう一人のメンバーから直接話を聞けたし,数日後にも北海道のお二人から直接話を聞く機会がある.結構楽しみ.