札幌でそり作り
北海道のローカル番組,HTBのイチオシでセルロン隊が南極で使うソリが札幌で作成されている様子を取材した「職人の技・南極のソリ製作に密着」というのをやっていた.ネタ提供はもちろんMikioジャーナルの阿部さん.発注者ご本人の取材である.
南極の氷の上で使うソリにはいろいろあるけれど,雪上車で何トンもの資材を運んだりカブースにしたりするソリとは違って,セルロン地質隊のようにスノモで引っ張るソリは小ぶりである.これまで,南極探検の犬ぞり時代から定評のあるナンセンソリを使ってきたのだけれど,岩石試料の重さなどに耐えきれず,前回のJARE49では破損があいついだとか.その欠点を克服すべく,現代風の材料と技術で新たに開発を依頼した,というのがニュースの趣旨.その発注先が札幌にある個人経営のソリメーカー.
氷床上ではないけれど,我々も海氷の上でよく小型そりを使った.海氷の研究者から依頼されていた海氷厚測定レーダー観測用のソリなどがその代表的なもの.
当初はFRPでできた小型船に乗せて使っていたのだけれど,一回の走査であっさり大破してしまった.裸氷のデコボコに耐えきれなかったのが原因.その後,昭和基地にあったスノモ用ソリを改良して一冬問題なく使い続けた.
イチオシで紹介されていた特注ソリもこの形に近いやつ.作成者の方は「初めてのことで,実際に使ったあとのフィードバックとそれに基づく改良があるといいのに」とおっしゃっていた.まさに職人の言葉だし,今の南極観測に欠けていることのような気もする.50年もやってる南極観測なんだからこれぐらいのノウハウは蓄積されているんじゃないの,と思われがちだけれど,実際のところはそうじゃないんだよねぇ...トライ・アンド・エラーの試行錯誤を続ける研究観測部門は別として,ちょっとした野営技術とか設営技術に関してはやりっ放しのことが結構多い.越冬中のBlogエントリーでもさんざんぼやいてきたことでもある.そういう体質に風穴を開けようとしている阿部さんの姿勢には学ぶべきところが多い.フォールドマネージャーとして,観測とは一歩引いたところで,しかも連続して南極に行くことができるがゆえの試みだったりもするんだろうな,と思う.
たぶんそのうちMikioジャーナルで動画配信されると思うので,見逃した人は要チェック.