南極 一覧

職場訪問3回目

昨夜は,水素メーザー室に設置したカメラの動作確認やら書類書きやらでほぼ徹夜.朝起きて外に出てみると,なんだかナマ暖かい.気温はマイナス5-6度で寒いはずだが,風がほとんどないせいかも.

昨夜の仕事の一つは,3/23に書いた成瀬さん主催の氷河・雪氷圏環境研究舎のホームページへの寄稿文執筆.主催者のお誘いにより,ここの「情報の広場」へ,これから月一回のペースで昭和基地の活動内容を報告することになった.「一般向けの話題で,南極の日常生活の中にちょっとサイエンスを」というご要望にどこまで応えられるか...

午後,職場訪問の最終回.今回は設営系の部署,発電機・造水施設,汚水処理施設,通信室,医務室を回る.汚水処理設備とコ・ジェネシステムに感心する.

その後,臨時のオペ会.

数日前から,気水圏隊員によって海氷状態の定点写真撮影モニタリングが始まったが,衛星画像を見ていると,開いた南方の海域から,のこぎりを引くかのようにオングル海峡にくさび状の切り込みが徐々に伸びてきている様子が分かる.こうなったらもうどうしようもない.


ギミック

image前次隊が持ち込んだネットカメラが空いているというので,水素メーザーの動作モニターをさらに遠隔でモニターするために使うことにした.そのネット周りの整備やらカメラの設定やらで一日を費やす.

設置したはいいけれど,カメラで監視したいモニターの画面は焼き付きを防ぐために一定時間たつと消えるようになっている.これじゃ意味がない.人が前に来るとセンサーが反応して再表示されるのだが,そのセンサーをネットごしに作動させるために写真のような仕掛けを施した.

つまり,遠隔操作でカメラの向きを変えられるのを利用して,カメラのおしりにヒモを結びつけておいて,カメラを右90度に向けたときにヒモが引っ張られて,その先がセンサーにかぶるようにしたというわけ.材料はそのへんに転がっていたヒモと金具のみ.

どうせネットが使えるなら,直接ネットごしにデータをモニタすればすむ話なんだけれど,なにせこの機械は古くてネットには対応していない.そのため直接画面を見るか中のメモリーからフロッピーにデータを吸い出す必要があるのである.

というわけで,ネットを使った非常に原始的な仕掛けによって,外出禁止の時でも水素メーザーの状態を監視できるようになった.めでたしめでたし.


久しぶりの快晴.開いた海の状況を確認に行ったり,ドリフトの雪かきしたり,南極大学の講義の準備をしたり.

image日本は桜の季節.昭和基地の通路には灯篭が設置された.なかなか雰囲気が良い.灯籠には桜の柄が描いてあって,ほんわりとピンク色に染まって浮き出ているのだけれど,写真ではうまく出ないのが残念.一週間ほど夜間に点灯される.

これから夜が長くなるにつれて,こういう光の演出もありがたくなる.


ブリ一覧

まだ風が強い.

記録のためこれまでのブリ一覧を載せておく.そのうちWikiのえさにしよう.

番号 階級 開始 継続時間 最大風速 最大瞬間風速 最低海面気圧 名前
4701 B級 2006-02-21 12時間48分 25.6m/s ENE 33.1m/s ENE 973.6hPa 美姫(みひ)
4702 B級 2006-03-25 16時間50分 21.4m/s ENE 28.4m/s ENE 973.5hPa カッキーウィッキー
4703 B級 2006-03-27 13時間40分 24.0m/s ENE 31.0m/s ENE 972.8hPa ○○エリー
4704 C級 2006-03-30 13時間10分 19.3m/s NE 24.1m/s NE 983.0hPa ヤブキライダー
4705 B級 2006-04-06 38時間20分 26.4m/s ENE 33.9m/s ENE 973.6hPa 募集中
4706 B級 2006-04-10 26時間00分 32.1m/s ENE 41.6m/s ENE 975.8hPa 募集中

海氷ピンチ

imageブリは収まったが強風が残る.

ついにオングル諸島から南のラングホブデにかけての海域も開いたことが目視できた.雲が多くてイマイチな衛星画像を加工してなんとかそれらしく見えるようにしてみたが,けっこうヤバイ.

オングル海峡が開くのも時間の問題か?


Aブリ級2発目

image一日中30m/s以上の風.午後に本越冬初の外出禁止令が出る.

基地内には何カ所かに風速計があって,どれもまちまちの値を出す.公式記録はもちろん気象棟のものだが,峠の茶屋と呼ばれている電離層棟のものは中でも最も大きな値をだすようだ.それによれば,瞬間で最大60m/s超を記録したらしい.

さすがにこれだけ吹くと建物の揺れも音も違う.それにしても今年はブリが多い.

夕食後,南極大学の2回目.


どこまで見えるか

西オングル島への遠足が予定されていたのに,またまた悪天のため中止.

image海氷の状態が気になったので,衛星画像で調べてみようとしたが,あいにく悪天のため良い画像が取得出来ていない.肉眼でも見えるので気象棟裏の丘に登って確認するも,どのへんなのか位置の見当がつかない.

どこまで見えるか...とくれば出番はカシミール.早速試してみた.

カシミールの景観再現機能「カシバード」を使うにはDEMと呼ばれるデジタル標高データが必要なのだが,昭和基地周辺のDEMはまだ整備されておらず,公式に発表されているものはない.そこで,10年くらい前に自前で作ったDEMを引っ張り出してきて,カシミールで使えるように加工した.

カシバードで再現した結果は図の通り.うーん我ながらそれっぽいんじゃない?

実際にカメラで撮影した画像と比べてみた.どうやら,西オングル島の西端で海が開いているらしいことが分かった.意外に近い.今のところテレメ小屋へのルートは無事.今吹いている風でどこまで後退するのだろうか...

景観をそれらしく見せるために「アリゾナ砂漠・粗い岩」という設定を使った.それだけだと普通の砂漠になってしまうので,南極らしく見せるために雪線高度を低く設定.砂漠に雪か...まさしくここは「極地砂漠」なんだよねぇ.


雪かきトラウマ

丸二日続いたブリは結局B級.休日日課の土曜日だけれど,午後から総出で雪かき.ブルやバックホーの講習を受けて初めて運転する隊員も.

私はドリフトが大量に付くことで有名な衛星受信棟があるのでスコップを持って手作業の除雪.隊の中では老齢組ながら,雪国育ちの除雪技でもって,若い隊員には引けを取らない働きをしたつもり.実際,南国育ちの隊員も多いので,「まだまだ甘いな」などと思いながら,要領だけは勝った気分でいる.

どこかで雪かき仕事をするたびに,田舎で老体にむち打って豪雪と戦っている親の姿が脳裏に浮かんできて,へんな罪悪感にさいなまれるんだよねぇ.一緒に雪かきしながら,ある雪国育ちの隊員とそんなことで意気投合してしまった.こういうのは田舎を出た雪国育ち共通のトラウマなのかもしれない.

ドリフトの雪かきに思う豪雪の郷里(いなか)の親はつつがなしやと

除雪の後,西の浦に行ってGPSブイの無事を確かめてバッテリーとロガーを回収する.その他の基地の施設にもめだった被害はなかった模様だが,夕食時に気象隊員から基地西方の海が開水面になって氷山が動いていたのを目視したとの情報が入る.ということは基地から見渡せるくらいの距離で海氷がなくなったってこと...こちらの被害のほうが深刻


サロン詰め

ブリが続いているので居住区で仕事.

ネット上で微妙な作業をしているので有線LANを使いたい.でも床のワックスがけのため食堂にはしばらく入れない.そこで他に有線LANが使える居住棟のサロンに入り浸る.

ここは極地研のサイトで公開されているWebカメラが設置されている部屋だが,ブリで窓に雪がついているのでおそらく真っ白にしか写っていないだろう.このカメラを内側に向ければ私が仕事をしている光景が全世界にさらされることになるのだが,さすがにそれはやめておいた.せめて窓の雪を払うことができればいいんだけれど,固定されているのでそれもできない.ただ,数時間に一回ぐらい,重みか風の勢いかなんかでバサッと雪が落ちる.この瞬間ならば外の光景はカメラに写るはず.でも,すぐにまた雪がつき始める.

今回はじめて居住棟のサロンを使ったけれど,外が吹雪いているところなんかは道内の民宿の部屋にいるみたいで,なかなか居心地が良い.

夜になって外出注意令は解除.明日は被害状況の確認と除雪だな.


Aブリ並

25m/sの強風.A級に認定されるかもしれないブリ.外出制限が出ているので一日中居住区にこもる.

午後,皆の空き時間を利用して,昭和基地Wikiの説明会.


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