ぴったりの人

水俣・北大連続講座の2回目.玉城(たましろ)医学部教授の「水俣病の教訓ー予防医学の視点からー」.

水俣病研究センターで疫学を研究されていたということで,よくこんなにぴったりの人を北大の中から見つけてくるもんだ,と,小野先生のコーディネートに脱帽.

小野先生も言っていたが,こういう第一人者の話をタダで聴ける,という機会は逃す手はない.私はたまたま手伝っているだけだけど,なんとなく得した気分.


人体の不思議

人体の不思議展に行ってきた.朝一で行ったにもかかわらず,すでに長蛇の列.幸いなことに,会場内は順路に関係なく見て回れるので,混雑はそれほど気にならずにすんだ.

その後書店に立ち寄る.今話題の「死の壁」を立ち読みしていたら,まるで「人体展」の感想文のような内容であることに気づいた.養老氏は解剖学者だから,そんなもんかとも思ったが,「人体展」のパンフを見たところ,しっかり監修委員の一人に入っているじゃない.ふふんなるほど,と思った.

私自身は会場でメモを取りながら感想めいたことを書き留めてきた.子供たちの反応,物体としての人体,人体を知ることによる死の意識の変化等々...その内容のほとんどは,すでに「死の壁」の中にしっかり書いてある.たぶん「人体展」を見た人の大半は同じ感想を抱くと思われるが,こんなんでベストセラーになるんだから,養老氏もホクホクだろう.いい商売だなあ.そう思うと,金を出して買う気も薄れてしまったので,全部立ち読みですませてきてしまった.でもまあ,ベストセラーになるには,それなりに読者の共感が得られなければいけないわけで,それはそれで頷けるのではあるけれども...

以下は,肝心の,私自身が会場でメモしてきた感想の再構成.

第一点目.加工してあるとはいえ,展示物は全て生の人体.その精巧さというか生々しさに,自分が今まで抱いてきた人体感がすっかり変わってしまった.知識や図では知っていても,それとのずれがあまりにも大きかったのである.同時に,物事の本当の姿を認識するということがいかに難しいかを実感した.氷河にしても地形にしても同様で,まさに地球や宇宙を理解することの難しさにもつながる問題なのである.そしてこれは,養老氏の「なぜ人を殺してはいけないか」という問いかけなのであり,さらには「なぜ地球環境を壊してはいけないか」という問題にもつながるのである.その答えは,人も地球も等しく「精巧でユニークな唯一無二のオリジナルは,一度壊すと後戻りできない」からだということになる.

第二点目.本物の死体であるにもかかわらず,不思議と,気持ち悪さや不気味さや恐怖感は全く感じなかった.子供たちも結構たくさん来ていたが,だれも怖がっていなかった.その様子や自分自身の感覚から,そもそも死体への恐怖はイマジネーションから来ているものではないのか,と思った.そして,実際に死体や人体がどんなものかを知れば,その恐怖も消えるのではないかと思った.これは,養老氏に言わせれば「子供たちを葬式に連れて行けば,幽霊の正体見たり枯れ尾花,となる」ということになる.個人の人生の大切さや命の大切さを,ゲーム漬けの子供たちに分からせるには,「人体展」もいいかな,と思った.家業柄,子供の頃からさんざん葬式を見てきたり,山登り仲間を多く死なせている経験のある身にしては,今更ながらの結論.

最後に三点目.展示されていた人体は,個人の生前の意思に基づいて献体されたものである.聴衆として興味津々と眺めていられるだけの冷静さが保ててはいたものの,その物体にかつては個人としての人生や思いが宿っていたのかと思うと,非常に複雑な気持ちになった.とにかくは,その物体によって,私自身の意識に変革をもたらしてくれた訳だし,彼ら(彼女ら)の献体の意思は決して無駄にはなっていない.我々はその意思をくみ取り,役立てていくことを自覚する必要があるだろうと感じた.特に,この物体の加工や展示企画に携わった人々は,そういう大義名分はあるにしても,人前にさらすための作業に手を染めているわけで,生前の魂に対してなんらかの後ろめたさが付きまとっているに違いないとも思った.そしてそれは,養老氏の言う「エリート」が背負うべき責任でもある.

さて,わが「ガイドコース」は「指導者」を養成することを大きな目的の一つにしている.人体や生命と同じく,「まさに神が作りたもうたかと見まがうほどに精巧で,一度なくしたら後戻りできない」という「環境」という問題を扱うエリートである.そういうエリートは,それなりの手続きや規範,そして責任を背負う覚悟を持つべきなんだろうと思う.絶対の正義を振りかざすだけだったり,ただ煽ったりするだけの指導者ではダメなんである.

そもそも「地球環境問題」に対して覚悟を持つ,というのがどういうことなのかはまだよく答えられないけど,少なくとも指導者を養成しようとしている教員としては,修了生たちを世に送り出すことに覚悟を持たなければいけないし,大学院を離れていった彼らに対して加害者として「密かに手を合わせる」気持ちを持たなければいけないと思った.

とりあえず今日の体験については,物体となることを厭わずに献体してくれた人々に「弔意」を表したいと思う.

と,ここまで書いてきて,さんざん引用してしまったので立ち読みじゃ悪いなあ,と思ってしまった.養老氏にも敬意を表して,明日にでも「死の壁」を買ってくることにしよう.


Newton

なごり雪,というには,寒すぎる一日.

竹内均氏が亡くなっていたんだね.ここ数日のゴタゴタでニュースもまともに見ていなかったので今日になってようやく気づいた.

竹内氏といえばNewton.中学のころから大学に入るまで愛読していて,プレートテクトニクスのパラダイムに感動したこと等,随分と影響を受けた.少なくとも,自然科学者を目指そうとした動機の一つになっていたことは確かである.ご冥福をお祈りする次第.

研究科改革は,「フィールド環境科学コース」を立ち上げようということで一致.残るは,主担当教員候補者をどう説得するかにかかっている訳だが,フィールドインフォマティックスだか,ジオインフォマティックスだか,それとの絡みが鍵.なかなか面白くなってきた.


もう金曜日

昨日の二つの講演会(計3題)のビデオ配信準備を完了.

「ヒマラヤを襲う氷河湖決壊洪水
−氷河湖研究の来し方・行く末−」
山田 知充
「雪氷学の誤った“常識”三題」 前野 紀一


平川先生に誘われて晩飯.一応「慰労」ということで,おいしくいただく.なにがなんだか分からないうちに一日がすぎた.


講演会

朝一で地形ゼミ.

お昼から学術交流会館で雪氷学会北海道支部の「春の講演会」と支部総会.

  • 「ヒマラヤを襲う氷河湖決壊洪水−氷河湖研究の来し方・行く末−」
    山田 知充 氏
  • 「雪氷学の誤った“常識”三題」
    前野 紀一 氏(北海道大学名誉教授)

夕刻より,今日から始まった「水俣・札幌展」記念 北大連続講座「水俣病と私たち」

  • 「水俣病と環境・排水・排ガス・廃棄物中の化学物質管理」
    田中信寿 工学部教授

またまた,奔走する一日であった.


合併?

朝から研究科再編の会議.「寒冷圏・雪氷圏」のフィールド研究はなんと言っても北大・環境系のウリ.皆んなで仲良く一緒になるのが一番だと思う.

ようやくサーバーの整備が一段落.マシンは同じなのに反応がずいぶん速くなった.もっと早く移行させておけば良かった,と思う.

昨年度までの科研の報告書が刷り上がってきた.今年度は研究費を獲得しそこねたし,南極の野望の可能性も消え去ったことだし,次の新たな展開を思案しているところ.とりあえずは,地道に手持ちのデータを蓄積していくことに専念しようか.

夕刻,学会支部春の講演会の打ち合わせ.


不採択

科研費は不採択.南極のプロジェクトもオジャンになったようだし,ダブルパンチでかなり落ち込む.

サーバーへの攻撃が増えてきたので,システムを入れ替えようとして,結構手間取る.


三段山

土曜日に札幌を出て白銀荘に宿泊.金曜日から新雪が降り積もり,まるで厳冬期のよう.

今朝は四時起きで五時すぎに登り始めて,八時前に三段山頂上に到着.気合いを入れて持参したカメラが故障で機能せず.結構ショック.しかし,真っ白な十勝連峰の雄大な眺めには大満足.

クラストの上に積もった新雪は上質で,スキーがド快調.このまま下っても入浴ができる時刻までには時間があるので,途中の斜面を登り返して何本か滑る.テレマークはかっこいいなあ,と思う.白銀荘に戻る頃には,まだ午前中だというのに雪が腐り始める.早立ちして大正解.やっぱり季節は春.

三笠の博物館でアンモナイトを見学して帰札.

まだ日があるうちに,夏タイヤに履き替えて,カメラを修理に出す.

久しぶりに命の洗濯をした気分.


たいへんな船出

朝一で,ウィルス感染の疑いのあるパソコンが管理下にある,という通知が来る.マシンは分かるものの,所有者と所在がつかめないので,とりあえず登録を抹消した.使えないと気づいた本人が自首して来るだろう.

その対策を終えてすぐに講義.

午後,今年度から始めた「総合ゼミ」の第一回目.教員の負担が増えるけど,致し方のないこと.

研究科長から,コースについての助言をいただく.

法人化とは関係のないところで今までとは違った,ワサワサとしたたいへんな新年度の船出である.もうちょっと落ち着いて研究したいなあ...


めいっぱい

土曜日のパーティの詳細のHPができたようなので,こちらでこっそり公開していたものは,クイズを解くという楽しみ以外にあまり意味がなくなった.

午後,夜遅くまでゼミ.午前中からめいっぱい詰め込まれているM1は,きっと頭が爆発しそうになっているにちがいない.明日の,年に一度の講義に備えて準備などをするものの,彼らのことを考えると,あまりシビアな話をしても消化不良になるだけだろうと思って,趣旨を変える.


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