日々の雑感 一覧

名詞と形容詞

一日遅れで誕生日を祝ってもらう.寒冷地形談話会の夏の学校帰りの人やD論を提出して一息ついている人も参加.日中は入試極秘業務.

知り合いの小学校の先生から質問が来たので,それに対応.

質問ですが、
貝の化石は、砂岩と泥岩とどちらによく見られますか?
同様に、魚の骨の化石はどうですか?

小6理科のプリントに,泥岩質の層(さし絵)に化石が含まれている、と記述しましたが、「化石は砂岩質の方ではないかな」と,他の先生から指摘がありましたので。

あまり専門ではないけれど,私が回答した内容は以下.

貝は,種類によって,砂地を好むものもあれば泥を好むものもあります.砂岩と泥岩のどちらから化石が出やすいかは,貝の種類によります.また,生息していた所から,死後に海流や地滑りなどで全く違う環境に運ばれてそこで化石となった場合もあります.極端な場合,火山の噴火で出た火山灰や溶岩の中から化石が見つかることもありますし,シベリアなどでは,凍土や氷の中からも化石が見つかることもあります.でも,生物が火山灰や凍土の中で生活していたわけではありませんよね.

魚の場合は,貝に比べて広範囲を移動するので,よけいに,生息していた場所と同じ底質を示す岩石の中に化石として残っているとは限らないことになります.また,死後に別の環境に運ばれてしまう可能性があることは,貝の場合と同じです.

ちなみに,砂地にしか生息できないとか泥の中を非常に好む,などといったように,環境に敏感に対応して生きていた生物の化石をみれば,化石となった生物の生息環境を知ることができます.このような化石のことを「示相化石」と言います.

生物化石の使い方にはもう一つあって,それは,生物の進化の度合いを基準にして,その地層の年代を知る使い方です.年代を決めるのに使われる化石のことを「示準化石」といいます.

ということで,文章の意図が「生息環境の推測」にあるのであれば,砂岩か泥岩かを明記することは重要なことですが,そうでなけでば,砂岩であろうが泥岩であろうが,こだわる必要はないと思います.それから,問題の「泥岩質の層に化石が含まれている」という書き方は,「泥岩の中に化石がある」と言っているのではなく,「砂岩や泥岩などいろいろな堆積岩から構成されているけれど,どちらかといえば泥岩が卓越している,そういう層の中に化石がある」という意味なので,これでかまわないと思います.

参考までに,「泥質岩」と「泥岩質」とは全く違う意味になります.前者は岩そのものを指す名詞であり,後者は「泥岩質な〜」というように層レベルの状態を説明する形容詞として使う用語です.文法的には「泥岩質な砂岩層」というのもあり得ることになります.

いや〜記載用語って難しい.一見正しそうに見えても,学術的には間違っている可能性もある.先生に嘘を教えてはまずいので,上記回答に間違いがあれば,指摘いただくのは大歓迎.


誕生日

昨日知床取材より帰札.いろいろ面白かったけど,肝心の原稿のネタはなかなかつかめず.

今日一つ年をとった.常に年の数以上の論文数を生産していきたいものだ,とは思うものの,まだ年齢のほうが先行中.それがかなうのはいつの日になることやら.

というわけで,本日,論文を一つ郵送.宛先が破綻した事務センターなので,なんだか気持ち悪い.無事に受け付けてもらえるかちょっと心配.


政治と科学

鼻水がとまらない.どうやら秋の花粉症にやられたみたい.

4000人以上の科学者ら、ブッシュ政権の科学政策を批判」という記事に注目.

米国の大統領選のほうはどうでもいいとして,記事中の下記の記述には含蓄がある.

政治と科学との間には大きな違いがあるため、政治が科学を利用しようとすると常に微妙な問題がともなう。科学者は証拠を集め、実験を行なうことで、客観的な事実を得ようとする——そうあってほしいという望む事実ではなく、真の姿を描写する。

 これに対し、政府は客観的な真実とはかけ離れた存在だ。政治の役割は、まだ判断がつかない分野、相容れない価値観、限られた資源の配分を扱うところにある。決定は、議論と交渉によって行なわれる。政治が求めるのは究極の真実ではなく、大多数がなんとか納得できるような折衷案だ。

記事には,

これだけ相反するパラダイムが行動を共にしようとすれば、衝突は避けられない

とあるけれど,「まだ判断がつかない分野」で「大多数がなんとか納得できるような折衷案」を決定するからこそ,政治のプロセスには,曖昧な部分や不確定な部分を最小限にする努力が求められるのだと思う.そのためには,やはり客観性と確実性のある科学的な情報を誠実に取り入れていく必要があるのだと思う.

環境科学という分野をやっていると,政治と科学との問題に踏み込まざるを得なくなる場面が多い.そういう場面で科学者が妥協点を提案しているようじゃ,本当はいけないんだろうな.やっぱり,あくまで科学的根拠と証拠に基づいた客観性のある成果を出すのが科学側の本筋だろう.

その中で,他の科学分野との違いを環境科学の中に見いだすとすれば,科学音痴な政治家や市民に,科学の成果を率直に分かりやすく誠実に伝える使命を負っていることなのではないか,と思ったりする.


しれとこ賞

第一回しれとこ賞を白木さんが受賞.

当研究科の出身者というだけではなく,いろいろとつながりもあるだけに,うれしいニュース.

今週末はその知床へ取材の出張.


復帰

お盆休みから復帰.

休み中は,いつも十勝の調査帰りに入浴でお世話なっている浦河の施設に宿泊.

黄金色の夕日.季節はもう秋かも.


自分で作る

クラ館の食堂にある「自分で作るアイスクリーム」.昭和基地でソフトクリーム係だった経験を発揮して,うまくコーンにのせる.

結構おいしい.


切り替え

投稿準備完了.次の仕事に体制を切り替え.

エルズミアから帰った人と雑談.

昨日の記事,下書きをそのままアップしていたことに気づき,正式版に書き直し.


学会貧乏

立秋を過ぎてやや暑さがやわらぐ.午後,修論・D論の発表会.冷房の効いた部屋で助かる.

学会事務センターの民事再生法申請棄却のニュース.この混乱への対応やら日常の学会事務に粛々と携わっておられる方々に敬意を表した上で一言.

地方支部とはいえ,苦しい財政状況の中で自腹きりまくり&無料奉仕を実践している身としては,文科省の天下り外郭団体の放漫経営の結果としての破綻には同情の余地はなし.むしろ,学者側も含めて,運営に関係していた人々の責任の所在を厳しく追及したい気分.

ほぼ「学者税」にも等しい学会費のために貧乏だけがつのっていくこのごろ.その納税分相応のことを,資金面で学会からなにかしてもらった記憶もあまりない.その一部が事務センターという外注の部分で無駄に使われていたということが,今回のことで明らかになった.

事務センターを利用している学会には複数入っているけど,複数利用者の場合,事務手続きを共通化することで手間も省けるんだから,その分経費も抑えることができるはずなのにそうはなっていない.今回の事件では,個人的には事務センターを利用していた学会に入っていた数だけ余計に被害を被ったことになる.

せめて公正・効率的な学会費の運用をしてほしいと望むだけだけど,今回は,そこがやられてしまった.別に学会という組織のありかた自体が破綻したわけではないし,むしろ業務委託していた学会側は被害者なんだけれど,学会という組織がそもそも持っている互助会的要素につけ込み,つけ込まれている構図だけはあったように思う.今回の事件は,アウトソーシングの意義ってなんなのかを考え直す良い機会なのかもしれない.

学会費って,税控除の対象にはならんのかなあ...もしかしたら必要経費で落とせるかもしれないので,今度調べてみようと思う...こんな感じで,国税への感心と同じくらい学会費の運用状況にも目を配るべきだったか,と今更ながらに思う.

実は一番おそれているのは,事務センター分の仕事がこちらに回ってくるかもしれないこと.支部運営と貧乏講座の運営で身につけたノウハウでもって安上がりに効率的にこなす術はあるけれど,それをこなしたところで評価にはつながりそうにないところが悲しい.学会が自分に何をしてくれるか,ということよりも,自分が学会になにをできるかを考えるべし,という意見にも一理あるが,そもそも院生に「学会に入れ,入ればいいことあるよ」なんてとても言えないんだよねぇ.こんなんじゃもう終わっているのかも.


山も暑い

日高の調査より帰札.

山は涼しいかと期待していたけど,やっぱり暑かった.日頃の不摂生がたたってバテバテ.


冷却

ここ数日の猛暑でサーバーの内部温度が警告レベルにまで上昇していたため,アラートメールが頻繁に届いていたが,今日になって落ち着いた.

それでもサーバーは掃除機なみの騒音をまき散らしている.世の中には強者がいるようで,Macの冷却と静穏化に関するこんなページを発見.

明日から日高へ調査行.涼しくなってきたのは良いのだけど,週間予報では天候のほうが不順になるとのこと.世の中なかなかうまくはいかない...


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