おざなり
連休の谷間.教員ひとりでゼミ.
夕刻,起学専攻セミナー?.前半のモデルの話は,どこまで何を言いたいのかさっぱりはっきりしない.
連休の谷間.教員ひとりでゼミ.
夕刻,起学専攻セミナー?.前半のモデルの話は,どこまで何を言いたいのかさっぱりはっきりしない.
M2の修論中間発表の前半.
午前中,白岩さんと的場君がやってくる.カムチャツカのイチンスキーという火山でコアを掘る計画があるとかで,私が13年前に登った時の写真などを見せる.
カナダでお世話になったShaw教授の教え子で,現在バンクーバーの大学で学位を取る寸前の院生から,学位を取ったら北大に留学したいので受け入れ先になって欲しい,というメールが来た.Scablandでも一緒に調査をしたのでよく知っている院生.
なんだかここに来て,過去からのお呼び出しがかかる機会が増えた感じ.人生12〜3年周期で回っているような感じ.
カナダでは多くの人々に助けられた.これまで恩返しをする機会がなかっただけに,私にとってまたとない要請である.しかし,なんとタイミングの悪いこと.日本の山岳地帯で,氷河地形の本場のカナダで学位をとった水流派の研究者と一緒に研究できるかもしれないというのに,南極に行って不在になってしまう...
カナダのような理想的なフィールドがあるのになんでわざわざ氷河のない日本に...とも思うのだが,とりあえず日本の氷河地形研究が抱える問題や調査できそうな内容を伝えて,私がいなくてもなんとか来日が実現できるように手はずを整える努力をすることを伝える.
朝,手稲山が白くなっていた.本格的な冬ももうすぐそこ.
うちの息子はカードゲームにご執心である.この熱意で勉学に励んでくれればいいのに,と思うこともあるが,ひょんなことから,ある研究所が作っている子供向けのカードゲームがあることを知る.
理研の生物系の研究センターの広報用に作られているらしく,発生学の実験に使う生物がキャラクターになっている.センターの構成員のカードもある.大学院生(1)・テクニシャン(2)・獣医師(4)・ポスドク(6)・ラボヘッド(8)ときて,最強のカードが所長(10)だ.大学の研究室ではないので,構成員をそのまま比較することはできないけど,ポスドクが一人前の研究者として紹介されており,一般的な研究員というのがないのが不思議.
このカードで遊ぶ子供たちは,研究するならポスドクに...なんて思ってしまうんだろうか?私の中でのポスドクといえば,身分も安定しないのに中心的な戦力として将来の安定した身分への就職をえさに業績をあげるプレッシャーに押されながらこき使われる人々,という認識があるんだけど...
このカードの作者の意図がどこにあるかは知らないけど,日本の研究機関の基本構造がすけてみえるようで,自分の息子にはこのカードでは遊ばせたくない,と思った.実際のところ,「パパは何?」と聞かれるのが一番つらいんだけどね.
今日はドーム隊7名が本隊よりも一足早く成田を発つ日.
観測隊員と一口に言っても,それぞれにいろんなバックグランドや身分を抱えてる.大学も研究所も法人化してしまって,これまで文部科学省配下の国立の研究機関として連携してきた体制もかわってしまった.身分保障や給与・手当の支給方法も複雑になったので,管理する事務方もたいへんだろう,
南極観測発足以来,大きな役割を果たしてきた北大だが,今回も出身者や現職員を含めて相当数の人員を送り込む.そのバリエーションは,ある切り口によれば以下のごとし.
一番長く南極に滞在するのは1番の人で2名いる.そのうちのS氏は隊員になるまでは北大の職員だった人で,もう一人のW氏も北大とはつながりの深い関係者.
SさんWさん,昭和で会いましょう.それまで一足先に南極でご無事に任務を果たしてください.
札幌へ戻る.前にも書いたが,この時期のしっとりとした曇り空に赤に黄にと色づいた紅葉が一番好きだ.
さて今回から不定期で,JARE47でのプロジェクト実施へとつながる屈折十余年の我が歩みを振り返り,折に触れて書き留めてきたことを紹介しようと思う.すでに,正式に出版された論文の一節に組み込まれているものもあるが,今回のプロジェクトの意義と今後の新たな展望を考える記事へと発展させる意味も含めて,この機会に再掲載しておこうと思った次第.今回はその第一弾で,氷床の安定性に関するもの.
以下エドモントン滞在記1月30日より転載
今日一日“月刊地球”とQuaternary Science Reviews 21 (2002)のEPILOG特集号を交互に読みながら,つらつらと考える.
「氷床変動と海面変動の問題」というと「地球の気候変動の問題」と同じと考えがちだ.確かに水は融点を境いにして固体になったり液体になったりするから気候変動は大いに関係があって,寒冷期を“氷期”温暖期を“間氷期”とよぶ慣わしにさえなっている.しかし本来は「氷期=氷床拡大期=低海水準期」なのであって必ずしも「氷期=寒冷期」でなくてもよい.寒暖サイクルだけなら,氷床の大きさや海水準の高低を使わなくても,植生や酸素同位体比などの他の指標を用いて復元できるし,現在ではそちらのほうが気温のメインの指標として用いられている.気温プロクシデータは氷床コアからも得られるのだが,そのことがかえって誤解を招きやすくしている原因の一つになっている.実は氷床コアでは,寒暖サイクルは復元できても氷床の大きさの変動自体を復元することはできないから,氷床変動と気候変動を直接結びつける方法にはならない.
「氷床変動と海面変動」とは,厳密には「地球上の水の配分の変動」という問題である.氷と水の配分を模式化した場合,“コップの中の氷と水”という最も単純なモデルもあれば“洗濯板の上に氷があって,その下のタライに水が張ってある”というのも考えられる.たぶん後者が現実に近いと思うが,その場合でも,板上で融けた水がタライに流れ下るという場合もあれば,氷のままタライにすべり落ちて水につかることで融けてしまう場合もありえる.つまり氷と水の分配問題では,単に気温の変化だけではなくて,氷床の氷がどのように海水に戻っていくかというプロセスを解明する必要性があることがわかるだろう.
ということで,我々は今,南極氷床と海洋の変動問題を考えようとしており,下図の天秤で現象を模式化できる.できれば天秤の片方を押し下げる力となる寒暖サイクルにも言及できれば良いが,それは二次的なこととすべきだろう.
さて,上記のモデルになぞらえれば“月刊地球”中の論文のほとんどは,タライの中の水やタライの内側についた水面の跡を調べて,それらから逆算して氷の状態を推測しようというもので,左図でいえば「Q1」や「Q2」に相当する.それらの論文中では,左図の右向きの矢印は単に「氷床の融解」という言葉で述べられているに過ぎない.それに対して“澤柿・松岡論文”は,板の上に氷がちゃんとのっかっているかどうか,あるいは氷がタライへ落ちるとすればどんなタイミングでどんなふうに落ちていくのか,ということに注目してみようという提案であり,融解プロセスそのものを指す左図の「Q3」に相当する.“澤柿・松岡論文”では,左図の「Q1〜Q3」のつながりについての説明が不十分だったため,全体構成の中ではやや浮いた感じになってしまった.また,研究計画の提案論文としては説得力に欠けるのではないか,という危惧と反省の念をいだいている.
こうして模式的に示してみるとよく分かるが,天秤の氷床側にはQがない.これは,氷床の量そのものの変化を復元することが非常に難しく,大抵の場合は海水量変化からの逆算や地殻の隆起量から間接的に求められていることを示している.EPILOGのまとめでも明らかになったように,南極氷床量の変動史は他の氷床にくらべてまだよく分かっていない.
たぶん今後もこの傾向はかわらないだろうが,南極はなんといっても今現在も氷期にあるのだ.グリンランド以外の他の氷床はとっくの昔に消えている.その南極で氷床の安定性と海洋への流出プロセスに注目することが,ひいては氷と水の分配問題の解明につながる,ということを主張したかったのである.すでに出版されてしまった論文の言い訳をするようで反則ぎみだが,日記ということでお許し願いたい.
読者からのコメントも歓迎
担当の観測部門物資の積み込み日ということで,大井埠頭に停泊している「しらせ」へと立ち会いにでかける.
朝一で行ってはみたものの,予定が遅れていて当方の作業は月曜日以降に延期になっていた.残念.
ついでにしらせの中を見物.ナマしらせに乗るのは5年ぶりぐらいか...これから観測用物資を大量に詰め込むことになる第三観測室をのぞいてみたら,なんと13年前に自分が張り付けた手書きのラベルがそのまま残されていた.今回は船上用地図なんて用意していないのでこのラベルは不要かとも思ったが,はがしてしまうのも惜しい気がしてそのままにしておく.
夕刻,JARE34の在京メンバーに壮行会をやってもらう.十数年ぶりに見る顔もあり,あれからすでに何度か南極行きを果たしている人もいる.それでもやっぱりJARE34の仲間意識はかわらない.良い隊に恵まれていたことを実感するとともに,今回の隊も良い隊にしたいものだとしみじみと思う.
部屋の予約の不手際で,思いもかけず一緒にゼミをやることになる.
エドモントンから戻って以来ずっと使ってきた携帯電話の画面が表示しなくなった.もうじき南極に発ってしまえば使わなくなるから壊れても惜しくはないんだけど,かみさんに任せて家に放置しておいたら,タダ同然で機種交換とあいなっていた.
新しいのにはカメラがついていて,動画も撮れるしテレビ電話もできる.何を今さら...と言われるかもしれないが大幅な機能向上に結構感動する.
ただしこれが「オバサン柄」なんだなぁ...「残っていた最安機がたまたまそうだった」というだけで,かみさんが「オバサン趣味」だと言うつもりは決してない.出発までの出張でもまだ使わなきゃいけないし,背に腹は代えられない.ということでオバサン携帯で通話している私を見かけても笑わないで.
寒いのでスチームを入れる.昨年のストーブ初点火がスチーム稼働前の10月10日だから,今年は大幅に遅いんだけど...
巷ではGoogle Earthが話題らしいが,NASAでも同じようなソフトを開発していて,本日その最新バージョンが出た.その名も「World Wind」.こちらのほうは観測衛星のデータなどを取り込んでGlobe表示できるので,Googleのに比べて,よりサイエンティフィックに使える感じ.ただし操作性はGoogleのほうが上.
夕刻,強引に予定を決める.これで11月も出発までのうち半分以上の期間は出張.