VLBI

つくばEXPに初乗車.国土地理院で昭和基地で担当するVLBIの受信講習を受ける.これで出発前の訓練は終了.あとは本番に臨むのみ,ということで,9日からの長い出張を終えて深夜に帰札.ピリピリと冷えた空気に懐かしさを感じる.

imageつくばへの電車と札幌への飛行機の中で,出張中に読もうと思って持参した「恐るべき旅路 —火星探査機「のぞみ」のたどった12年—」朝日ソノラマ・松浦 晋也 (著)をようやく読了.講習を受けてきたばかりのVLBIの話もあるし,未来館の橘さんが熱を入れている今話題の「はやぶさ」も出てきたりして,身近なこととして興奮して読んだ(実際,地理院の宇宙測地課には,VLBIを使って「はやぶさ」の位置を調べることに協力していることをアピールするポスターが張ってあった).マスコミの「要するに...」という四捨五入してしまう報道姿勢や無意識に報道管制を敷いてしまう研究者側の姿勢にも言及があり,常々考えていることでの共感部分も多く,読みごたえがある.

特に,

内部の者がインターネットで主観を交えて毎日の日報を公開し,さらには公開しているということをあちこちに告知するだけでよかったはずだ.そのためには少々の文才と,ネットにおけるふるまい方を熟知する必要がある.
という指摘にはハッとさせられた.

政治・経済・世相など,地球上でめまぐるしく変化する状況を超えて,予算と人材不足の中で長期にわたって宇宙空間を目標に向かって跳び続ける探査機を見守る人々の苦労にはとてもかなわないが,南極で我々がやろうとしているプロジェクトもまた,相当の難産を経て実現しつつあるものであり,できることなら,「インターネットで主観を交えて毎日の日報を公開し」ていきたいと思った.「要するに...」という聞き方をする人種のためではなく,夢と希望を南極に向けてくれる人々のために.

本書のタイトルのために本歌取りしたという「恐るべき空白」は山屋としても興味がある.今度機会があったら読んでみよう.


異種格闘技戦

午前中の次期4カ年計画にからむセルロンダーネ研究についての打ち合わせに引き続き,午後,氷床の盛衰の検出に関する下記の研究集会.なんで午前中だけで帰っちゃうのか理解不能.午後の異分野格闘技戦こそ進んで臨むべきだと思うのに...異種の重要な分野である「雪氷学」が集会のタイトルから抜けていたので亀田さんの指摘通り訂正.

深夜まで飲み会は続く...

「いま南極の氷は減っているのか、増えているのか?:南極氷床変動の検出における第四紀地形地質学と地球物理学・測地学・(雪氷学)の共通課題に関する研究集会」 (プロジェクト研究P6)

日時:11月15日(火)13時00分〜18時30分
場所:国立極地研究所6階講堂

背景と目的:
大気中温室効果ガスの増加による地球温暖化によって、極域の氷床が融解し、海水面の上昇が懸念されている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書によると、過去100年間の世界の平均海面の変化の要因の1つには、グリーンランド氷床と南極氷床の寄与も含まれているが、具体的な観測に基づく最近の南極氷床変動(質量収支変化)の証拠はまだほとんど得られていない。

最近の南極氷床変動(質量収支変化)の検出方法としては、これまで行われてきた直接的な氷河学的観測とともに、氷床コア解析、融解水の流入による海洋物理学的方法や氷床の変動に伴う地殻の隆起・質量変化に基づく測地学的方法など新しい方法が提案、実行されつつある。しかし、一方で、第四紀後期の数万年スケールの大規模な氷床後退の影響と最近の氷床変動(質量収支変化)の結果を分離しない限り、最近の外的環境変化に応答して南極の氷が減っているのか増えているのかを正確に評価することはできない。第四紀後期の南極氷床の拡大と縮小の過程は、陸上の氷河地形地質と隆起海岸地形の解析や海氷下の海底堆積物コアによる連続的な氷床縁の環境変化の解明によって明らかにされつつある。

このような最近の研究状況を背景として、以下の3点を本研究集会の目的とする。

(1)最近の南極氷床は減っている(融解している)のか?増えているのか?という問題は、これまでの観測によってどこまで明らかになっているのか?あるいは、わかっていないのか?を知ること
(2)最近の南極氷床変動(質量収支変化)を検出する方法にはどのようなものがあるのか?将来の展望はどうなのか?を知ること
(3)第四紀後期の氷床変動と最近の氷床変動(質量収支変化)を分離する方法はあるのか?問題解明のための第四紀地形地質学と地球物理学・測地学の共通課題とは何か?を知ること

ープログラムー

1300-1310
三浦英樹(極地研):趣旨説明

1310-1355
亀田貴雄(北見工大・工):「南極氷床の堆積速度、流動速度の観測に基づく氷床質量収支の解明と問題点・課題」(講演30分、質疑15分)

1355-1440
青木 茂(北大・低温研):「海洋物理学から見た南極氷床融解の検出の可能性と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1440-1450
休憩

1450-1535
土井浩一郎(極地研):「昭和基地の測地学的観測に基づく氷床融解の検出と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1535-1620
大園真子(名古屋大・理):「GPS観測に基づく南極および昭和基地周辺の地殻変動」(講演30分、質疑15分)

1620-1630
休憩

1630-1715
山本圭香(京大・理)・福田洋一(京大・理):「衛星重力に基づく氷床融解の検出と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1715-1800
奥野淳一(東大・地震研)・前杢英明(広島大・教育)・三浦英樹(極地研):「Near-fieldの第四紀地形地質学的データに基づく南極氷床モデルと現在の測地学データの解釈」(講演30分)

1800-1830
総合討論

1830-1930
懇親会


出航

しらせが出航した.

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晴海を出るときには自衛隊だけで出発し,観測隊はオーストラリアから乗り込むようになって,出航時の高揚感というか覚悟が薄れたような気がする.横須賀あたりで一旦おろしてもらう,ってのでもいいから,南極へはしらせと一緒に出発,ってのがいいなぁ.

極地研にもどって,観測隊員室と作業倉庫を大掃除.


情熱

ぽっかり空いた休日.朝一番で極地研の近くの庶民的な床屋へ行く.次にまともな散髪ができるのは一年半後.

研究所に戻って論文の原稿書き.

夕刻,岩崎と一緒に,仙台から出てきた修了生を交えて夕食.春の学会以来だったが,出発前に元気そうな顔をみることができて嬉しく思う.

夢を実現させるには,苦労を乗り越える原動力となる情熱が必要だが,「苦労・苦労」といっているうちはまだまだ...ということで,たとえ青臭いと言われようとも熱く夢を語る必要有り,ということで決着.


全体会議

出発前最後の全体会議.午後からは池袋防災館で防火・避難訓練.

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昨日の壮行会会場に展示されていたパネルを紹介.

右はしらせの行動.

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ドーム計画.
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日独共同航空機観測.
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第四紀海底地質探査.



image上記の三つの中心的プロジェクトは,手前味噌な解釈によれば10/14にすでに書いた「サブグレイシャル・トランセクト」という骨組みでつながっている.


壮行会

imageimage明治記念館にて,観測隊としらせの壮行会.

その後,在京の修了生と会食.


ドーム隊

朝,私のことろに相談が来ている未来館との計画に関してちょっと隊長と打ち合わせ.その後隊長は,しらせが晴海に回航されて,そこに未来館館長で宇宙飛行士の毛利さんが見学にくるというので,毛利さんのマブダチの本吉さんを伴ってしらせへと出かけて行った.(み・くりさんが見かけたという見学者は隊長と毛利さんだっかも...)

午前中に衛星受信の講習を受ける.

先月末に先発したドーム隊が,昭和基地からのピックアップ隊に合流した模様.もうすでに仲間の一部は南極氷床の上にいる.

そのドーム隊の頭をつとめる本山さんが,富山に本拠地を置く「草刈り十字軍」でも有名な農業開発技術者協会から山崎賞を受賞したというニュース.ドーム計画の一番の功労者が本山さんだってことは誰もが認めるところでしょう.おめでとうございます.

夕刻,極地研Gゼミ内の壮行会に飛び入り参加.今回はGゼミ関係者からは隊長をはじめとして多数が南極に行くだけあって,会も盛況.「落とし物をするな」「自分の身は自分で守って生きて帰ってこい」との両M教授の壮行の言葉をありがたく頂戴する.


初雪

平野部での初雪.一気に寒波が来たのでさすがに寒い.20日後に極域に旅立つ身としてはそんなこと言ってられないんだけど...

午前中にゼミをこなして,午後に極地研へ.東京では口々に「寒いね」と声を交わしているのを見かけるが,私には暖かい.


プレス

耳鼻咽喉科病院の待合室で読んだ新聞の占いは「最低」.これが良く当たった.

「最低」の運勢とは関係ないが,国際南極大学構想のネット配信の相談のため,杉山氏と末吉氏がやってくる.末吉氏とは初対面.(そりゃリンク場所は学院カテゴリでしょ,と思うよ).

観測隊長の意向で,JARE47に関する記事を載せていたりその予定のあるウェブサイトの公表の可否についての依頼が来た.インターネットが自由に使えるようになった現在では,南極観測に関する情報統制は結構難しい問題でもあり,逆に社会に対する開けたJAREをアピールする意味では重要な手段でもある.このページは大学教員としての公式サイトとしての性格もあるし,公表することは義務にも近いのでOKなんだけど,記載内容にはこれまで以上に気を遣う必要があることを自覚.いやホントに自覚させられました.


帰還

昨夜からの風で葉がけっこう散った.でも今朝はボワーっと暖かい.

パキスタンへ出かけていた組が帰還.

明け渡した実験室の掃除やら,あちこちからの依頼や問い合わせのメールに対応したりする一日.

今日は極地研からの最終貨物便が出る日.私の私物もしらせへと運ばれているはず.極地研のお二人,大変でしょうけど,どうぞよろしく.

鼻が腫れていたい.


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