朝一で,昨日放置してきた海氷掘削装置の回収に出かける.
やっぱり装置はかたまったまま動かない.ドリルが水面まで海氷に刺さったままので持ち帰ることも出来ない.そこで,一番やりたくないことを思い切って実行することにした.
海氷掘削で一番恐れていることは,ドリルを海に落としてしまうこと.動かなくなった装置を使わずにドリルを回収するには,ロッドの上端をソリの下まで下ろして,装置から抜き取らなければならない.このときに何かでしっかりロッドをつかんでいないとドリルを海底に沈めてしまうことになるのである.
まずロッドが装置に固定されている状態のうちに,足場用の直交パイプクランプの片方でロッドをつかむ.そこにロープをかけてソリの上に乗っている装置の骨組みからつり下げるようにして確保しておく.さらにソリの下からもロープを潜り込ませて二つめの確保をとっておく.
ここでようやく装置の下へロッドを抜き取り,ロッドが抜けたところでソリを移動させる.ソリの移動に伴って,張り具合を調整しながら確保用のロープを繰り出す.ソリが移動したら,これでロッドが海氷から空に突き出した状態になる.
装置の骨組みからつり下げていたほうのロープを緩め,下側のロープにロッド確保を移行させておいて,ソリから一旦切り離し,すかさず移動させたソリの一部にロープの末端を固定し再び確保できる状態にする.下側のロープ一本だけで確保されているこの瞬間が一番危険.
最後は,ロッドと十字になるように,パイプを直交クランプのもう一方に差し込み,パイプの両端を人力で持ち上げてドリルを回収.
なんとも複雑な手順だが,絶対に落とさない,ということを合い言葉に,慎重に作業して無事終了.体力よりも精神的に疲れた.ソリの位置合わせの時に使ったレバーブロックといい,今回の確保手順といい,転落者や転落車両のレスキューに関しては,これで実践的な訓練をやったも同然って感じ.
基地に持ち帰って装置を検分したところ,かなり重傷のダメージを受けていた模様.メーカーに修理方法を問い合わせてみるつもりだが,どっちにしろ基地にある部品でなんとかしなければならず,まだまだ試行錯誤が続くのは必定.
とりあえず,別の方法でもなんでもいいから,もう一個孔が開けば,第2ステージの試験を行うことはできるので,修理と並行して実施するのも手だな,と思う.