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復活



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修理を完了した海氷掘削ソリの再始動.ハンドルに手をかけなくても,自重で掘り進んでいくようになった.持ってきた直後よりもよく動くようになったんじゃないかと思えるほどである.掘削が快調に進み,皆の顔も明るい.

考えてみれば,しらせに積み込んではるばる運んできて,その後も極夜開けまでほったらかしにしておいて,いきなり使ったのだから,不具合が出てもおかしくはなかった.しかし,今回はいろんなトラブルを経験して仕切り直したことや,機材を自分たちで分解・組み立てしてみたことなどによって,極限状態で初めての試みを実行する上での現場のノウハウを得ることができたのは大きな収穫だった.こういうことはなかなかマニュアルでは伝えられない.南極観測には,気づかないところにも似たようなことがたくさんあるに違いない.


修理完了

早朝,ライブステージの合間に,テレビ会談の設備を使わせてもらって,南極展に来ていた家族と対面させてもらう.生の動きのある次男を見るのは初めて.

孔を開けてから数日たつので,開いた状態を維持するために凍り始めた部分を砕きに出かける.夕刻,海氷掘削装置の修理を完了.

地震計室の温度管理.


解体

image固まった掘削装置の解体を試みる.これまた一筋縄ではいかない作業.なだめたりすかしたりしているうちになんとか解体できた.故障の原因らしき部分もつきとめて,不具合の出た部品の修理にかかる.

解体作業の合間に,地震計室の温度調整のため,ヒーターをつけたり扉を開いたりする.何度か通って,温度の推移を記録.

Wikiの記事が多くなってきて動作が遅くなっている.サーバーの不要なプロセスを殺したり,サーバープログラムをバージョンアップしたりしてCPUの負荷を下げてみる.Cacheの設定も有効らしいが,動作速度にムラが出て一定しない.それでも,30-40%の速度回復を実現できた.


無事回収

朝一で,昨日放置してきた海氷掘削装置の回収に出かける.

やっぱり装置はかたまったまま動かない.ドリルが水面まで海氷に刺さったままので持ち帰ることも出来ない.そこで,一番やりたくないことを思い切って実行することにした.

海氷掘削で一番恐れていることは,ドリルを海に落としてしまうこと.動かなくなった装置を使わずにドリルを回収するには,ロッドの上端をソリの下まで下ろして,装置から抜き取らなければならない.このときに何かでしっかりロッドをつかんでいないとドリルを海底に沈めてしまうことになるのである.

まずロッドが装置に固定されている状態のうちに,足場用の直交パイプクランプの片方でロッドをつかむ.そこにロープをかけてソリの上に乗っている装置の骨組みからつり下げるようにして確保しておく.さらにソリの下からもロープを潜り込ませて二つめの確保をとっておく.

ここでようやく装置の下へロッドを抜き取り,ロッドが抜けたところでソリを移動させる.ソリの移動に伴って,張り具合を調整しながら確保用のロープを繰り出す.ソリが移動したら,これでロッドが海氷から空に突き出した状態になる.

装置の骨組みからつり下げていたほうのロープを緩め,下側のロープにロッド確保を移行させておいて,ソリから一旦切り離し,すかさず移動させたソリの一部にロープの末端を固定し再び確保できる状態にする.下側のロープ一本だけで確保されているこの瞬間が一番危険.

最後は,ロッドと十字になるように,パイプを直交クランプのもう一方に差し込み,パイプの両端を人力で持ち上げてドリルを回収.

なんとも複雑な手順だが,絶対に落とさない,ということを合い言葉に,慎重に作業して無事終了.体力よりも精神的に疲れた.ソリの位置合わせの時に使ったレバーブロックといい,今回の確保手順といい,転落者や転落車両のレスキューに関しては,これで実践的な訓練をやったも同然って感じ.

基地に持ち帰って装置を検分したところ,かなり重傷のダメージを受けていた模様.メーカーに修理方法を問い合わせてみるつもりだが,どっちにしろ基地にある部品でなんとかしなければならず,まだまだ試行錯誤が続くのは必定.

とりあえず,別の方法でもなんでもいいから,もう一個孔が開けば,第2ステージの試験を行うことはできるので,修理と並行して実施するのも手だな,と思う.


今日も...

朝一で南極展のライブステージに出演.子供たちの質問を受ける.

テレビ会談を終えてすぐに海氷掘削そりの試験に出かける.気合いを入れ直して再度臨んだものの,またまた掘削装置の不調により完了せず.なかなか第2ステージに進めない.

最初のうちは,前回までの試行錯誤の経験を反映させて,導入孔の掘削とそこへのそりの位置合わせ,そして洗濯機掘削まで順調にすすんだのだが,孔があいてドリルを引き上げる段階になって,掘削装置が固まってしまった.どうもマイナス30度の低温でこの掘削装置を動かすのはそもそも無理があるらしい.凍り付いた装置を温めたりして必死に回収を試みたものの,暗くなってきて時間切れ.掘削ドリルを海水に突き刺したまま,ソリを岩島の脇に置きっぱなしにして,無念のうちに基地に帰投する.明日は朝一で回収作業だ.今後は,低温対策をどうするかが大きな課題である.基地に帰って,機械隊員などに装置の図面を見せながら,あーでもないこーでもない,としばし議論.こういう時も頼もしい人々である.

夜,疲労梱倍の体にむち打って,月例報告の資料をまとめる.


テレビ会議

早朝の南極展のライブステージが終わってすぐ,北大とテレビ会議に突入.久しぶりに研究室のメンバーの動いている様子を見ることができた.研究科長もじきじきに来ていただいてちょっと恐縮.夏隊の高野さんにも来ていただいて,越冬中の数人とも話ができた.

実は,向こうに南極への興味を持ってもらうという趣旨よりも,こちらが日本の雰囲気を感じたいという趣旨のほうが強かったりする.オープンユニバーシティの一環ということで,話の内容をどのレベルに合わせようかと思案したけど,一応大学院内での企画でもあるし,普段の南極教室や南極展の内容よりも高度な設定にしたつもり.これ以上深入りすると,ゼミになっちゃうし...

テレビ会談を終えてすぐに,すでに朝一で岩島付近に観測試験に出かけていた一行に合流.まあ,いろいろと不具合が出てきて,なかなか一筋縄ではうまくいってくれない.これが南極か...忙しくて写真を撮っているヒマがなかった.撮影係を頼んでいた隊員のこちらの記事のほうが詳しい.いつも応援ありがとうございます.


お菓子

imageずっと見晴らしに置きっぱなしだった「やぐらソリ」がようやく基地下までやってきた.これで「三浦ソリ」と呼ばれる我々のプロジェクト用ソリ3台がそろったことになる.

image夕食時に食堂に入ったら,それぞれの椅子にお菓子がたっぷり詰まった袋が置いてあった.越冬食料の一部として持ってきたお菓子のうち,旅行用やバー用のスナック類を除いて,小箱サイズのものを中心に個別当分配布されたものである.

お菓子の配布方法は隊によって様々で,私が前に越冬したときには,旧発電棟にあったアマチュア無線室の隣に菓子庫があって,そこから自由に持って行く方式だった.アマチュア無線の交信のときに部屋に入ると,甘い香りが立ちこめていたことを思い出す.また,別の隊では,居住棟の空いている一室にお菓子や文房具を並べてコンビニのようにして使っていたこともあるようだ.でも,数週間であっという間に物がなくなったという話である.コンビニ形式といってもお金を払うわけではないので,好き放題消費されてしまうのは当然のような気もする.

今回は,極夜明けの今になって,箱物のお菓子を中心に個人配布されたわけだが,これから外出も多くなるし,中間食を配るわけにもいかなくなるので,丁度良いタイミングなのかな,と思う.

お菓子嫌いの人でも,だれかにあげたり開放したりすれば良いわけで,個人管理でも充分やっていけるんじゃないかと思う.


第2ステージ

海氷掘削ソリの試験が一段落して,引き続き海底探査のための水平無限ケーブルを通すための第2試験ステージに移行.そのための資材準備で一日外作業.マイナス30度の外作業は,短時間でも疲労度が違う.

朝日新聞に「タイガ火災跡を大規模調査へ」という記事が載っていた.ALOSも使うのだとか.きっとうちと関係ある人々の計画に違いない.


海氷洗濯機

ライブステージはあるし,中継点旅行の準備でS16組はでかけるし,我々は海氷掘削ソリの試験があるし,という感じで,休日日課にも関わらず早朝の食堂は賑やか.

海氷掘削ソリの試験もいよいよ終盤.セジメントトラップを仕掛けるという実質的な仕事もかねて,向岩ルートを通って,オングル海峡の最深部へとでかける.

動作試験ということで,いつもやってしまうようなオトボケミスはいくつかあったけれど,掘削は至って順調.実際に海水まで突き抜けたのは今回が初めて.海水の中で海氷の削り屑がドリルでぐるぐる回されている様子は,さながら『海氷洗濯機』である.

imageまだ短い『日中』をついて,海氷を掘る.

image海水がしみ出してきてシャーベット状になった削り屑.

imageめでたく開いた孔一号にセジメントトラップを仕掛ける.この後に悲劇が...


準備

休日日課.ブリは早朝におさまり,外出禁止令も解除.明日の掘削試験の準備など.


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