日々の雑感 一覧

巨人の肩の上に立つ

Standing on the shoulders of Giants (巨人の肩の上に立つ)に倣って

役回り上の仕事で、今日は附属中学校の入学式で挨拶してきました。まだ小学校を出たばかりの生徒たちに、直系列大学からやってきた老教授が語ることなんて誰も聞いていないだろうとは思うんです。でもせっかくなので「中学生になった今、ちょっと背伸びして大人ぶったつもりで聞いてください」と前置きして「Standing on the shoulders of Giants」の話をしました。
「自分の業績は誰かの業績の上に載っていて、そして自分の成し遂げた事もまた次の世代の礎になる」という考え方がアカデミズムにはあること、そして校歌に謳われている「よき師、よき友」の絆もこめられていることを伝えたくて、この言葉を選んだのでした。
別れと出会いが続く春にはきまって「You Raise Me Up」を繰り返し聞いています。私のお気に入りは以下の二つのバージョン。
ここにも「I am strong when I am on your shoulders You raise me up to more than I can be.」というフレーズが出てきます。
薬師丸ひろ子 https://www.youtube.com/watch?v=r5RDf88jhms
Celtic Woman https://www.youtube.com/watch?v=Yfwlj0gba_k
You raise me up, so I can stand on mountains
You raise me up to walk on stormy seas
I am strong when I am on your shoulders
You raise me up to more than I can be.
〝皆さんが入学された本校は「巨人」の肩にのることのができる環境を備えています。
私がここまでこれたのはまったくの幸運が積み重なったからでしたが、皆さんはこの時点ですでに「肩」にのることができる「巨人」を見つける機会や「肩」への乗り方を教えてもらえる環境を手にしているんです。
自分が向かいたい将来を見据えたり、自分に力をつけていったり、一緒にその道を歩いていったりする仲間を見つけるにはとてもよいスタート地点にたっていると思います。
ぜひこれから六年間、教室での勉強だけではなくて、スポーツや課外活動などにも積極的に取り組んでください。先生方や仲間から学び合い、お互いに切磋琢磨してください。〟
ここ数年では遅めの桜がちょうどいい感じでした。

大きな玉ねぎで入学式

大きな玉ねぎで入学式でした。我が校の規模ではAM/PMの2部制で、入れ替えの混雑はハンパありません。あいにくの天気で桜も七分咲きでした。
 壇上のお勤めを終えてから夕刻に自分の辞令を受け取りました。椅子取りゲームかと思う方も多いでしょうけれど、実情は完全にババ抜きです。これから2年間ご奉公いたします。

青二才たちのバラード

NHKプロジェクトX復活記念!20年前の感動を再び!と題して秘蔵の動画を2本公開します。2004年3月に北大低温研を退官された「陸軍山田学校」の鬼教官こと山田知巳さんの退官記念として、弟子たちによって「青二才たちのバラード」というタイトルで作成された動画です。あれからもう20年、当時の青二才たちは皆さんそれぞれ立派になられてご活躍中です。
著作権の都合上BGMは割愛せざるを得ないのが非常に残念。ぜひ中島みゆき公式YouTubeチャンネルで、前半を「地上の星」(https://www.youtube.com/watch?v=v2SlpjCz7uE)、後半を「ヘッドライト・テールライト」(https://www.youtube.com/watch?v=mBYmBjLcn_4)を聞きながらご覧ください。
 こうして音抜きの動画にしてみると、プロジェクトXの感動が中島みゆきの歌と田口トモロオの独特のナレーションに支えられていたんだなぁ、とつくづく思わされます。
動画前編

動画後編

「冒険・探検」というメディア

冒険・探検」というメディア:戦後日本の「アドベンチャー」はどう消費されたか(高井昌吏著、法律文化社)

を一気に読了。

 春休みにゆるゆる読むつもりで出版されてすぐに入手しておいたのだけれど、その後の想定外の身の回りの展開でお蔵入りしてしまいそうになっていた。その身の回りの変化が予想以上にストレスフルなので、鬱憤晴らしか現実逃避かわからない感じでつい手が伸びてしまって、仕事そっちのけで読みふけってしまった。
 タイトルにもあるとおり、探検や冒険がどう消費されたかという「社会論」である(片隅には「Social History of Janal No1」と書いてあるので、これは社会学の一分野としてシリーズ化される気配すらある)。かくいう私は、高卒後に北海道に渡り、大学山岳部の門をたたき、もっぱら高山・極域研究に身を費やしてきて、ついには社会学部という今のポジションに落ち着き、地平線会議という居場所を得て、南極観測の最前線で指揮をとりつつも、実際には文系あたまの若者をアジっている、という研究者である。そういう我が身にとっては、書いてあること全てが突き刺さってくる内容だった。もうあちこち付箋だらけ。
 マナスル初登頂という偉業を成し遂げた今西壽雄氏の「ぼんやりとした顔つき」に白州正子が見いだした「真正性」とか、戦後復興期のエクスペディションを支えていたのは戦前の大日本帝国が築いていた知的財産の一部だった、とか、のっけから引き込まれる分析や考察が目白押し。こうした考察の数々は、「消費」のされ方を様々な文献や記事から丹念に探っていくことによって実現されているのだということがよく分かる。社会学部にやってきてもう十年になるけれど、身近にいる生粋の社会学者たちのことはそれほど理解できていなかったし、積極的に理解しようとも思ってこなかった。しかし、この本によって自分の土俵に近いところで社会学的考察を論じられているのを目の当たりにして、ようやく、彼らがどのようにその生業を紡ぎ出しているのかが理解できかけてきたような気がする。
 コロナ前に卒業させたゼミ生の一人が、ネパール単身旅行で体験してきたことを綴った卒論を提出してきたことがあった。読みものとしては非常に面白かった反面、学術論文としてどうなのかと考えてしまうと評価に困ってしまったのだけれど、この本を読んそれを評価するための軸をようやく与えてもらったような気がしている。北杜夫・小澤征爾・小田実ら60年代前半の青年冒険家たちが発信する内容の消費のされかたの考察に「インテリだから、冒険する」という本人の言が引用されている。それからもう半世紀もたってしまっているとはいえ、現代を生きる若者の自分探しのモノローグとして捉えて評価してあげることも社会学部であれば可能なのだと思えるようになった。
 冒険・探検界で「川口」と言えば「慧海」なのに世間では「浩」、とか、こんな調子で、猿岩石・栗木と来てついには角幡に至る至高の考察の連続である。「外部と日常をつなぐ媒介者」というキーワードは、南極観測隊の広報活動の中でもずっと考えさせられてきたテーマでもあるし、また「人新世」として注目されつつある環境問題の中で、コモンとかインティマシーとかの思想的な枠組みが重要性をおびてくるだろうという予感もある。この春からは教壇からはやや遠ざかってしまうのだけれど、この本を課題図書にしてゼミを展開してみようか、とも思っているところ。

イグルーの作り指南の思い出

JARE63越冬中、若い隊員たちが「ミッドウィンター企画でかまくらやイグルーの中で宴会をしたい」というので、イグルーの作り方を彼らに指南したことがありました。あまりに寒いのでちゃちゃっと済ませるため小型の試作品を小一時間で作り上げました。積雪が風でたたかれてスコップがつきささらないくらい固いのですが密度が小さいのでブロックを大きく切り出しても楽々運べます。
(この冬はいろいろたてこんでいてさっぱり銀世界に行くことができていません。あの頃に戻りたい...涙)

64-65次越冬交代

越冬交代式は室内だったようですね。樋口64越冬隊長が目頭を拭っています。越冬お疲れ様でした!無事のご帰国をお待ちしております。

日本アニメ風に越冬隊長の画像を作って

期末試験や年度末の学務で超多忙。このクソ忙しさの要因の一つには来年度に公開予定のオンライン授業コンテンツの作成があります。これには著作権処理が必要で、それを回避するためにどうしようという新たな悩みも。それに拍車をかけてこの2月からGoogleやYahooが開始したSPF、DKIM、DMARCという迷惑メール排除措置(受験生へのメールが届かなかった事件もあったやつです)への対応にも奔走中で、関係各方面にはご迷惑をおかけしています。
 これらのことでいろいろ調べていた過程でGoogleが高品質な画像を簡単に生成できるAI「Imagen 2」を発表していて日本からも使えるようになっていたことを知りました。これがすでに組み込まれているBard (https://bard.google.com/)というAI画像生成サイトで早速試してみました。
 投入したコマンドは「Generate an image of an expedition leader in South Pole, Japanese anime style」
 それでできあがったのがこの画像。女性の頬の凍傷のデイテールもなかなか。アニメ風と指定したので「よりもい」みたいな画像も提案してきました。でも私がほしいのは今回指定したLeaderという一般名詞ではなくて、アムンセンやスコットというような固有名詞での生成なんですよねぇ。でもそれは拒否されました。システム側でできないようにしているみたいです。

ヌックで原稿書き

久しぶりに会議のない日です。しばし針の筵から解放されて、ヌックと化した資料室で木枯らしが吹く冬景色を眺めながら、たまった原稿をしたためております。

AIにオンライン講座の素材作成を頼んでみたら

AI生成コンテンツをアップするとネットを汚染してしまうのでちょっとためらわれたのですが、できが結構良かったのでその驚きを伝えるためにアップします。 来年度のオンライン大学講座にコンテンツを提供するミッションが降ってきました。今その準備に追われています。「コロナ禍中のオンライン授業や普段講義室でやっている授業のままでいいですから」と言われて気軽に引き受けてしまったら、実はこれが結構大変で焦っています。ためしに最近はやりの生成AIにヘルプをたのんでみました。録音しておいた講義の音声ファイルから文字起こししてもらうのが主な目的だったのですけど、全体を要約した短編動画も作ってもらおうと思って試してみたら、音声情報だけからここまで作ってくれました。おどろきの完成度です。

謹賀新年

コロナ禍〜南極越冬をへて五回ぶりに新年を地元富山で迎えています。
昨年は越冬帰りの報告に明け暮れた年でした。ようやくそれも一段落して自分の研究に打ち込む時間ができると思っていたところ、年末に急展開がありまして、この先しばらくの間、組織のマネジメントにたずさわることになってしまいました。まさに青天の霹靂です。ふつつかものゆえ、あちこちにご迷惑をおかけすることになりますが、ご指導ご鞭撻を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

1 11 12 13 14 15 16 17 171