日々の雑感 一覧

帰国して約1週間.まだシャバに順応し切れていないのに,いきなり学会出席やゼミ募集説明会などで,強制的に国内での仕事が始まりました.怒濤のように流れ込んでくる刺激が多すぎて頭が混乱しています.
 加えて帰国報告準備や昭和基地に残してきた作業を逆リモートで片付けたり.
 情報収集の過程で,留守中に世の中で進んでしまったことで驚愕したことの一つが「ChatGPT」.これは学生を教える側としては戦略を大幅に変更しなければならなくなるな,と完全に頭を揺さぶられています.
ChatGPTの実力がどんなものかすごく気になったので,勝負を挑んでみました.一応勝った気にはなれたので,あとはその特質をつかんでうまく使いこなす方に回るまでです.
 以下,南極帰りの私がChatGPTに挑んだ「ある質問」へのChatGPTの回答です.「研究者からのインプットが必要」と言わせてしまったところが勝負のつきどころだと思ってます.私も頑張ります.
 ChatGPT>>〝申し訳ありませんが、私が知る限りでは、最近トッテン棚氷からの流出に関する情報はありません。ただし、トッテン棚氷は長期間にわたって縮小しており、その結果、氷棚から流出する氷の量が増加している可能性があります。
 トッテン棚氷は、南極大陸の西側海岸に位置し、海水面上昇に影響を与える重要な役割を果たしています。そのため、トッテン棚氷の状態や変化に関する継続的な監視が重要であり、多くの科学者がこの地域での研究を行っています。今後もトッテン棚氷に関する情報が入手でき次第、随時更新していきます。

任務完了

任務完了。

越冬残りあと1日。

越冬残りあと1日。オングル海峡の見晴らし沖の開放水面を、しらせの数倍ほどもある巨大な氷山が行ったり来たりしています。ここ数日曇天続きで、夏オペ時期とは思えぬモノトーンで寒々しい景色になっています。この氷山がこままま見晴らし沖に居座ってしまうのやら...

開放水面

昨日にしらせが昭和基地を離岸したばかりですが、ここ数日吹き続けていた15m/s越の北東風の影響でオングル海峡がすっかり開放水面になってしまいました。しらせが砕氷した跡なぞ、もうどこにもありません。そのしらせは現在、チャンスとばかりにこの開放水面を自在に航行しながら、ラングホブデ氷河のカービングフロントあたりで、マルチビームソナーやリモコン潜水艇を駆使して、海氷があると難しい氷河前面の海底探査にいそしんでいます。その反面、これから越冬を迎える64次越冬隊は、オングル島から大陸へ渡る経路を失って気落ちしています。樋口越冬隊長は前回の57次でも海氷流出を経験していますから、あの時の悪夢の再来で、さぞかし大変でしょう。はやく海峡が再凍結してくれることを祈っています。

地球影とビーナスベルト

越冬交代まで残すところあと10日ほどになり、夏オペも佳境を迎えています。今日で白夜も最終夜で日が沈むようになってきました。今年のしらせは、めずらしいことに昭和基地の北側に回り込んで停泊しています。真夜中にはちょうど太陽の反対側にみえていて、地球影とビーナスベルトを背景に氷山のかたわらにたたずんでいるのが窓から見えます。

昭和基地で書き初め

正月二日の事始め。沈まない太陽で赤く染まった海氷を眺めながら観測隊用語で書き初めてみました。

2023年元旦


地学棟の解体

19次(1978)で建設された昭和基地の地学棟はこの夏に解体されます。今回は地圏PIとして昭和基地入りしている61越冬隊長の青山さんと、ささやかな地学棟解体さよならセレモニーをしました。
実はJARE34当時に、昭和基地での超伝導重力計の立ち上げを成功させた佐藤忠弘さんが、地学棟にまだ看板がないと嘆いておられたので、私が作成していたのでした。その看板が30年ぶりに取り外されました。当時の私の裏書きがしっかり残ってました。忠弘さんは残念ながら昨年に他界されましたが、その御霊前に捧げたい気持ちでいます。慣れ親しんだ地学棟解体の瞬間に越冬隊長として立ち会うことができたのもなにかの因縁だろうと思います。
気象棟も数年前に解体されて、看板は現在、新基本観測棟内の気象部門のスペースに引き継がれていますが、最近解体がつづいている各建屋の看板は、64次の夏隊がすべて持ち帰って極地研にアーカイブ保存するそうです。

赤い鈴蘭

「赤い鈴蘭」は、最初に越冬した34次のときはフィルム映写機で、メインの映画の前座として2話づつ上映していました。オリジナルのフィルムが日本に残存しておらず困っていたところ、昭和基地にあるよ、ということで日本に持ち帰っています。47次で越冬したときはすでに持ち帰ったあとで残念ながら鑑賞できませんでしたが、フィルムをDVDにしたのを48次が再度昭和基地に持ち帰ってきています。それでこの交流が可能になったのですね。ちなみに63次越冬の現在は、その存在自体や、歴代の越冬隊が鑑賞し続けてきたという歴史を知る人もすっかり減って、私がいちいち解説する立場になってしまいました。


赤く染まった極夜の空


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