迷い人との対話
ここ数日,氷河作用研究グループの「Q and A BBS」で『「ハインリッヒの法則」からの迷い人』なる人と「”The Day After Tomorrow”について」やりとりしている.
うちの院生と会話したり議論したりしているよりずっとおもしろい.
私の独断と偏見で返答しているので,多角的な意見をもらうためにも,もっといろんな人に回答役になってほしいのだが,どうだろう?
氷河・氷床一覧
ここ数日,氷河作用研究グループの「Q and A BBS」で『「ハインリッヒの法則」からの迷い人』なる人と「”The Day After Tomorrow”について」やりとりしている.
うちの院生と会話したり議論したりしているよりずっとおもしろい.
私の独断と偏見で返答しているので,多角的な意見をもらうためにも,もっといろんな人に回答役になってほしいのだが,どうだろう?
「北海道学」の講義の準備やらGWのテストやらでなかなか論文が進まない.「進まない」というのは「進める気がない」ってことなのかもしれない,と自己反省してみたりもする.
懸案の論文はオージャイブに関するもの.ふと,寺田寅彦の「電車の混雑について」という随筆を思い出した.
人々が,我先にと時間を惜しんで早く来た電車に乗り込む心理が,自然物にも存在しているとは思えないが,混んだ電車のあとに空いた電車が来るという法則は,氷河表面のデブリの分布にも当てはまるのである.それが,今書いている論文.
夕刻,JARE45で越冬した清水医師の「隠れ気水圏隊員としての越冬報告」を聞きに低温研へ.
美しくみごとな写真が多い.清水医師の腕前もあるのだろうけど,デジカメ時代の南極撮影事情は相当快適そうに思えた.さて私は,どういうカメラを携行しようかしら?
一度に拙著二編が世に出た.一編は火星に関する論文.これで私も火星デビュー.
下記のプログラムにもあるとおり,大御所さんが南極の内陸環境と火星とのつながりに注目する提案をされる,ということもあって,私のレビューも役に立てるかもしれない...などと期待してみたりもする.
そういえば,ドラムリンのレビューを書いたときもそんなことを思っていたような...でも結局は,氷河地質学も氷底水流派も,いまだに日本で勢力を拡大できずに孤軍奮闘状態...な私なんである...
「日本−ベルギーの南極共同観測の可能性を探るワークショップ」
プログラム
日時 2005年4月22日(金曜)10:20-17:00
場所 国立極地研究所2階講義室
10:20-12:00
集会の趣旨説明 白石 和行(極地研)
南極内陸砂漠の永久凍土と風化・土壌形成プロセス−火星の地表環境の理解に向けて
松岡憲知(筑波大学)
セールロンダーネ山地での氷河地形の研究課題
岩田修二(首都大学東京)
地球表層環境変動システム研究における南極内陸山地研究のいくつかの意義
三浦英樹(極地研)
東アフリカ-東南極造山帯の進化発達史
馬場壮太郎(琉球大学)
東南極ドロンニング・モードランドのPan-African火成活動のマグマ過程
大和田正明(山口大学)
昼食 12:00-13:00
13:00-15:10
南極大陸での広帯域地震計アレイ観測計画とベルギー基地での展望
金尾政紀(極地研)
ベルギー夏基地における大気観測
中島英彰(環境研)
宙空無人磁力計ネットワーク観測将来計画
門倉 昭(極地研)
南極における微生物探査の現状と展望
長沼 毅(広島大学)
凍土モニタリングと古地表面状態の推定
石川 守(地球環境観測研究センター)
2004年11-12月の現地偵察報告
基地候補地の調査 白石和行(極地研)
あすか基地の現状 石沢賢二(極地研)
日本の南極観測の今後の計画ー第VII期(2006-09)計画
藤井理行(極地研)
休憩 15:10-15:30
15:30-17:00
ベルギーの基地建設計画と科学観測計画
Hugo Decleir (ブリュッセル自由大学)
総合討論
雑用の合間に,最近講座に入ったWind as a Geomorphic Agent in Cold Climates という本を読む.
著者は北欧の研究者だけど,我々にとってはあちこちで見かける機会も多い,例の,南極・ライト谷で森脇さんが撮影した三稜石の写真なんかが引用されていたり,雪のドリフトに関する章では日本人の研究の引用が多かったりして面白い.実際,寒冷地域における風と地形に関する研究は,うちの講座が得意とする分野でもあるし,親しみが持てる内容である.
欲を言えば,日本の高山地域が,強風・多雪を特徴とする世界的にみても特異な地域であるということも一言ってほしかった.もっといっちゃえば,ノルウェーで出している科学誌に石川と一緒に書いた大雪山の積雪シミュレーションに関する論文の引用もなかったのは残念なんだけどなぁ...
でも考えてみれば,こういう「風と寒冷地形」に関するまとまった本ってのはこれまでなかったんだよね.そういう意味では,勘所がうまく整理されていて,ニッチな分野の概要を知るには非常によくできた本だと思った.
機会があれば自主ゼミの題材にでもしてみてはどうかと思う.
極地研で『第四紀後期の1000年スケールの気候変動の発源 地と伝搬機構についての最近の研究ー特に南極・南大洋周辺地域の役割と位置 づけー』の研究集会.
研究集会というよりは勉強会に近い.ミレニアムスケールの気候変動復元に関する最近の研究のレビュー.普段は院生にでもやらせたい文献紹介が中心だが,うちではこれを専門とする院生がいないので,なかなかできない内容.しかも,日本の第一線の研究者がじきじきにレビューしてくれるので,内容も濃いし完成度も高く,忙しさにかまけてさぼっていた文献読みの穴を埋めてもらって非常に勉強になった.
ここで紹介されるような論文の著者は,どこまで自分でデータを出しているのか,と疑問に思う.ハイレゾ分析の分野は,欧米では分業化が進んでいて,いわゆる研究者は出てきたデータの解釈に専念できると聞いている.それだけに,コアの解析もスピーディーだし解析技術の改良も効率的.
そのような欧米とは正反対に,研究者自らが解析もして解釈もして論文も書いている日本はコアの処理効率が悪い.そのような欧米とは研究風土も組織もまったく違う日本で,研究者本来の仕事を欧米風にできる人はというと....実際のデータの生産者から結果をもらい,秀でた語学力と論文執筆能力でさらっと国際誌に発表...日本の事情を知らない欧米の研究者はそれが普通だと思っているから,どんどん情報を発信してくれる人に対しては評価も高くなるし...
でも,日本でそれをやったらトモダチを失う.それでも平気な人でないとできない技だよね.
北大入試日.恒例の暖房灼熱地獄の日.JRの事故のため2時間繰り下げの実施となる.
こぢんまりとして居心地の良くなった事務室でだべっていたら,20時まで試験監督に拘束されていた教授がやってきて,思わず遅くまで話し込む.旧環境基礎時代の古き良き時代を思い出した.これからは失われた10年をふりきって,基礎当時のレベルを復活させるべくがんばろうと思う.
いい加減に切り上げて研究室に戻ったら,メーリングリストで,8月下旬にウェールズで開催される氷河の堆積作用に関する国際会議の案内が来ていた.氷河地質学の錚々たるメンバーが話題提供者として名を連ねており,M2の修論を国際舞台で発表して日本の氷河地質研究の存在をアピールするのにぴったりの学会だと思った.
氷河底プロセスや氷河のデブリ運搬プロセス等のトッピックもさることながら,スノーボール・アース仮説の先鞭をつけたBrian Harland教授を記念した学会でもあるということで,非常に面白そう.
いかんせん,今となっては締めきり(3/1)にかなり押し迫った時期の案内でもあり,修論のほうもまだつめきれていないことも多いので,これから準備するにはとても間に合わない.
欧米の研究者なら,言葉の壁もないし地理的にも近いので,寒冷地形談話会のようなノリで気軽に参加できるのだろう.けれども,日本人としては旅費の後ろ盾もないし,英語に直す手間もかかるので,ホイホイと参加表明できないところがつらいところ.でも,行ってみたいなぁ...
ふと気付いたのだが,遅れに遅れていた論文に決着をつけないと,次に進めないんだな.そろそろ本腰を入れて改訂作業に取りかかるか...長岡のほうは学術活動に復活できただろうか?長岡の彼ともう一人の理学部方面の彼が協力してくれないと進まないんだよなぁ...
三月中には決着をつけよう...と思ってみるが,三月はすでに予定で一杯...
注目のニュース2件.
北極圏の分厚い氷で覆われたグリーンランドのほぼ中央部を深さ3085メートルまで掘削し、最も深い約12万3000年前の氷の試料を分析したところ、前回の氷河期の前は、現在に比べて気温が平均約5度高かったことが分かった。国立極地研究所など日米欧の国際研究チームが、9日付の英科学誌ネイチャーに発表した。[時事通信社]

台風が過ぎて大きな虹.
氷河作用研究グループの掲示板で「エベレスト,地球温暖化で高度低下か」に関する議論.
決め手は,金森君紹介の論文.Michael M. Herron and Chester C. Langway, Jr. (1980) Firn densification: an empirical model. Journal of Glaciology, 25(93), 373-385.
やっぱり餅は餅屋.
研究科長主催のジンパ.DEAN主催といっても,食材がただで出てくるわけではありません.
当講座は,教員も院生もほとんど出払って不在のため,当初は不参加を表明していたものの,こぢんまりとでもやりますか,ということで,急遽参加することに.不在は決して恥じることではない.フィールド屋は外に出てこそナンボのもの.むしろこの状況はヨシとみるべきだろう.そういう私は研究室で原稿書き...
日高論文はファブリックの傾向がいい感じで,これで完成に一歩近づく.同時並行作業で,昨日開催の支部発表会の論文に手をつける.3ページ分はできたんだけど,もう1ページ分をなんとか増やしたいところ.
滋賀で開催される雪氷学会の特別セッション「惑星探査の発展と宇宙雪氷の魅力」への協力要請をうける.ここは地形屋の意地(維持)にかけても一肌脱がねばなるまい.申し込み時期を忘れないようにメモ.
学会のホームページを見たら,要旨原稿をPDFで作成しろ,とある.まあ今の世の中,PDFはある意味標準フォーマットになったも等しいから,PDFファイルを作成するスキルとシステムを持っていることは,研究者としては当然のことになった,とみてよいだろう.
でもやっぱり,デジタルデバイドは生まれるだろうな.その溝を埋めるために,手書き原稿や印刷原稿をPDF化する担当者は,きっと大変なことだろうと思う.来年は北海道が開催地なので,こちらにその仕事が回ってくることがないよう祈るのみ.
幸いというかなんというか,OS Xには標準でPDF出力機能がついているから助かる.けど,ホームページのHow To項目にWinの記載しかないのはなんとなくさみしい.ついでに,うちでリースしているコピー機は,コピー原稿をそのままPDFに出力してくれる機能がある.年度初めには設定関係でさんざん面倒をかけさせられたけど,この機能は非常に便利.
...なんて書いていたら,「便利そうなものを使っているようだし,来年は予稿集係をやってくれない」なんて言われそうだ.でも,私はやらない...だろう...
QUEEN(Quaternary Environments of the Eurasian North)プロジェクトの総合報告がQSR23(11-13)に載っている.6/11にドームCのドリリングの成果が出たことを書いたが,今度は更新世後期の環境に関する研究の話.またまたヨーロッパ軍団の成果.
1996年に始まったこのプロジェクトは,2回の氷期・間氷期サイクルを含む過去25万年にわたる北ユーラシアの環境変動を,氷河作用から永久凍土,海面変動,モデリングなどを含めて総合的に明らかにしようというもので,今回の報告は300ページ近い大作となっている.読むだけでも一仕事.カラーもふんだんに使われていて,今後,北ヨーロッパの環境変動のスタンダードになりそうな雰囲気.
注目しているのは,Mangerud他のIce-dammed lakeに関する論文.現在,Scabland問題やドラムリン問題に関連して,氷床周縁湖に関する洪水現象のレビューに取り組んでいるだけに,無視できない存在なんである.はやく仕上げないと,レビューすべき文献が後から後から出てきて,追いつけやしない... といっても,Mangerud他の指摘するOutburst Floodは,90-80 とか 60-50 kaということなので,どうも私が注目している最終氷期中のものよりも古いらしい. ここでもやっぱりglobal Last Glacial Maximumという語が使われているのが気にくわない.Abstractの一カ所だけなんだけど...誰かに指摘されて後から付け足したっていう感じ.