あれから一年

一年前の今日は,雪氷災害調査チームが発足して最初の仕事となった事件が起きた日だった.昨年はこの最初の仕事で発した警告が,10日後に起きた第二の事件で生かされなかったという残念なこともあった.発足一周年目に合わせたというわけではないけれど,これから二年目の活動をはじめるにあたって,報道関係への協力依頼という意味も含めて,道庁内で調査チームの記者会見を行う.

引き続いて,『雪崩から身を守るために』と題した講演会が開催され,当事者の体験談が語られた模様.私は所用のため出席できず,残念.

掲載間近の論文について,著作権や別刷り関係の手続き.編集側の手違いで回ってきた案内が不完全で,二度手間になる.カラーの図表に関する高額なチャージの問題で,印刷体とオンライン版のどちらを重視するか悩ましい選択を迫られる.

耐震補強工事にからむ一時待避の議論で,もう研究室に大量の蔵書を置いて仕事する時代じゃないでしょ,なんてことも言われたりして,印刷体の価値がどんどん下がっている気配も感じられるこの頃.論文は,我々が最終的に求められている重要なプロダクトの一つであるにもかかわらず,その存在が一過性のフローの一部に成り下がってしまっているような気がしてきた.

図書館にジャーナルのバックナンバーがずらっと陳列されている様子は,一見して『知のストック』という印象を抱かせるもので,そこから学問と知への畏敬の念も芽生えてくるとも思うのだが,サイバー空間のフローの一部と化した現代の論文たちが,はたしてそのような二次的効果も生み出してくれるかどうかは,はなはだ疑問である,とも思う.


あわただしい一日

週末の講演会の準備・頼まれ仕事・緊急事態への対応などであわただしく過ごす.


仮住まい

耐震補強工事に関する会議.来年は初夏から年度末までどこかに仮住まいになりそう.フィールドに逃げようかな.


はやくまとめろ

論文を読んだ感想とこちらの進捗具合を書いてShaw教授にメールを送ったところ,執筆で難しいところがあれば手助けするからはやく南極の結果をまとめて投稿しろ,とencourageな返事が返ってきた.

先生は,もうほとんどリタイア状態だけど毎日大学には出ている,ということ.お元気そうで何より.


今年は熱い 稚内

息子二人をつれて博物館に講演を聴きに行く.下の子はじっと聞いていられる年ではないので,週末恒例の館内巡回ツアーに連れ回す.そういうわけで,実際に話を聞くことが出来たのは上の子だけ.面白かったらしい.

asahi.com北海道版の記事によると,5年前に書いたエントリーのアイデアが,まるで実現したかような企画で稚内が盛り上がっているいるらしい.初代しらせの部品だけでももらえるといいな,と思う.


研修・南極OB会

昨夜からの降雪で奈井江の温泉のまわりは真っ白に.午前中は昨日に引き続いてFD研修会.

午後に札幌に戻ってその足で研究室へ.しばらく仕事して,夕刻より南極OB会北海道支部主催のJARE50壮行会.装備改革の話などを興味深く聞く.ついでに,越冬中に私のリクエストでやってもらうことになっているモニタリングの打ち合わせなど.


FD研修

FD研修のため奈井江の温泉に一泊拉致.

レクチャーとグループ実習形式でびっしりの内容.

日韓シンポで来られない総長に代わって逸見副学長が挨拶.なかなか興味深い話で,これが一番もうけものだったかもしれない.


ついに

ついにShaw先生も南極進出!!Geomorphologyの最新号に下記の論文が出たので,タイトルを見た時には一瞬そう思った.共著のYoung氏はこの写真を撮ってくれた研究者である.

Shaw, J. Pugin, A., Young, R.R. (2008) A meltwater origin for Antarctic shelf bedforms with special attention to megalineations, Geomorphology, 102, 3-4, 364-375.

でも,実際には著者達は南極に行っているわけではなく,この論文は,西南極のアイスストリーム研究の第一人者のAnderson博士らの研究成果を,氷底水流説で再解釈したもの.じつは,今私が書きかけの論文で,昭和基地での三浦プロジェクトの成果をもとに,同じような解釈をこころみていたところなのだが,先にやられてしまった.でも,やってくれたのがShaw先生だからまったく悔しくはない.とはいえ,私のほうも早々にまとめなければならないハズで,さっぱり進展しないのがつらいところ.

もう一つの切り口は,ウプサラのErlingsson教授が提唱する「Captured Ice Shelf仮説」を再評価することかなぁ...と思ったりもする.すでに基礎的なところは

Sawagaki, T. and Hirakawa, K. (2002): Hydrostatic investigations on subglacial meltwater: implications for the formation of streamlined bedfroms and subglacial lakes, East Antarctica. Polar Geoscience, 15, 123-147.

に書いているので,そこんところを最近の成果も含めて発展させればいい.

実は,先日の先進プロジェクトの研究集会で,「コールドベースの氷床とウェットベースの氷床の形状」と「寒冷期ー温暖期」との対応について問題になったのだけれど,氷床底湖の存在を考慮すれば,「Captured Ice Shelf仮説」は無視できなくなってくるんではないかと感じた.

実際,前にも紹介したように,Alley博士も氷底水流と気候変動との関係に注目した論文を発表しており,その論文についてErlingsson教授が最近になって肯定的なコメントを寄せていたりする.

Erlingsson, U. (2007) Comment on Alley et al. (2006): “Outburst flooding and the initiation of ice-stream surges in response to climatic cooling: A hypothesis”, Geomorphology 75, 76–89. Geomorphology, 86, 1-2, 214-216.

集会の時には,北見の亀田さんが「雪氷学的な見地から氷床の形状と拡大縮小のタイミングてきなことに関して検討しようと思っていた」とコメントしていたのだけれど,このへんの経緯もフォローしてくれるとありがたかったりする.集会の時に機会が与えられていれば,私もレビューを話すこともできたかもしれないと思ってみたり...

こういう考え方は,どうも北欧系の人たちが好んでいるような気配も感じられるようになってきた.昨年のJAREもスウェーデンとの共同トラバース旅行だったし,わりと受ける切り口かも知れない.


イベントいろいろ


初雪

image朝から雪模様.平野部での初雪.研究室にもスチームが入って,ほんわかした空気に包まれる.そして眠くなる.

定額給付金に給付制限を設けるのなら,その基準は年収や納税額ではなく,国政選挙の投票権を行使した人に限るのがよいと思う.


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