ブループラネット賞

氷コア研究のパイオニアであるLorius博士が今年度の第17回ブループラネット賞を受賞.数年前にシャックルトン教授が受賞しているのを伝えたが,これで海と氷両方のコア研究者が受賞したことになる.

G8サミットに関連して北大で開催される,「市民公開シンポジウム「地球温暖化 − 科学者からのメッセージ」」には,シャックルトン教授の一年前にブループラネット賞を受賞しているIPCC-WG1代表のSusan Solomonさんが出席される.

サステナ・ウィークは,みすみすパスするのももったいないし,全部カバーするのも大変過ぎる.つまみ食い参加でもいいかなぁ...


教授の引き出し

今日のお昼に,一昨日のエントリーを読んだ教授が,日本のPT論争が具現化したものともいえる1970年代当時の岩波の「科学」や,関連する出版物を持ってきて見せてくれた.教授の引き出しの大きさとその引き出しやすさには感心するばかり.直系関係にもある貝塚先生の思い出話しにもなったり.

東北の地震で発生した地滑りの航空写真が,官・民双方から多数公表されている.kmokudaiさんのところに公開サイトへのリンクがまとまっているのはありがたい.

内容的には願ってもないドンピシャなんだけど,立場的に微妙な公募人事が出ている.公募条件に年齢制限はないけれど,私の年ではきっと選考委員会の内部議論で弾かれてしまうに違いないだろう.けど,期限付きになってもいいから,そこに飛び込んで情熱をかけてみたいんだよねぇ...と多方面に向かってカミングアウトしてみる...たぶん,永遠の片思いに終わりそう...


G-COE

環境起学専攻が応募していた「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」という課題がH20年度のグローバルCOE採択されたらしい.

起学専攻は21世紀COEを契機に新設された専攻で,宿命的にこういう教育研究拠点形成資金を渡り歩いていかなければならない性格を帯びている.21-COEが終わってから1年間の浪人期があったけれど,これで存続意義は保たれたというところ.

まあ,私にあまり関係なさそうなんだけれど...

というのも,採択された課題について,構成員とか,教育のターゲットがMなのかDなのかとか,予算配分とか,あまり詳しい内容を知らされていないからである.それゆえ,外野的な言い様しかできなくなっている.

環境科学院は,地・生・物質の基盤専攻と,それらとインテグレートしながら新しい学問領域を開拓していこうとする起学専攻で構成されている.採択課題の主体は起学専攻ではあるものの,環境科学院全体として,基盤専攻とも密接に連携して大学院教育を実施しているので,当然,このG-COEでもその体制は変わらない.むしろ,それを売りにしてこの課題の採択にこぎ着けているハズである.

この連携体制において,基盤専攻を担当する教員にどれだけG-COEに関わって欲しいのかという点が,少なくとも私の手元にある資料では見えてこないのである.

昨今は,定常的な教育予算は削減傾向にあって,先進的な教育をやっていこうとすると,どうしても競争資金を獲得しなければならなくなってきている.その意味では,21-COEやG-COEなどに積極的に応募して,その予算で教育を展開していこうという方針は時流を見据えたやり方として評価できるのかもしれない.

しかし,COEは年限が区切られた体制でもあり,たまたまその終盤期に入学した院生にとっては全くといってよいほどメリットがないのも事実で,21-COE終了後に1年間の不採択期があったというようなことも考えると,予算獲得に失敗したときの予備策も必要だ.そして何よりも,目先の流行や手っ取り早い成果にとらわれずに,じっくりとインキュベーションする場や,基礎部分を固めるところも確保しておく必要があるのではないかと思う.

そもそもCOEは拠点形成資金であるから,採択期間に形成された拠点を引き継ぎ発展させていくビジョンも必要である.採択期だけの打ち上げ花火や自転車操業の手段で終わってしまっては意味がない.でも,何度もCOEを繰り返すと言うことは,その度にあらたな拠点が形成されるということでもあり,拠点インフレを引き起こす危険性もある.その受け皿が基盤専攻ということなのだろうか?

今回の全国的な採択状況をみても分かるように,実績を積んできた大学が評価されている面は大きい.それだけに,大型資金で実績を挙げたところがますます焼け太りするのではないかという危惧も生まれてくる.不採択になった大学の無念さを思えば,採択された側の責任は重大であり,一過性の予算獲得だけではすまされないだろう.

一方,学院の生き残り戦略という面では,大型予算を獲得できたときはその特典を全体に波及させて学院そのもを活性化させ,逆に浪人期には基盤専攻がCOEの成果を引き継いでしっかりと下支えする,そういう連携体制が確立できればよりよいものになっていくのではないかと思う.そのためには,構成員の意識もそういうふうにならなければいけないのであるが,少なくとも詳細を知らされていない私からみれば,起学専攻側のネゴシエーションが不足しているように見える (こういうトップ引き上げ型とボトムアップ型の融合みたいな方策は,国家的高等教育向上にとっては,全国規模で成立する必要があると思うんだけど).

まあ,申請にかかわる仕事で手一杯だったことは容易に想像できるし,実際に採択にこぎ着けたことはよかったし,申請に関わってこられた方々の労を多としたい.あとは,浪人期も経験しつつ21-COE・G-COEと渡り歩くことにとりあえず成功した部局として,どういうCOE戦略を展開できるか,今後の進め方に期待したい,といったところが外野的な感想だろうか.


ダメオヤジ

どうしても手元に置いておきたいという衝動に駆られて,本屋に走って「PTの拒絶と受容」を買ってきた.すみずみまで立ち読みした土曜日には何冊か積んであったのに今日は最後の一冊になっていた.田舎のおじいちゃんが孫たちにと送ってきた図書カードをがめてきたので,父親としては後ろめたさが残った.

じっくりと読んでみて,やっぱり手元に置いておくべき本であることを確信した.これを理解できるような分別のある息子に育てることで許してもらおう.

竹内均編集長のバイアスかかりまくりのNewton小僧で過ごした私の中高生時代は,まさにこの「拒絶と受容」の中盤期に当たっている.今巷でちょっと話題の原子工学科に見切りをつけて地質学科に転部したのは,本書の終盤期.当時の講義ノートを開いてみると,PTに関する内容はほとんどない.学科が違う地物の講義もとっていたのでそちらはどうだったかと探してみたけれど,ノートは発見できず,残念.でも付加体の話は当時の最新情報として学部の講義やゼミにも出てきていたことは確認できた.

地団研とはとんと無縁に過ごしてきたけれど,湊正雄先生(当時すでに他界)や橋本誠二先生(当時すでに退官)は目指すべき偉大な地質学者だと思っていたし,退官間近かの勝井先生の講義はすれすれ受けることはできた.日本の地質・北海道地方の編集バイトに雇われて,在田先生の部屋で98のワープロタイピストをやったのもその頃だ.原稿を打ち込みながら,なんとなく勉強させてもらったりもした.まあ,不真面目な一学部生には知るよしもないPT論争が当時はあったんだなぁ,と本書を読みながら思った.ただ,Newton小僧として,PTが講義の前面に出てこなかったことを多少不満に思っていたという記憶があるにはある.

その後は,成り行き上,貝塚爽平先生の傍系の傍系みたいな雰囲気の中で研究生活を送ってきている訳だけれど,研究成果は個人に帰せられるもの,という哲学は,その流れの中で自然と身についたのかもしれない.

本書のように二元論的に割り切れれば歴史考証は不要だ.その意味でひとつの視点とたたき台が提出されたといったところだろう.そんなに遠くない過去のことでもあるので,人生をPT論争に重ねてきたいろんな人たちと,これを肴に話をしてみたくなった.それが本書を読んでの最大の感想.


皆さんご活躍

G8洞爺湖サミット・オルタナティブ特集に,JARE47で一緒だった環境省の枡さんの記事があった.室蘭では,学会活動でも一緒の中村氏が活躍された様子.

私は頭痛がおさまらず,苦悩の一日.


立ち読み

良く晴れているが風が冷たい.寒暖の差が激しいせいか,ひどい頭痛.気晴らしに子供と散歩していたらサイエンスカフェでお世話になった三上先生に出会った.そうか,今日はCoSTEPの講義の日か.

頭痛を抱えながら散髪に行って,帰りに本屋に立ち寄る.Cold Fusionのこととか科学哲学のこととか,気になるジャンルの前で立ち読み.「プレートテクトニクスの拒絶と受容—戦後日本の地球科学史 (泊 次郎 著,東大出版会)」というのも見つけて読みふけってしまった.

最新の学説を紹介する東大の気風が失われた...

というような記述や地団研批判なども興味深いし,詳細なレビューをもとに歴史的検討がなされているだけに,必読書であることは間違いないのだけれど,床屋帰りの財布と相談してみて,立ち読みで申し訳ないと思いつつ,買わずに帰宅.そのうち入手するつもり.


Pseudo-Creationistの戯言

「北大の研究者がCold Fusionを確認した」と道新が報じた件について,研究成果とそれを報道する道新の姿勢の両面について,あちこちで話題になっている.

Pathological ScienceとかPseudoscienceなどと呼ばれ,忌避されがちな分野の話なのであるが,かくいう私も,分野は違うけれども,いわゆる非主流の立場にいるので,世間や学界の通説に与するような単純な批判を展開することには躊躇してしまうところもある.私は,画期的な本物の成果と誤認や病的との境界はかなり微妙なところにある,と思っているので,核物理学に精通しているわけでも何でもないんだけれども,今回の研究自体については頭ごなしに否定的にとらえたくはない.

我々地質学の分野にも,隕石で恐竜が絶滅したという説やChanneled Scablandの洪水説など,大論争が展開された例は多い.氷河期という概念だって,ちゃんと認知されるようになったのは広大な氷原を目の当たりにした極域探検家が,その体験談を文明圏に持ち帰ってからのことだ.それ以前は,大陸の大半を覆ってしまうような氷床が拡大していたなどと想像していた人はだれもいなかったのである(こちらこちらで紹介している本も参照のこと).

これらの諸学説は「激変説」と呼ばれ,「漸進説」と対立し続けてきた歴史がある.その流れの中で激変説派はずっと劣勢であり続けてきたことはいうまでもない(詳しくは本サイトの【Scabland】の項を参照).私の主張する氷底水流説も,当初は「激変説」の一派とみられてかなり迫害された.ここ数年,実際に南極氷床下に湖がみつかったり,流路を形成している兆候が確認されたりして復権を果たしつつある.もちろん,まだまだ根拠を積み重ねて確実なものにしていく必要があるとも思っている.

ということで,激変説には寛容ではある私だけれど,昨今巷でもてはやされつつある《別の》「ゲキ変説」には,どうしてもなじめない.いわゆる「環境劇変」といわれているもののことである.

私から見れば彼らは「激」を「劇」に巧妙にすりかえているだけの「ネオ・激変説派」とでもいうべき新興派閥で,地質学の歴史の流れのなかで,これまでどれだけ「激変説」が疎まれてきたかも知らずに,無邪気に「ゲキ変!ゲキ変!」と騒いでいるようにしか思えてならない.そういえば一時期,「起学」を「Creation」とすら訳そうという案もあったくらいなんだよねぇ...「Creation」と「Catastrophe」が組み合わさったら,そりゃ最強のアレで,科学と対極をなす別物になってしまうんですぞ.

近年の環境変動といっても,結局は地球の長い時間軸の上の短期間の事象の問題であり,地質学的論法や原理の上で議論できる課題であることは変わりないはずである.Cold Fusionを単純に批判したり,最初から受け付けるのを拒否したりする態度をとるのであれば,環境劇変をとなえる「ネオ・激変説派」もまた同様に批判の対象とすべきであろうと思う.しかも「ネオ激変説」は,マスコミも一緒になってほぼ無批判にしかもファッショ的にキャンペーンを展開しているので,今回の道新報道なんて比較にもならないくらい大きな問題のはずなのだから.

パラダイムという概念が通用する「物理学」の世界と,【明確なパラダイム構造を持たない】とも言われている「地質学」の世界とを同列に論じることにも批判はあるだろうけれど,大勢から一方的に病的とレッテルを貼られている分野の研究者の気持ちが痛いほど分かるつもりだけに,今回の報道に対する各方面の反応は,興味津々と同時にザワザワとした心の感触を抱かせるものでもある.

ということで久しぶりにPseudo-Creationistの顔をのぞかせた氷河地質学者の戯れ言でした.


山岳館で仕事

午後の後半は山岳館で仕事.木の葉が生い茂って電波をさえぎっているらしく,山岳館とサークル会館をつなぐ長距離無線LANが不調.アンテナをちょこっといじって,なんとか使える程度まで復活.

久しぶりにWinのIEでAACHのサイトをみたら,レイアウトがボロボロ.緊急手術にとりかかる.

木の香りに包まれて仕事するのは気持ちがよい.


対抗意識?

理学部生物学科のWebサイトが,CoSTEP修了生が主催する業者の手でカッコ良くリニューアルしたらしい.

ほんとに大学のサイトらしからぬ楽しいサイトに仕上がっている.あちこちのサイト構築・運営を請け負っている身としては,たいへん参考になる.一方で対抗意識が芽生えたりして...

こういう,きれいだけれどかっちりしたサイトは,主体者とサイトとの間にクリエーターの処理がワンステップ入るから,最新情報の更新がたいへんだろうな,と思う.

私の経験からいえば,情報を発信したいと思う個々人が,サイトにすんなり情報を掲載できるような,自律的運用が可能なサイトのほうがよかったりするんだけれど,ボランティアベースで管理している者の「楽したい」意識なのかもしれない.受注した業者にとっては,メンテナンス収入もビジネスモデルの重要な要素だからねぇ.


学会

雪氷学会北海道支部の研究発表会.自分ではこの業界ではマイナーなポジションにいると思っているのに一つのセッションの座長をすることに.担当したセッションは院生さんの発表ばかり.みなさんがんばってますねぇ.ということで.厳しい突っ込みよりは前向きな助言のつもりでセッションを進行.


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