探査再開

ブリが去って,久しぶりに探査を再開.場所は長距離通勤の途中,OK21付近の海氷上.前にそりをデポしてきたままだったので,ちゃんと残っているか気がかりだったが,無事だった.

今回のブリはふかふかの雪を大量に運んできたようで,これまで裸氷だったところにもことごとく深雪がついていた.雪上車のキャタが空回りしてなかなか進まない.

現場についてから,埋まったそりを引き出し,何カ所かに小さな穴を開けて測深し,探査に適当な場所を決める.GPSと電子魚探の威力はなかなか.前の越冬時にもこれだけの機材があれば,どれだけ仕事がはかどったことか.

帰路に西の浦の検潮所に寄って,海氷GPSのデータを回収.気がかりだった仕事が動き始めて,気分的には上向き.

今日は福島隊員が遭難した日で,今次隊では「昭和基地安全の日」と定めている.それを記念してかどうかは定かではないが,夕刻,基地の前でFA指導によるクレバス転落者の救出訓練が実施された.

まったく別の話になるが,AppleのWebサイトに最近公開されたテレビ広告ムービーの「Better Results」を見て大爆笑.まるで昭和基地に出現する※&%そのものじゃん?


かすっただけ

imageAブリ二日目.外出禁止のままなので,居住区で論文書き.気象部門の数値計算では15時頃には風が弱まるということだったが,とてもそんな気がしない吹雪が続く.

ところが,16時前になって突然,風が弱まった.降雪は残ったものの,視界が良くなったので禁止令は注意令に変更.数値予想,おそるべし.

NOAAの受信画像には,立派な低気圧の渦が映っていた.でも,この端がちょっと昭和基地をかすっただけ.


久しブリ

image昨夜から風が強まってブリになり,未明に外出禁止令が出て,昼過ぎに今次4つめのAブリに認定された.9月は一度もブリはなかったから,そうとう久しぶりである.風速は一時,瞬間で50m/sを越え,10月の風速としては過去最大を記録したらしい.

JARE4で福島さんが遭難したブリも10月8日に始まっている.実際の遭難は10日に発生しているので,そのときは3-4日続いたようだ.今回のは,明日いっぱいで収まる予想.

海氷の状態そのものもそうだが,海氷上に残置してきた機材がどうなっているか,ちょっと気がかり.


もう一人

ブリの襲来が予想されているため,今日も探査はお休み.休日日課なのでおおっぴらにのんびりできるが,それでも焦燥感は募る.

朝,茨城方面とのテレビ会議で,もう一人の越冬隊員と会談.夕刻スカーレン隊が帰投し,朝のテレビ会談とあわせれば,これで本当の越冬フルメンバーがそろった.

日本では知人・親戚の慶事が重なる.私が日本を長期で不在にしている時にかぎってあることばかり.


コア処理

諸事情により,基地内で作業.北方海域で引き上げた時に凍り付いてはずせなかったため,そのまま基地に持ち帰っていたコアを処理する.

室内に入れて温めて,あれこれ手を尽くしてみたものの,接合部ははずせないし,なかなかインナーチューブは出てこないし,こりゃ,現場でやるのは不可能に近い.

なんとか,チューブ内の堆積物を取り出すことには成功したが,ゆるゆるすぎて,すぐに検分できるようなしろものではなさそう.


あせりと罪悪感

今日は本格的に風が出て探査はお休み.すでに三日も出ていない.

ここまでくると,だいぶ焦りも出てくる.基地内でやるべき仕事もあるにはあるが,「探査の合間」という意識が強いので,落ち着いて取り組もうという感じがしない.論文書きも思考が中断してしまうので,なかなか進まず.

かといって,ふたを開けてみれば,結果的に三日もまとまった時間ができてしまった訳だ.少しも無駄にできないこの時期の時間をなんとなく過ごしてしまうことだけはないようにと思うのだが,一日が終わってみると,なんとなく罪悪感にかられてしまう.

L/Sバンド衛星受信アンテナの挙動をこまめにチェックしていたが,ライン欠損の原因がなんなのか,今ひとつ不明.


原稿書き

今日も強風が予想されていたため探査はお休み.午後から風が強まり,夕食後には20m/sを越える.

基地内での業務もとりあえず片付いたので,ずっとペンディングにしていた原稿書きを再開する.それを察知したかのようにタイミング良く出版社から連絡のメールが来た.テレパシーでも通じるのか???頭を論文モードに切り換えるのに苦労するし,パソコンの画面の文字ををずっと追っていて頭痛がする.

夕食後に,一昨日の早朝に採取された血液の検査結果をもらう.コルステロールが若干上昇気味だが,いたって健康.

今日の朝日新聞に極域研究の大御所のお二人,アラスカ大の赤祖父先生とノルウェー極地研の太田先生のインタビューが載っていた.どちらも深いつながりのある先生だ.太田先生が,しらせを退役後に北極圏の研究にまわして日本の存在感を示せ,とおっしゃっていたが,スピッツベルゲンで仕事をしたことのある私としても,まったく同感である.そもそも中緯度に国土が位置する日本が極域研究の中で世界に存在感を示すことにどういう意味があるのか,ということについてはあまり説明がなかったけれども,世界の中の日本人として活躍されているお二人の存在感はなんとも頼もしい限りである.

ただ,実際の所,しらせは観測船としては観測甲板が中途半端な作りなんだよねぇ.今度の新造船は輸送を主眼としているらしいので,そのへんの改善も余り期待できないみたい.


本業-監視編-

風が強くなるという予想だったので,今日の探査はキャンセル.しかし予想は外れて天候は終始穏やか.S17とスカーレンへ旅行隊が出発し,基地の人員は半減.明日からは本当に風が出そう.

9月の月例報告を仕上げて,昨日まで続いた海底探査の仕事でしばらくおろそかになっていた,本業の「衛星受信」の仕事を片付ける.

まずは水素メーザーの定期チェック.特に問題なし.ネットカメラで監視できるようにしていたので,外から帰ってきてパソコンの画面を覗くだけでおおよその状態は確認できていたのだけれど,実際に現物を触りながらのチェックをしておくと,心理的にも安心できる.

次に,このところ調子の悪いL/Sバンド衛星受信アンテナをチェックし,コントローラーをちょっと微調整.調整結果がうまくいったかどうか,今後しばらく様子を見ることにする.これも受信画像を常時パソコン画面に表示しているので,普段の状況把握は楽.逆に,不調な画像があったりすると,すぐに対応できないもどかしさが残って精神的にはあまり良くない.

imageこういう監視に役立つのが,デスクトップに常に表示しておけるwidgetで,定常観測のモニター用に「multicum」というのを使っている.この配布サイトにあるサンプル画面には,SouthPoleなんてのもあって,まさにこんな使い方をしているのである.

私のmulticumには,業務監視用の他に,昭和基地のwebカメラOhiginsの大型アンテナ,そして北大のポプラ並木などを登録している.

このwidgetの画像登録のコツは,ホームページのアドレスを入れるのではなくて,画像のソースアドレスを直接入れること.


長距離通勤終了

今日も晴天.マイナス27度まで冷える.が,日差しがあり風もないので,体感的には暖かい.

image北方海域での最後のコアラー投入.まあいろいろあったものの,2.5mくらいの堆積物の採取に成功.コアラーのカップリングやインナーチューブが凍り付いて外せないので,中身は未確認.先っちょからみえた感じだと,粗粒物質も入っているようで期待が持てる.「小成功」といったところか.

一つ前に開けた孔から,アザラシが作業の様子を見物にきた.彼が見上げている滑車のようなものがどうしてこうなっているのかは秘密.

これで約半月間続いた「長距離通勤」は終了した.この現場に来ることはもうないか,と思うと,ちょっと寂しい気もする.しかし,海底探査はまだまだ続く.機材を次の場所へ移動させて,すっかり夕食がすんだ基地に帰投.

極地研究所の改組があって,所長ほか新役員の所信表明会見がテレビ会議システムで配信されてきた.おそい夕食を済ませた後,その録画を見る.どこも生き残りをかけて必死だ.


3度目

今日も晴天.マイナス25度まで冷える.

3度目のコアラー投入のための孔開け.


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