体操収録

休日日課.早めの昼食の後,海氷上に出て「体操」のビデオ収録を行う.基地を常時写しているWebカメラの画角内なので,見てたひとは何やってんだろう?と思ったに違いない.

そのあと,西方の小島へ行く遠足隊に同行して,海氷GPSのデータとバッテリーを回収する.


氷上サッカー

休日日課.朝一でドリフトのついた三浦そりを救出.

image午後,氷上サーカー大会.10分という短時間の試合にもかかわらず,足下が悪いのと運動不足で非常に疲れる.3チームのリーグ戦の末,我々のチームが優勝.若い隊員から,はじめて私の無邪気なはつらつぶりを見た,と言われた.そりゃ,サッカーなら燃えますわな.


校正

image端午の節句ということで,食堂に兜飾りが登場.鯉のぼりも一応上がったようだけれど,風が強くてワイヤーなんかにまとわりついてしまうので,早々に一度下ろされてしまったみたい.それで,シャッターチャンスを逃してしまった.明朝に期待.

今日は一日物書き.

越冬隊には一応「内規」というのがあって,昭和基地の運営指針を規定している.さらにその下には,別に定める指針やマニュアルもある.逆にその上(というのかどうか)には,極地研が作成・配布しているマニュアルや必携書があって,いろいろと隊員が把握しておかなければならない取り決めが多い.これも,厳しい環境の中で安全と実効性を確保するためには仕方のないこと.

越冬内規とそれに付随する指針は,隊ごとに作成するので,内容が統一されているわけではない.これは,基地設備の変化や観測態勢の違いを適宜反映させる意味でも有効なことである.しかも,内規は,実際に越冬生活をしながら,現実に即した物へと改訂されるので,同じ隊であっても様々なバージョンが存在することになる.

ここ数日かかりきりになっているのが,野外主任として編集責任を持たされている「レスキュー指針」と「野外行動指針」および「野外行動マニュアル」の改訂案の作成.ほとんどはこれまでの隊の受け売りで作成しているのだが,それでも,今回の隊に即して改訂すべき点は多い.今日もほぼ一日かけて内容を吟味する.

すでに越冬が始まって4ヶ月目に突入しているのだけれど,越冬全体から見ればようやく助走を終えたようなもの.極夜が明ければ野外活動は本格化し,内陸旅行も始まるので,昭和基地の人員も少なくなりがちになる.そういう状況に備えて,しかも,現在の越冬隊の実情や隊員の力量が分かってきた段階で指針を見直しているというわけ.

これまで,普段の物書きにはシンプルなエディタを使うことが多かったが,改訂案を他の主要メンバーに逐次チェックしてもらうことも想定して,Wiki上で編集することにした.Wikiのもつセクション機能は,指針のような系統性を求められる文章をまとめるには非常に適していることにあらためて気づかされた.

定義・繰り返しの回避・カテゴリー分け・他の指針との整合性のチェックなど,なんだか計算プログラムを書いているような感じ.でも,実際にこれを走らせるのは計算機でもなんでもない生身の人間.どこまで読みこなしてくれるやら.,.

いや,なんとも疲れた.


UPS停止

朝,宙空隊員からL/Sバンド受信用のワークステーションが止まっているとの連絡を受け,急遽衛星受信棟にかけつける.

UPSの出力が落ちていた.原因は不明.いきなりUPSから電源供給を絶たれたワークステーションは,HDのソフト的な構成に不具合をきたしていて,電源を復活させても正常には起動しなくなっていた.管理者権限でログインしてディスクを修復し復旧.

衛星データの受信スケジュールが記載されたファイルをネット経由で受け取るタイミングを逃したため,終日欠測となってしまった.今日は久しぶりの晴天だったので,NOAAの画像で海氷の状態を見るのを楽しみにしていたのに,残念.

昭和基地は,まともな基準電位点を確保できないことが,電源まわりの永久の課題になっている.問題をなかなか解決できないその主な原因は,有効な接地抵抗を取るために好都合な「土」がないことにある.南極という,岩盤と雪氷だらけの土地柄のせいだ.ここはまさに「永久凍土」地帯なのである.

電気のことはよく分からないけれど,地面のことは一応専門.「永久凍土」の学術的な定義は,「2年以上0℃以下に保たれる地面の環境」というものであり、温度の基準のみで定義されている(Wikipediaの記述は間違っているな…).「永久凍土」というと,凍り付いた「土」と思われがちだが,土壌に限らず,岩盤でも砂礫でもよい.また「永久」といっても2年以上の氷点下期間があれば「永久凍土」と呼ぶことが出来る.

昭和基地は生物の活動が非常に限られる環境だから,微生物や有機物の分解という要素が含まれる「土壌」の分布も当然乏しい.一方,冷え切った岩盤や砂礫堆積物は至るところに露出している.だから「土」のない昭和基地も,問題なく「永久凍土帯」となるのである.

永久凍土を定義した人は賢いと思う.「凍土」の定義に「土」とか「土壌」を条件としてしまうと,「生物」の作用を前提としなければならないことになって,昭和基地のような環境のものを定義の範疇から除かなければならなくなってしまうのだ.だからこそ,というか,その不都合を逃れるために,「永久凍土」の定義を温度という物理条件に限定した,というのが本当のところなのではなかろうか.

さて,問題のUPSだが,昭和基地の「アースがない問題」を克服するために,観測隊はこれまで様々な工夫を凝らしてきた.とりあえず現状でできるもっとも手軽な手段としては,UPSを介して発電機から直接電源を取ることを避けるようにすることである.UPSならば,停電や瞬断にも対応できるという面で近頃の精密電気機器には欠かせない存在でもある.

今回の件は,そのUPSがなんらかの異常を感知して出力を遮断してしまったことにあるのだけれど,ある意味では,電源周りの故障から機器を守ってくれたのだと解釈できるかもしれない.欠測してはならない定常観測の場合,停電による観測停止を防いでくれる役割も期待しているのだが,今回はその役目は果たしてくれなかった.

しばらく,原因究明に時間をかけてみようと思う.


雑用

朝方外出注意令解除.結局,通算8つめ,6個めのBブリになった.

ブリ明け一番でコーナーリフレクターの確認に向かう.ちゃんと立っていた.一安心.少し雪がつくようなので,テスト観測時には除雪しなきゃいけないだろう.

指針やらマニュアルやらをまとめる雑用で一日つぶれる.でもまだこれから.

Virus,Restarting,Better,iLife,Network,WSJ」のムービーには笑った.Mac青年はShaw教授の長男にちょっと似ていて,エドモントンで彼と英会話していた頃を思い出した.


ブリにてトラップ

昨夜から25m/s超の風が続くAブリ級の悪天.一日中,居住区にトラップされる.

論文を読んだりして一日部屋に籠もるが,意外に時間がたつのが早い.極夜期に向かい,こういう過ごし方も増えるんだろうな.今の内に楽しんでおこう.

夕刻,臨時のオペ会.


冬日課

観測機器や基地内・国内のサーバーたちから月例で送られてくるログメールをチェックしながら,4月分の月例報告を仕上げる.

国内のサーバーが送ってくる月例記録の中にはこのBlogへのアクセス記録もあるが,先月末は「氷湖」や「氷水」という検索語が劇的に増加していた.例のnatureの「Siegert論文」やその新聞記事のせいかもしれない.

自分でも検索してみたが,思ったよりヒットするサイトが少ないのも驚き.研究者としては「No.1」より「Only One」のほうがいいと常々思っているので,そこそこ嬉しい結果でもある.

夕食後,第5回南極大学.

  • 「首相官邸」
  • 「0泊3日世界一周の旅」
  • 「我が転落人生〜海上保安官20年生〜」
  • 講義修了後,外出注意令.


    月末

    休日日課だが,今日で4月も終わるので,機器のチェックとデータ整理などの月末処理の仕事.

    お昼に「体操」の練習.単純だけれど結構汗をかく運動.

    ようやく岩島遠足が実現した模様.

    明日から冬日課.


    とっつき岬

    地震計保守およびGPS観測機材の設置のため,初の雪上車行動が実施された.行き先はとっつき岬.外出組は首尾良く帰還.

    午後に,二回目の雪上車運転講習.

    5月からは,冬明けの中継点旅行に備えて,S-16のソリ回収や車両整備のために,とっつきルート通いが開始される.

    明日で4月も終わり.これから日が昇っている時間帯もみるみる短くなって,外作業は時間との闘いになる.いよいよ「南極越冬」の本質が現れる季節に突入する.


    衝撃の写真

    午前中は定例の全体会議.午後から隊長と一緒に,向岩方面へ海氷状態の偵察に出かける.気水圏Y隊員も同行して,ついでに積雪と海氷のサンプリングも行う.

    image海氷が流れてからずっと,気水圏W隊員が定点写真を撮って記録を続けてくれていて,隊共有のサーバーに写真を入れてくれる.これらの記録は私の方でWikiのえさにもしているのだけれど,夜に今日の分を整理していたら,彼が今日の我々の行動も撮影してくれていたことが分かった.右はその共有サーバーから我々が写っている写真を取ってきたものである(Wさん勝手に使ってすみません).

    この写真をみて改めて驚いたのは,向岩ならびに大陸氷床が巨大なこと.空も海氷も氷床も,みな同じ青色なので区別が付きにくいけれど,写真の上辺が撮影位置から見た大陸氷床のほぼスカイラインになる.海氷上にぽつんと写っているのが我々とスノーモービルだから,いかに氷床が大きいかがわかるだろう.

    日頃から食堂の窓から氷床や向岩を眺めているけれども,こんなスケールで毎日見ているのだとは思わなかった.実際に海氷の上から向岩に近づいても,このスケールは実感できない.望遠写真のなせる技かもしれないけれど,私にとっては,生涯に何度あるか,と思うほどの衝撃的な写真.

    imageちなみに,上の写真が撮影された頃に実際に海氷上にいた私が撮った写真がこれ.越年した海氷が割れてブロックになっている.ブロックの隙間は,割れたあとに再結氷した部分で,サンプリングしたらしょっぱいことが分かった.

    この撮影ポイントから先の大陸方面へは全て再結氷した海氷になっていて(上の写真の人の頭よりちょっと上のなめらかな薄青っぽい部分),厚さはまだ30cm以下.さらに先の大陸との接線部(氷の崖の真下)はまだ水面が開いている模様.


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