出発

ラングホブデでの海底探査に向けて出発.出発間際まで,国内からの仕事へ対応するメール書き.

最初の調査地点で測深して孔開け作業.8月にルート工作に来て以来の雪鳥沢小屋泊.


夏はすぐそこ

風が強いので今日の出発はなし.明日に延期.原稿書きなどで一日を過ごす.

夕食後にサロンのソファに寝転がって窓の外を眺めていたら,大きな翼を広げた鳥が目の前を通過した.トウガモが戻ってきたに違いない.夏はもうすぐそこだ.

夕食後に鳥の姿を確認できるほど,もう昭和基地の日の入りは遅くなっている.オーロラを見るチャンスも少なくなる.そんな中,インターネットで生のオーロラを配信するLive!オーロラという企画があるのを知った.11月1日から放送開始ということ.北半球ではこれからがオーロラのシーズン.

協力者には48次隊長の宮岡さんも入っているし,プロジェクトの説明のページの地図には昭和基地の位置にマークがしてある.さらに,静止画のプロジェクトとして昭和基地の電離層部門を出しているNICTが担当している.Voiceの欄には南極展のことも書いてあった.

もしかしたら北半球の夜が明るい夏の間は昭和基地からの映像が流れるのかもしれない.そうなれば,帰国しても昭和基地の夜空を楽しめそうだ.

なんといっても,妻や息子達も一緒にオーロラが舞う空のすばらしさを体験させてあげたい,というのが夢.エドモントンでもチャンスはあったけど,かみさんが来ていたときに限って出なかったんだよねぇ...サポーターズクラブに登録しようかしら.


今夜が最後

強風のため,一時外出注意令が出た.

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明日から2週間ほどラングホブデに探査に出かける.留守中のことなど,片付けておかなければならない雑用に追われる一日.

来週にはドーム隊も出発してしまうし,越冬交代時にドーム隊が戻ってくるまで全員がそろうのは今夜が最後.臨時の全員集合写真の撮影となる.

夕刻,臨時のオペ会.今後人員が減る事への対応や,ドーム旅行支援などについて協議.昭和で全員が過ごすのは最後になるが,一緒に観測隊の使命を完遂させるという意味では,昭和と旅行隊は一心同体.まだまだこれからが正念場.


「移動局410号」さん,メールを読んでいたら,25日に一時基地に帰るのでそれまでに対応をよろしく!


ピットイン

朝から風が強い.

北方海域が一段落して次のラングホブデ探査にむけてふんどしを締め直すピット作業.海底探査は,人も機材も耐久レースの様相を呈してきた.実際,いろいろ壊れたり不具合が出たりしている装備も多くて,残りのレースには万全の体勢で臨めそうにないところが痛い.


スカ

風が強まる予報だったが,北方海域での探査も今日が最後になるのでなんとかやってみようと掘削に出かける.幸い,予想は外れて天候は悪化せず.

image最初の投入はスカ.もう一度やってもスカ.しまいには,コアラーの先端がつぶれてしまった.どうやらここにはグラビティで採取できるような堆積物はないようだ.物理探査の結果からこの状況を予想するのは難しい.基盤なのか固く締まった堆積物なのか判断に迷う.

次はラングホブデに移動して,小屋泊まりをしながら探査を継続する予定.

夕食後,ニッカ「つる」の原酒の配給.アルコール度数は60度近い.国内では「原酒」として売られているものに相当?

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一日の仕事を終えておしりを夕日に照らして並んでいる姿が,なんともいとおしかったので撮ってみた.


流しそうめん

今日は越冬の一大イベントがある日.そのためサポートも期待できないということで探査はお休み.実はそれは表向きの口実で,自分がイベントに出たいというのが本音.

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一大イベントとは,おみやげ用の氷取りオペレーションと,その後の氷山の上でのそうめん流し.

アイスオペのほうは,全部で二百数十箱分集める予定のうちの40箱分を氷山から採取.どうしても抜けられない仕事で基地に残った数人を除いてほぼ全員でやったので,あっという間に終了した.でもまだ採らなければならない量はこの5倍.

氷山そうめん流しは前回の越冬の時にも楽しんだけれど,あの時はもうすこし暖かくなってからだったような気がする.今回はドーム隊が出る前に,ということで今頃の実施となったわけだが,気温はまだマイナス20度以下なので,流れが止まるとあっという間に氷ってしまって,じっくりと味わっているヒマはなかった.


おやつ

快晴.日差しは強いがよく冷える.今日の作業はコアラー投入用の孔開け.ほぼ午前中に作業を終える.基地に戻った頃に,とっつき岬とS17からも旅行隊が帰還.

夏オペ中は中間食というのがあるけれど,野暮な海底探査三浦組の3人には,もともとそいいうのを用意するというセンスはない.3人だけでは困難な仕事も多いので,毎回他の隊員にサポートに来てもらっているのだが,中には,おやつで作業の疲れを癒そう,という心遣いをしてくれる人もいる.そいう人の発想につられて,このところ,お昼のお弁当に加えて甘い物も持って行くことが多くなった.それも,ただの箱菓子なんかじゃなくて,ちょっと手の込んだもの.

imageという訳で,今日のおやつはたい焼き.昨日なんかは写真のケーキが登場していた.だれの誕生日というわけでもないので,いつも我々の探査を見守ってくれているアザラシ先生を称えて,ケーキの上にチョコレートで文字が書いてある.しばらく冷凍庫で保存していたせいもあるが,マイナス20度の海氷上では,中のフルーツが凍ってシャリシャリする.

誕生会で出るケーキには,ご馳走をたらふく食べたあとということもあって,どちらかといえば触手が伸びないのだけれど,仕事の合間に食べるケーキは格別の味がする.

サポートしてもらう隊員に接待しなきゃいけないのはこちらのほうなのに,逆に心遣いを教えられる「おやつ」である.


再履修

快晴で,マイナス28度くらいまで冷える.日中もずっと20度台.本日の探査は,昨日不調だったサイドスキャンソナーの再履修.

ワイヤーを切ったり,つなぎ目がはずれたり,機器を海中に投入した後にまた不調になって,300mもある信号ケーブルを取り替えたりで,半日強ですむはずの仕事が丸一日かかってしまった.

ソナーの反応には,これまでの平坦な海底には見られなかった起伏が出た.掘削にはやっかいだが,地形屋としてはちゃんと解析してみたい結果である.


雪焼け

今日も探査.サイドスキャンソナーの調子が悪いので,サブボトムプロファイラーで地層を探る.

天候は曇りでときどき小雪もちらついたが,雪焼けで顔がひりひりする.


先客

ブリで延期になっていた福島隊員慰霊祭の日.探査で早朝に出かけてしまって式典に欠席するので,出発前に一人で福島ケルンに手を合わせる.

今日の作業は海氷孔開けとワイヤー通し.孔開けはもう達人の域に達した3人.合図以外の言葉はほとんど無く,阿吽の呼吸で午前中に作業を終える.

午後,サポートに来てもらった二人を加えてワイヤー通しのためのロボット潜航を始める.このとき珍事が起きた.

水中ロボットを操作して,200m向こうに開けた孔に到達したところ,本来あるはずの空間に異物があった.ちょっと引いてみると,なんとそこにいたのはアザラシ.息継ぎのために掘削したばかりの孔に出てきていたところだった.

我々の孔をアザラシが使うことはこれまでもよくあったが,いつもは海氷上から見下ろしていた.今日は,孔の先客として海氷上に顔を出しているアザラシの水中部分を,ROVのカメラを通して下から見ることができたのである.

こんな時に限って,操作画面収録用のビデオデッキを持ってきていなかったんだよねぇ...朝出るときに,ちらっとは気になっていたんだけれど,非常に悔やまれる.かわりに,デジカメの動画撮影機能でモニタ画面を撮ったものをご紹介.私はROVの操作で手がふさがっていたので,サポートに来てくれていた副社長と呼ばれる隊員が撮ってくれたものと併せてご紹介する.モニターの映り込みがあったりして見づらいかもしれないがご容赦願いたい.なお,容量の関係で音声は削除してある.録音されている内容は以下のような感じ.

ROVを引き上げてもらうために200m先の孔で待機していた隊員との無線会話.

こちら)孔を視認したので(目印の)フラッシャーを回収してください.
むこう)アザラシが来ているので現在孔はふさがってま〜す.
こちら)今,おしりが見えてます.まだいますね.
むこう)そうとう息苦しそうなので,しばらくかかると思います.
こちら)今日に限って潜航作業をビデオ収録してません.
むこう)!※&%※!(激怒)

息継ぎで孔に浮上するアザラシは水中ではずいぶんもがいているものかと思っていたけど,意外に直立不動で動かないものだということが分かった.息継ぎを終えて海氷の下を泳ぎ去っていく姿はまるで人魚のように優雅であった.その光景はまぶたにやきついて離れない.

帰着後にちょっと雪上車がトラブって,またまた遅い夕食となる.


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