皇帝ペンギンがやってきた

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朝から風が強く,予定されていたアイスオペは延期.日中,冬開け初のプラスの気温を記録.そのせいかどうか定かではないが,不調のL/Sバンド衛星受信がさらに不調.アンテナコントローラーの再調整を試みる.

VLBI観測の後始末をしていたところに,すかさず次の観測スケジュールが届く.今月は全部で3回ある.

夕刻,昭和基地に皇帝ペンギンがやってきた.9/13に足跡を確認したっきり現れる気配がなかったので,もう今次はだめだろうとあきらめかけていたとことろの訪問.全館放送で集まったほぼ全隊員により,19広場まで手厚くご案内.記念撮影大会となる.

皇帝ペンギンは決まって2羽でやってくるのが不思議.


掘削終了

今日はオングル海峡の海底堆積物の掘削.残念ながら私はVLBI観測のため参加できず.600mの深さからなんとか2m弱のコアを採取できた模様.

今回でプロジェクトの本格的な探査は終了.仕事を終えたそりたちが,昭和基地の前まで戻ってきた.お疲れ様.

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昨夜から引き続いてVLBI観測を実施.今回は事前準備のゴタゴタに続き,観測中にも設定変更があったりしてたいへん.

ピアノを弾いて待ち時間のヒマをつぶす.このピアノはJARE45で医療部門が持ち込んだ物で,隊員の精神衛生管理に必要と言うことで買ってもらったのだとか.でもなぜか衛星受信棟にある.徹夜のもうろうとした頭でも右脳は割と元気で,勝手に手が動く.しかし,思いつくのは童謡や唱歌ばかり.トロメライでも軽快に弾いてみたいものだが,素養のない私には難しい.

image受信が終わってデータを収録したHDDを梱包.今回からバンド幅を倍にしたのでデータ量も倍.一回の観測で100GBのHDDを8つ使う.VLBIデータHDD専用のジュラルミンのケースが用意されている.データはオリジナルのこれしかないので,厳重に保管して日本へ持ち帰ることになる.


VLBI一回目

日中に設定チェックとキャリブレーションを済ませて,夕食後からVLBIの本観測に突入.


VLBI準備

朝からVLBIの準備.6月に実施するはずだった受信がキャンセルになったため,前回の受信は越冬交代直後まで昔にさかのぼる.そうとう久しぶりの観測となるので,手抜かりのないように手順書とにらめっこで準備を進める.

なかなか肝心のスケージュールファイルが送られてこないのでやきもきしていたが,今朝になってようやく,観測キャンペーン主催者が発表してる元ファイルだけはなんとか送られてきた.実際には,このファイルを編集して昭和基地用に整えたり,昭和基地の11mアンテナをスケジュールに従って制御する二次ファイルを作ったりしなければならない.いつもは,編集と二次ファイルの作成は国内でやってもらって,それを受け取っていたのだが,国内の担当者と連絡が付かず,今日中には入手できそうにないことがわかった.そういう訳で,今回は,編集も二次ファイルの作成も自前でやらなければならないハメになってしまったのである.本番前にテストとキャリブレーションを実施しておく必要があるので,時間的猶予はない.

一刻を争う事態に対処するため,引退したPCを引っ張り出したり,MacとUnixとMS-Dosまで総動員して,あれこれと試行錯誤を半日近く繰り返す.夕刻になってなんとかファイルの作成に成功した.ほとほと疲れた.今日も日帰りで海底掘削にでかけているメンバーには悪いが,野外で穴掘りしているほうがよっぽど気が楽だ.この時点で疲れ果ててしまったので,明日からの24時間観測を乗り切るだけの体力と気力を残しておけるかどうか心配になってきた.

image今しがた,VLBI観測キャンペーンで同時観測するO’Higgins基地のWebカメラを見たら,アンテナが天頂を向いていた.観測前のキャリブレーションに入っているものと思われる.実際,昭和基地のレドームの中の11mアンテナも,この状態でキャリブレーションに入っている.


改善

快晴.朝方はカタバが強かったが日中は無風の小春日和となる.

三浦組の二人はサポートを募って日帰りでラングへ穴掘りに出かけた.私はVLBIの準備のため基地に居残り.VLBIの準備と並行して,海氷GPSの設置やL/Sバンド衛星用アンテナの調整なども実施.

本日,ドーム航空隊が日本を出発した.我らのドーム旅行隊も順調に距離を伸ばしてランデブーポイントのARP2も間近である.夜の定時交信は電波の状況が良かったので長話しができた.みな元気そう.

もう次の夏が動き始めたんだねぇ.昭和は昭和で,次隊歓迎委員会が今日発足した.

ほぼ一年前に,13年ぶりにここに来たときの最初の印象として,昭和基地の醜悪化が進行していることについて書いた.これまでの越冬生活を通じて,少しでもそれを改善できるように心がけてきたし,実際にいくつか行動に移したこともある.一緒に越冬生活をするうちに,実は隊長も同じ事を考えているらしいということも感じてきた.今日は,その隊長による実践が形になって現れたものを見ることができた.おもわず嬉しくなったので,ここに書いておこうと思う.

image管理棟の中央部にある階段ホールには,新聞やお知らせを張り出す掲示板が設置されている(み・くりさんのサイトに詳しい写真がある).実は,これまで使ってきたものは,前にも書いたように,場当たり的で何の合理性も美学も感じられない見苦しいものの一つで,非常に気になっていたものの代表であった.それが,隊長の日曜大工によって,すっきりとしたものに作り替えられたのである.なんでもっとはやくこうしようと言い出さなかったのか,自分でも不思議だが,喉につかえていたものがようやく取れたような感じで,非常に気持ちがよい.

次の夏には外国人やお客さんも来るみたいだし,これからどんどん昭和基地は来訪者に開放されていくことになるだろう.そのときに恥ずかしくないようにしておくような気遣いも必要になってくるのではないだろうか.お客さんにとって気持ちがよいものは,実際に生活している我々の精神衛生にとってもよいものに違いないのだ.

越冬隊だけの昭和基地生活も残りわずかになったけれど,到着当時の初心を思い返して,心残りのないように,そしてこの気持ちを次の隊にも伝えられるように,できることを実践していこうと思う.


DROMLAN

10月中旬以来,出入りはあったものの,ほぼ半月を過ごした雪鳥小屋を撤収して,お昼過ぎに昭和基地に帰投.ラングホブデ沖での掘削はまだ残っているので,機材だけ次の場所に移動させておく.

留守中にL/Sバンド衛星受信用のワークステーションが落ちたことを無線連絡で知らされていて,出先ではヒヤヒヤしたが,国内からの対応でなんとか復旧していたようで一安心.

7日からVLBI観測があるため,休む間もなく準備を始める.まずは先月末にできなかった水素メーザーのチェック.他にも溜まった仕事がいろいろ.海氷GPS用のバッテリーを受電し,メールや国内からの仕事を片付け,10月の月例報告を仕上げる.11月も忙しい.

夕食後にS17組が帰投.これで大陸方面の準備オペレーションも終了した.あとは夏隊と航空隊を待つのみ.実はS17は11カ国からなる国際共同事業「The Dronning Maud Land Air Network(DROMLAN):ドロンニングモードランド航空網計画」の中で航空拠点の一つとして位置づけられつつある.ドーム隊はすでにその機構を利用して航空機で現地入りしているわけだが,JARE47と48は特に,S17が拠点としてうまく使えるかどうかのテストケースになる様相である.

今次でのS17組の仕事ぶりをみていると,どうも本職以外の使いっ走りをさせられているような感じがしてかわいそうな気がする.それも非常にきつい仕事を...JAREは越冬航空機の所有をなくしてしまったけれど,S17組の様子を傍目で見ている限りでは,今後はこれまでの航空担当隊員に代わってDROMLAN対応を専門とする「航空拠点担当隊員」を設けたほうがよいように思ってしまう.もしそうなれば,語学と社交性と航空事情に詳しい人が必要だと思うが,なかなか難しい役割になることは間違いない.


望み薄

image気温が高く日差しも強いが,風が冷たくて寒く感じる.それでも海氷は確実に柔らかくなっているし,表面に汚れのあるところは融け始めている.

イットレホブデホルメン西方で掘削を実施.採取できたのは1mにもみたず.コアラーのヘッドがボロボロになった.

小屋泊まりでの探査計画はここまで.機材を撤収して最後の小屋の夜を過ごす.もう一年越冬したい気分.


完全に壊れた

イットレホブデホルメン西方で音響探査を実施.サイドスキャンソナーまではよかったが,サブボトムプロファイラーがまたまた不調.信号線以外のどこかが逝ってしまった模様.

これ以上の音響探査をあきらめて,掘削準備へ移行.


イットレホブデホルメン西側

imageイットレホブデホルメン西側にて海氷掘削及び探査用ウインチの設置.

この近くにはアザラシの親子が数組いる.


それらしきもの

ほぼ10日間にわたる格闘の末,ようやくコアが採れた.2m足らずの短いものだが,最深部にはTillとの境界らしきものが含まれていた.帰国後の分析結果が楽しみ.

image機材を撤収して,次の探査場所へ移動させる.次のターゲットはここよりも5kmほど沖合の,イットレホブデホルメン島という,なんだが舌をかみそうになる名前の島の近く.ペンギンのルッカリーがあるので,センサス調査用のルートが延びている場所.

そういえば,ラングホブデに再出発する前に,今次隊でのルート工作が終了していた.最後にできたのはペンギンセンサス用のルートで,西オングル島を回り込んで,ラングホブデルートと並行して南方へ延びている.このルートの南の終点付近が今度の探査場所になる.


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