休日返上
朝,最後のしらせ乗員がもどるのをヘリポートで見送る.入れ替えにVLBIの受信支援のため前次隊の担当者がしらせから昭和に一次帰還.昨日の振替えで休日日課だが,朝からいろいろと準備作業.
朝,最後のしらせ乗員がもどるのをヘリポートで見送る.入れ替えにVLBIの受信支援のため前次隊の担当者がしらせから昭和に一次帰還.昨日の振替えで休日日課だが,朝からいろいろと準備作業.
しらせ乗組員の夏作業支援は今日で終わり.そのため,休日日課を返上しての作業日となる.
環境保全部門が観測棟を回ってゴミを回収してくれる,というので,午前中からゴミ出し.回ってくれるといっても担当隊員が運転するトラックだけのはなしで,回収・集積・分別作業は自分たちでやらなければならない.それが南極.
夕食は,夏宿のしらせ乗員とバーベキュー.
今日から昭和基地入りする夏の生物隊員を迎えに朝一でヘリポートへ.彼らは私が管理責任者になっている「環境科学棟」で仕事をする.島内のモニタリング調査も実施するとのこと.
越冬隊内での私の役割の一つに「野外主任(沿岸)」というのがある.ドームやS16などの大陸側の野外主任は,現在まだドームからの帰路にいる隊員.
内陸が長期で回数が少ないのに対して,沿岸のほうは,短期のものが多数でてくるのが特徴.しかも,刻々と変化する海氷の状態との闘いになる.そのような状況の中で,氷床沿岸露岩調査やペンギンセンサス,大陸への上陸ポイントまでの海氷ルート整備,オングル島内での日常的な基地外行動などを掌握し,アドバイスをあたえ,計画に無理がないかどうかチェックするのが役割である.
さっそく,気象隊員の定常観測のために,海氷にでたいというリクエストがきたので,前次隊から引き継いだ計画書をほぼそのまま渡して記入・提出してもらう.越冬が成立したら確定版をつくらなきゃ.
次のVLBI観測のスケジュールファイルが送られてきた.引継書とにらめっこしながら,一人で事前処理を進める.
昭和基地では海洋気象観測衛星「NOAA」のデータも受信しており,隊内の気象部門や野外活動の参考にも利用されている即応性の高いデータである.最近では,受信したデータをネット経由ですぐに極地研に送ることができるため,極地研のサーバーからほぼリアルタイムに受信画像をみることができるようになった.
昭和基地のネットもインテルサットという衛星を使って世界とつながっているのだが,南極で受信した衛星データを,ふたたび別の衛星に送って日本まで届けている,というのも,なんだかずいぶん遠回りしているもんだな,と思う.
衛星といえば,昭和基地では「ウェブ朝日新聞」から朝日新聞の国際衛星版紙面を講読していて,ほぼ本紙に近い新聞を毎日読むことが出来る.ホームページには地域限定サービスと書いてあるけど,南極については触れられていない.「当日の新聞を届けられない国を優先してサービスを始めた」とのことだから,まあ,これでいいのかも.
私の個室は二階にあり,広さは四畳半程度.窓は東向きで大陸が見える.暗くなったら個室からオーロラが見えるだろう.昨日まではほぼ徹夜の観測だったので,今日の午前中は休ませてもらって,これから一年を過ごすことになる生活拠点を整理する.
昨晩,個室に運び込まれた荷物の量をみてどこに生活スペースができるか心配したのだけれど,私物として持ち込んだ荷物の大半は,隊員へ支給された南極用の衣服や装備と研究・観測に必要な資料や道具.結局,私物らしい私物にしぼったら,すんなり個室に収まってくれた.
荷物を整理していて思ったのだが,南極観測の物資の多くは,通称「中ダン」「小ダン」と呼ばれる特製の段ボール箱に詰めて輸送する.私物の大半もこの形式になる.持ってきた箱は,帰りに再び使うことになるので捨てるわけにはいかないし,普段使わないものは,結局,中ダンにでもつめて室内に保管しておくことになる.
机やベッドやロッカーの間,そしてベッドの下が荷物スペースとなるのだが,そのサイズがどうも中途半端で,「中ダン」「小ダン」の収まりが非常に悪い.基地の個室を設計するなら,「中ダン」「小ダン」を基本単位にすべきだと思った.もし,ここで,「中ダン」「小ダン」がぴったり収まるようにできていたら,「さすが日本南極観測隊仕様だぜ」と感心してあげたのに...
46次越冬隊から昭和基地を引き継ぐ.写真の右側が46次越冬隊で左側が47次越冬隊.この写真の整列の後,中央で両隊員が握手しながら左右の入れ替えを行う.
47次越冬隊長の挨拶には,奇しくも私が12/29に書いたのと同じように「先達の努力と工夫をみつけながら自分たちの越冬活動を展開する」というようなことが含まれていた.
1時間足らずの短い交代式を終えて,VLBI観測のために早々に衛星受信棟へ戻る.深夜に無事観測を終了.他の隊員に頼んで,日中に個室まで荷物を運び入れておいてもらったのだが,その整理もそこそこに,前の越冬ではまだ出来ていなかった居住棟の個室で越冬第一夜となる.
越冬交代を明日に控え,夕食後のミーティングでは各現場から作業終了の報告が相次ぎ,拍手がわく.
こちらは,引継ぎ半ばのVLBI観測に突入.前次隊は,城を明け渡す作業で多忙を極めている様子で,指南役のほうが大変そうな一日.これから明日夜にかけて,交代で受信状況をワッチ.
雪が降り出した.明日の交代式がちょっと不安.
1/31〜2/1のVLBI観測に向けて,今日から本格的な準備に入る.
本日,JARE47の三大プロジェクトの一つである日独共同S17航空拠点観測のフライトが終了した.最後のフライトを終えてS17へと帰還するドルニエ「ポーラー2号」が夕日に輝いて昭和基地上空を通過していくのを眺める.
「撤収が終わったら昭和基地に来ますか?」との隊長の問いに,S17の隊員たちは「結構です,しらせへ戻らせていただきます」と答えたという話を聞く.S17にはサムライたちがいたんだ,と思った.
私自身は夏オペ中に大陸に行く機会はなかったが,越冬中には次の夏も実施される航空観測に備えて,燃料輸送や拠点維持のためにS17へと行く機会もあるだろう.
夕刻,前次隊最後の防災訓練を見学.さすが越冬で鍛えられている前次隊の動きはキビキビしており,緊張感が張りつめた迫真の訓練に圧倒される.
夕食後,越冬交代後の全体会議に向けて,オペレーション会議.
あわただしい準備で日本では越冬中に実施予定の三浦プロジェクトに使う機器の使用方法も分からぬまま南極に来てしまっていた.幸い,夏隊員の一人はこの機器のメーカーの人なのである.今日になって彼からようやく説明を受ける時間を作ることができた...つもりだったんだけど,肝心の機器が見つからない.これがないと三浦プロジェクトの意義は半減してしまうのである.一瞬,プロジェクト関係者の顔から血の気が引いた.
氷上輸送は担当したものの,空輸でバンバン昭和基地に物資が運び込まれていた時期は野外観測に出かけていたため,持ち込んだ物資のチェックは人任せだったことが裏目に出た.
昭和基地内をいくら探してもないのなら「しらせ」にあるに違いない,ということで,しらせに滞在中の隊員に頼んで探してもらう.
無事発見.ほんとに冷や汗ものだった.