健診

学内規定だかなんだか知らないけれど,長期海外派遣職員健康診断というのを受けろというお達しにより,早朝からL-Plazaへ出かける.昨夜に深酒をしたので結果が心配なんだけど,今さらどうなるもんでもないし,南極へは出かけてしまうんである.

image日曜日に取材を受けた新聞に記事がのりました.

この記事について解説・補足しておくと,

  • 「公募」での名目上の私の担当は「地圏(極域衛星)」である.
  • 記事中の「通信衛星」は,適切には「観測衛星」.
  • 「準星からの電波受信」とは11/16に書いたVLBI観測のことで,私は受信を粛々と行うオペレータにすぎず,そのデータを使ってプレート運動を解析するのは測地学屋さんの仕事.
  • さらにVLBIは「準星」からの電波を受信する作業になるので,厳密には「極域衛星受信」ではない.もっとも,用いるアンテナが衛星受信用のものなので「極域衛星」担当隊員の仕事になる,という感じで,この点は極地研や観測隊内でも正確に理解されてはいないかもしれない.
  • 実際に「極域衛星」なるものからの信号を受信する仕事は,「N/Sバンド」と呼ばれる信号を使った,NOAADMSPの受信である.これまでは合成開口レーダーも受信していたが,JARE47では今のところ受信計画はない.

以上は,実際に取材を受けた私のチェックが甘かったために見逃した不備であり,記者にはあまり責任はない.むしろ,短い時間で地域・社会欄の記事としてここまで簡潔に要領よくまとめる力には,さすがプロ,と感服している.やっぱり,専門でない請け負い仕事の部分にボロが目立つ感じで,本業に関する内容でコメントしておくべき点は少ないし,今後のネタに残しておこうとも思う.ホントは「氷河」は「氷床」がいいんだけど,一般にはあまり通じそうにないし,これでいいっか,ってとこかな...

オヤジのことが出ているのは,「サワガキ」という珍しい姓に関する地元富山のローカルな事情に関係している.実は「サワガキ」姓を名乗る一族は全国で我が一家だけであり,この姓は地元ではオヤジのことを指すほどで,私とは決定的に知名度が違う.このため「オヤジが南極へ行く」と報じる記事だと誤解されないようにデスク側の配慮があったのではないか,と推測する次第.


帰札

image札幌へ戻る.

さわやかな秋晴れの朝日をあびて,心の山・立山連峰が新雪に輝いていた.機上からもばっちり.こんなに見える機会はめったいない.山も壮行してくれているようで,すばらしい眺めを心に焼き付ける.

札幌に戻って,すぐにゼミ.最後まで面倒をみられないのが申し訳ないが,M2の皆さんの健闘を祈る.

夜,札幌の山仲間が壮行会を開いてくれた.デロデロに酔った元JARE隊員を介抱しつつ,しばしの別れを惜しむ.


訪問

実家に帰省している都合で,南極行きに関して母校の中学校と地元新聞記者の訪問を受ける.


温泉

image父の古希祝いと私の壮行を兼ねて一族で温泉旅行.

ぶりおこしがやってきて,紅葉の山に新雪が積もる.





帰省

夕刻,郷里へ帰省.

富山空港で,はじめて右ドアから飛行機を降りた.


多い日

朝から,来客・問い合わせ・依頼・打ち合わせ,と,人や電話やメールが沢山やってくる.

その中の一つで,さるところから,さる会合でJARE47の話をするようにと言われ,急いでプレゼン資料を作成するハメに.


VLBI

つくばEXPに初乗車.国土地理院で昭和基地で担当するVLBIの受信講習を受ける.これで出発前の訓練は終了.あとは本番に臨むのみ,ということで,9日からの長い出張を終えて深夜に帰札.ピリピリと冷えた空気に懐かしさを感じる.

imageつくばへの電車と札幌への飛行機の中で,出張中に読もうと思って持参した「恐るべき旅路 —火星探査機「のぞみ」のたどった12年—」朝日ソノラマ・松浦 晋也 (著)をようやく読了.講習を受けてきたばかりのVLBIの話もあるし,未来館の橘さんが熱を入れている今話題の「はやぶさ」も出てきたりして,身近なこととして興奮して読んだ(実際,地理院の宇宙測地課には,VLBIを使って「はやぶさ」の位置を調べることに協力していることをアピールするポスターが張ってあった).マスコミの「要するに...」という四捨五入してしまう報道姿勢や無意識に報道管制を敷いてしまう研究者側の姿勢にも言及があり,常々考えていることでの共感部分も多く,読みごたえがある.

特に,

内部の者がインターネットで主観を交えて毎日の日報を公開し,さらには公開しているということをあちこちに告知するだけでよかったはずだ.そのためには少々の文才と,ネットにおけるふるまい方を熟知する必要がある.
という指摘にはハッとさせられた.

政治・経済・世相など,地球上でめまぐるしく変化する状況を超えて,予算と人材不足の中で長期にわたって宇宙空間を目標に向かって跳び続ける探査機を見守る人々の苦労にはとてもかなわないが,南極で我々がやろうとしているプロジェクトもまた,相当の難産を経て実現しつつあるものであり,できることなら,「インターネットで主観を交えて毎日の日報を公開し」ていきたいと思った.「要するに...」という聞き方をする人種のためではなく,夢と希望を南極に向けてくれる人々のために.

本書のタイトルのために本歌取りしたという「恐るべき空白」は山屋としても興味がある.今度機会があったら読んでみよう.


異種格闘技戦

午前中の次期4カ年計画にからむセルロンダーネ研究についての打ち合わせに引き続き,午後,氷床の盛衰の検出に関する下記の研究集会.なんで午前中だけで帰っちゃうのか理解不能.午後の異分野格闘技戦こそ進んで臨むべきだと思うのに...異種の重要な分野である「雪氷学」が集会のタイトルから抜けていたので亀田さんの指摘通り訂正.

深夜まで飲み会は続く...

「いま南極の氷は減っているのか、増えているのか?:南極氷床変動の検出における第四紀地形地質学と地球物理学・測地学・(雪氷学)の共通課題に関する研究集会」 (プロジェクト研究P6)

日時:11月15日(火)13時00分〜18時30分
場所:国立極地研究所6階講堂

背景と目的:
大気中温室効果ガスの増加による地球温暖化によって、極域の氷床が融解し、海水面の上昇が懸念されている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書によると、過去100年間の世界の平均海面の変化の要因の1つには、グリーンランド氷床と南極氷床の寄与も含まれているが、具体的な観測に基づく最近の南極氷床変動(質量収支変化)の証拠はまだほとんど得られていない。

最近の南極氷床変動(質量収支変化)の検出方法としては、これまで行われてきた直接的な氷河学的観測とともに、氷床コア解析、融解水の流入による海洋物理学的方法や氷床の変動に伴う地殻の隆起・質量変化に基づく測地学的方法など新しい方法が提案、実行されつつある。しかし、一方で、第四紀後期の数万年スケールの大規模な氷床後退の影響と最近の氷床変動(質量収支変化)の結果を分離しない限り、最近の外的環境変化に応答して南極の氷が減っているのか増えているのかを正確に評価することはできない。第四紀後期の南極氷床の拡大と縮小の過程は、陸上の氷河地形地質と隆起海岸地形の解析や海氷下の海底堆積物コアによる連続的な氷床縁の環境変化の解明によって明らかにされつつある。

このような最近の研究状況を背景として、以下の3点を本研究集会の目的とする。

(1)最近の南極氷床は減っている(融解している)のか?増えているのか?という問題は、これまでの観測によってどこまで明らかになっているのか?あるいは、わかっていないのか?を知ること
(2)最近の南極氷床変動(質量収支変化)を検出する方法にはどのようなものがあるのか?将来の展望はどうなのか?を知ること
(3)第四紀後期の氷床変動と最近の氷床変動(質量収支変化)を分離する方法はあるのか?問題解明のための第四紀地形地質学と地球物理学・測地学の共通課題とは何か?を知ること

ープログラムー

1300-1310
三浦英樹(極地研):趣旨説明

1310-1355
亀田貴雄(北見工大・工):「南極氷床の堆積速度、流動速度の観測に基づく氷床質量収支の解明と問題点・課題」(講演30分、質疑15分)

1355-1440
青木 茂(北大・低温研):「海洋物理学から見た南極氷床融解の検出の可能性と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1440-1450
休憩

1450-1535
土井浩一郎(極地研):「昭和基地の測地学的観測に基づく氷床融解の検出と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1535-1620
大園真子(名古屋大・理):「GPS観測に基づく南極および昭和基地周辺の地殻変動」(講演30分、質疑15分)

1620-1630
休憩

1630-1715
山本圭香(京大・理)・福田洋一(京大・理):「衛星重力に基づく氷床融解の検出と今後の展開」(講演30分、質疑15分)

1715-1800
奥野淳一(東大・地震研)・前杢英明(広島大・教育)・三浦英樹(極地研):「Near-fieldの第四紀地形地質学的データに基づく南極氷床モデルと現在の測地学データの解釈」(講演30分)

1800-1830
総合討論

1830-1930
懇親会


出航

しらせが出航した.

imageimage

晴海を出るときには自衛隊だけで出発し,観測隊はオーストラリアから乗り込むようになって,出航時の高揚感というか覚悟が薄れたような気がする.横須賀あたりで一旦おろしてもらう,ってのでもいいから,南極へはしらせと一緒に出発,ってのがいいなぁ.

極地研にもどって,観測隊員室と作業倉庫を大掃除.


情熱

ぽっかり空いた休日.朝一番で極地研の近くの庶民的な床屋へ行く.次にまともな散髪ができるのは一年半後.

研究所に戻って論文の原稿書き.

夕刻,岩崎と一緒に,仙台から出てきた修了生を交えて夕食.春の学会以来だったが,出発前に元気そうな顔をみることができて嬉しく思う.

夢を実現させるには,苦労を乗り越える原動力となる情熱が必要だが,「苦労・苦労」といっているうちはまだまだ...ということで,たとえ青臭いと言われようとも熱く夢を語る必要有り,ということで決着.


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