手とり足とり

今日は院生に一人も会わなかった.

手とり足とり教えてもらっている人のことが,そんなに羨ましいかねぇ?それも学部レベルのことをだよ...こっちにしてみれば,昨年度までの反省の上にたった屈辱的対策なんだけどなあ...

MacにRをインストールしていじくってみる.R Commanderがどうしても動かない.tcltkの問題らしいんだけど,解決策が見つからず,時間ばかりを浪費.


QUEEN

QUEEN(Quaternary Environments of the Eurasian North)プロジェクトの総合報告がQSR23(11-13)に載っている.6/11にドームCのドリリングの成果が出たことを書いたが,今度は更新世後期の環境に関する研究の話.またまたヨーロッパ軍団の成果.

1996年に始まったこのプロジェクトは,2回の氷期・間氷期サイクルを含む過去25万年にわたる北ユーラシアの環境変動を,氷河作用から永久凍土,海面変動,モデリングなどを含めて総合的に明らかにしようというもので,今回の報告は300ページ近い大作となっている.読むだけでも一仕事.カラーもふんだんに使われていて,今後,北ヨーロッパの環境変動のスタンダードになりそうな雰囲気.

注目しているのは,Mangerud他のIce-dammed lakeに関する論文.現在,Scabland問題やドラムリン問題に関連して,氷床周縁湖に関する洪水現象のレビューに取り組んでいるだけに,無視できない存在なんである.はやく仕上げないと,レビューすべき文献が後から後から出てきて,追いつけやしない...

といっても,Mangerud他の指摘するOutburst Floodは,90-80 とか 60-50 kaということなので,どうも私が注目している最終氷期中のものよりも古いらしい.

ここでもやっぱりglobal Last Glacial Maximumという語が使われているのが気にくわない.Abstractの一カ所だけなんだけど...誰かに指摘されて後から付け足したっていう感じ.


夏休み前

夏休み入りを控えて,M2の中間発表会.手話通訳付き.

久しぶりにWinで自分のページを見たら,レイアウトが崩れていたので修正.Macでは問題ないので気づかなかった.

BSの一般放送で,NHKハイビジョンスペシャル『大いなる氷河の鼓動 「カナディアン・ロッキー山脈」』を見る.ハイビジョンでみたらすごいだろうなぁ.

またカナダに行きたくなった.


夏時間

夏至.蒸し暑い一日.

ホントに日が長くなったなぁと思うが,北海道では7月一杯夏時間にしてみよう,という試みがあるらしい.実際エドモントンでは夏時間は非常に有効だと感じた.なんせ夜8時9時になっても明るいんだから,夕涼みでもしようか,という気にもなる.Shaw先生の趣味のサッカーも仕事後の明るい時間を利用した余暇の一部だったし.

現代日本人の生活時間をコントロールしている大きな要因の一つに,おそらくテレビがあるのではないかと思う.全体の放送スケジュールを夏時間実施地域だけでもずらしてもらえば,日本でも夏時間が普及する見込みがかなりありそうに思う.一国内に異なる時間帯が存在するなんてことは世界をみればざらにあることだし,日本全国を同一時間でやる必然性もそれほどないだろう.

試行の結果が楽しみ.


カレンダー

『人間なしで始まった地球カレンダー』を購入.

このカレンダーの後半についている「その後のカレンダー」を見ていると,人類が繁栄できるのももうそんなに永くない,という気になる.環境問題とか政治問題とかには関係なく,自然の摂理として.

今この時点に,文明人として生きていられる不思議さを実感.


旭山動物園

息子を連れて今話題の旭山動物園へ.

子供や老人の遠足とおぼしき団体や大勢の家族連れでごったがえしている.6月6日にオープンしたあざらし館は,100人づつの入場+見学3分間の制限つきになるほどの人気で,売り物の「チューブくぐり」が見られるかどうかはその時の運による.幸い上昇・下降の両方を見ることができたが,シャッターチャンスを逃す.

今度は人の少なそうな日を選んでゆっくりと観察しに行きたい気分.


マンボウ

息子にNemo Friday.さかなついでにまんぼうも来た.


本業

文献収集など.最近の進歩について行くのは結構大変.

書きたいことは山ほどあれど,ここに書くよりは論文にしたほうが本業にかなうと思うので,そちらに集中することにする.


屋上屋

どうやら,Quaternary区分問題が再燃している様子.詳しくはもう少しリサーチしてみるつもりだけど,数年前のドタバタについては,滞在記の4/24に書いたので,そちらを参照して頂きたい.少なくとも,当時存在していたINQUAのSubcommission on Quaternary Stratigraphy (SQS)のページはINQUAの中から消滅していた.

さて,今日は実習レポートの添削.ほんとに卒論を書いてきたのか,と思う出来.学術的文書の体をなしていないんだな.

このレベルから,いっぱしの修論が書けるようになるまで引き上げなければいけないんだよなあ.研究者にならないにしても,保全指導者だって,国連職員だって,民間シンクタンクだって,短期間にデータを解析し,結論をまとめて体裁の整った報告書を作成するという技術の基本は一緒だろうから,ちゃんとした論文を書けるようにさせるのは大学院教育の必須の到達目標であることに違いはない.

こりゃ,教育というよりはトレーニングという範疇に入るんだろうけど,問題は,どうもカンが鈍いというか飲み込みが悪いというか.そういうところにあるような気もする.カンを養うには,もっと文献を読みこなして,見習うべき手本を頭にたたき込んで業界人に近づこうという気概を持つことが寛容かと.現状はその辺が決定的に足らないように思う.

こういう連中をわずか二年間で一人前に育てるのは実にやりがいがある仕事だというもの,と前向きに考えればいいっか.

なんだか,大学が高校になって,大学院が学部になり,そして,巨額の予算をつぎ込まれているプロジェクト研究推進機関がかつての大学院の役割を果たしているような構図になってきたな,と思う.

うちは学部を持たないから好きなこと言える,と言われそうだけれど,それでも言いたい.もっと学部教育をしっかりやってくれ,って.研究科改革の構想の中に,環境科学部を持とう,なんて意見はないのかねえ...

そのうちプロジェクト側から,大学院教育をしっかりやってくれ,なんて言われる日がくるんだろうな.でも,ろくに教育に携わっていないところから言われる筋合いはないと思うので,そういうことがあったとしても却下したい気分.やっぱり大学院は最後の砦.


人生のタイミング

最近専属オペレータが顔を見せないので,必要に迫られて久しぶりに自分で解析図化機を操作してみた.思い出しながらやっていると効率が悪い.根をつめて写真を覗いていたら目がショボショボになってしまった.トシか...

今や,いろんな情報が電子化されてすぐに手に入る時代,この機械の優位性もいつまで続くのだろうか,と思ってみたり,オペレーターがもうちょっとしっかりしていてくれれば,この機械を武器に論文をまとめてくれる院生も大勢出せただろうに,時期を逸してしまったなあ,と残念に思ってみたりする.はたまた,この機械を自分の専属で使えていれば,学位論文もその後の展開もまったく違ったものになっていただろうなぁ,などと思いながら,往年の失恋相手に向かって昔話をしているような気分になった.

思えば,この機械の履歴には,私の人生のタイミングがからんでいたんだよねえ.

夕刻,情報・システム研究機構となった極地研から,非常勤研究員募集の案内が来た.今年度からはじめる所内外の研究者によるプロジェクト研究体制に参画してもらうのだという.来年出発予定の観測隊に参加の可能性もあるとのこと.2年間で4本以上の査読付き論文を国際誌に投稿すること,という,南極に行っていたらできるんかいな,と思うような厳しいハードルも用意されている.

厳しさはあるにせよ,南極付きなら情熱でもってシャカリキに踏ん張れそうな自信はある.でも,このトシで越冬となれば人生もかかってくるし...あと5才若かったら応募したのになあ,と思う.

この公募に人生のタイミングをかける人もいるんだろうなぁ.応募する時点ではそう思っていなくても,南極がらみの人事は人生を簡単に変える力があるかんねえ...そのうち実感する日が来るよ,きっと.

このところ,いろんな場面で,人生のタイミングみたいなものってあるんだなあ,とつくづく思うようになった.

ところで,非常勤枠で厳しい業績を要求するやり方がどこでもはやっているようだけど,ほんとにそれで良いのだろうか?特に,南極なんていう高度の特殊事情がからむ分野にとっては,長期的に情熱をもって携わってくれる一過性ではない本物の人材を培う必要があると思うんだけど.

大学の教育もしかり.大学院でも一人の研究者をまともに育てようとすれば5年はかかるし,それを支える組織も理念も最低限その期間は存続していかなければならないはず.使い捨てをしたり,目先の業績にとらわれずに本気で踏ん張ってくれる人をないがしろにしたりすると,きっと痛い目にあう日が来ると思う.

そのころには,痛い目にあっている,と全体を思う人すらいなくなっているだろうから,どうでもいいんだろうな.

アメリカにしても欧州にしても,表面的な競争の裏には協調・共存の精神で,永続性への布石がしかれていることを忘れてはいけない.

世の中,超人やスターばかりではない.みんながトップスターになったらトップスターがいなくなる,スターが独走したらそれをスターと認める底辺がいなくなるのでスターという概念が消滅する,というジレンマ..こんなこと等をつらつらと考える夜更けである.


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