日々の雑感 一覧

PIHOTEK ピヒュッティ-北極を風と歩く-

今年の日本絵本大賞受賞作『PIHOTEK ピヒュッティ-北極を風と歩く-』を、受賞と知って遅ればせながら「著者のサイン入り」で落手しました。極地冒険家の荻田泰永さんと絵本作家の井上奈奈さんによる傑作です。写真ではこの質感はなかなか伝わりません。ぜひとも実物を手にされることをおすすめします。
「知り合いがさぁ絵本大賞とったんだよね」と、しばらく出版業界にいて国際絵本市で有名なボローニャにも通っていたうちのかみさんに話したら、すごい! とたいそうたまげていました。高校生の息子にも見せたら、極地を歩いているより寝ている話だね、という感想。まぁそうなんだけどね。テントの中で寝袋にくるまっているのが一番幸せな時間なんだよ、と、我が身にも覚えのある実感として解説。
井上奈奈さんのほうは、先月の地平線報告会の会場に荻田さんといっしょにいらしていたのでちょっと紹介してもらいました。まさかこんなに素晴らしいコンビだったとは、なかなかレアな機会だったのでした。

南極探見500日

『南極探見500日 岩手日報特別報道記録集』
昭和基地で共に<500日>を過ごした同行記者がまとめた<探見>本が出版されました。
現場の研究者やエンジニアなどの専門家にもしっかり取材(越冬隊長からの入れ知恵もちょっと)。
秀逸な写真と関連する情報がぎっしりコンパクトに詰め込まれています。
ネット配信動画とも連動していて、マルチメディア的に楽しんで学べる「科学読本」です。

越冬アルバム「開拓者たち」

研究室のほうに郵送してもらっていた越冬アルバムを、GW明けの今日になってようやく開封しました。すごいのができた!と喜んでいます。
 アルバムの横にあるのは、越冬中の6月3日を「63記念日」として祝った際に越冬仲間からサプライズプレゼントされた飾り盾です。この盾の絵は63次隊ロゴを選ぶコンテストに応募した私のデザイン(残念ながら落選でしたが)で、その下に私の座右の銘があしらってあります。
 当時、サプライズ用の下調べとは知らずに「ミッドウィンターの隊長挨拶で使いたいので教えてください」という隊員からの要請に返答して、『開拓者は矢を受け、入植者は土地を手に入れる...されど開拓者たれ』というこのフレーズを返答しており、それが盾に刻まれて戻ってきていたのでした。
 盾をプレゼントされたそのときも涙が出るほど嬉しかったのですが、今回、仕上がってきたアルバムの封を開いて初めて、みんながこの銘を記念アルバムのタイトルにも選んでくれたことが分かって、いま一度泣かされてしまいました。これほど越冬隊長冥利に尽きることはありません。
 内容については、歴代越冬隊のご多分に漏れず結構微妙な画像が多いため、世界に向けてご開帳、というわけにはいかないのが残念ですが、お近くの越冬隊員にお問い合わせただければ、のぞき見ぐらいはさせてもらえるのではないかと思います。

山はありがたきかな

【ふるさとの山に向ひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな】
 コロナ禍〜南極越冬と過ごして、ほぼ4年ぶりに郷里へ帰省しました。親の齢が齢だけに無事再会できただけでもありがたいことではありますが、人間も家屋も予想以上に劣化が進んでいることに愕然とし、この間の年月の長さを実感しています。
 帰省時恒例の片付け・整理・補修作業で一日が終わってしまいますが、作業の傍らにはいつも剱岳がそびえていて、この勇姿だけはずっと変わらずに和みと励ましを与えてくれます。今後は頻繁に帰ってくることになりそうなので、実家の特等席に帰省時の仕事場を確保しました。
 その作業中に大きな揺れ。能登で震度6だそうで被害も出ているようですが、とりあえずうちは無事です。

戦慄の爪痕: エベレストとネパール大地震

この時期になると思い出す「2015年ネパール・ゴルカ地震」。それから8年がたった今日、「南極から帰国したら真っ先に見なければ」と思っていた『戦慄の爪痕: エベレストとネパール大地震』(Aftershock Everst and the Nepal Earthquake)
https://www.facebook.com/netflixjp/posts/pfbid0ZB78cNeD4w1TY1mhAQ33ZLn851e4LmjL3WgRGr8Xw4bxFXKBxN2B6DmiGG9mJht3l
というドキュメンタリー番組を、大型連休最初のイベントとして一気見したところです。
 発生当時、私は東京に出てきた直後で、引っ越しの片付けもまだすんでいませんでした。それでも、4月25日夜半に速報を聞いた直後から情報収集に動き出して、なんと4月30日にはもう着任したばかりの大学の講義でこの地震についての解説を90分間しゃべっていたんですね。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=819006934847423
 その後、JpGUの時期には雪氷学会の理事会で話題提供したり緊急調査プランの動きにも参加したりしてましたね。なんで当時はこんなに猛ダッシュできたんだろうなぁ、今はとてもそんな気力はないよなぁ、と、我ながら感心しつつ過去を振りかえりながらこのドキュメンタリー番組を見ました。クンブとランタンの現場で起きていたことが、インタビューと実画像と再現によって詳細に描かれていて、へぇ〜こんなこともあったんだ、と新たに気づくこともたくさんありました。
 その後も、ランタンプランの支援活動のお手伝いをしたりシンポジウムを企画したりして、ずっと感心を持ち続けてきましたが、コロナや南極越冬でフェードアウト気味になってしまっていました。折しも、来月の地平線報告会は、ランタン谷を久しぶりに訪問してきた貞兼さんのご登場、ということで、再びこっち方面に感心を戻すきっかけともなりそうです。

帰国してすぐに買った本

帰国してすぐに買った十数冊の本のうち、真っ先に読み始めたのがこの2冊。なかなかまとまった時間がとれずにいたところ、この週末でようやく読了した。「なんともやるせない」というのが両者に共通した読後感。南極越冬直後に読むのではなくてもっと精神的に安定してからのほうが良かったかも、と、今現在、胸の中のザワつきが心地悪くてちょっと後悔しているところ。
 松本雪崩裁判のほうは、若林先生がいう「江戸時代の雪崩知識」の犠牲になられた方々の思いを、そしてその人間模様をこれでようやく知ることになった。筆者が「20年遅れた近代雪崩学との出会い」と後悔するその思いの反対側に、雪氷学会の調査チームやASSHの活動、そして2017年に高校生らが犠牲になった那須雪崩事故にも関係してきた今の私の「30年越しの無力感」が、彼岸の鏡映のように存在する。それがこちらの本のほうの「やるせなさ」。

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功労表彰いただきました

五七の桐の紋がついた彰状が郵送されてきたので、ひっそりといただきました。

おかえりなさい。しらせ。


ランニングを再開

まるで初夏のような陽気に誘われて、帰国後のドタバタと天候不順でなかなかできずにいたランニングを再開しました。15年前に南極から戻った直後とまったく同じ6min/kmというペースに戻っていました。体はなんとも正直です。
 持久力が続かないかなと思っていましたが、カラッとした空気の中を花を愛でながらであれば、このペースでいつまでも走っていられそうでした。再開初ランを今日にして正解だったと思います。これで苦痛が先にでてしまっていたら次の踏ん切りがつかなかったかもしれませんので。
 15年前はここから3ヶ月で15kg減量して4.5min/kmペースで30kmを走るまで調子を上げましたけど、あれは北大キャンパスという絶好の環境と札幌という冷涼環境のおかげでもあったように思います。東京はこれから梅雨があって猛暑の夏に続くという、越冬帰りにはきつい時期がやってきます。40代当時のような無理もできない齢もになりましたし、急激な減量は心臓にも悪いですので、ボチボチやろうと思います。でもやっぱり4.5min/kmペースでまた走りたいなぁ。それには最低でもあと5kgは減量しないと。

帰国して約1週間.まだシャバに順応し切れていないのに,いきなり学会出席やゼミ募集説明会などで,強制的に国内での仕事が始まりました.怒濤のように流れ込んでくる刺激が多すぎて頭が混乱しています.
 加えて帰国報告準備や昭和基地に残してきた作業を逆リモートで片付けたり.
 情報収集の過程で,留守中に世の中で進んでしまったことで驚愕したことの一つが「ChatGPT」.これは学生を教える側としては戦略を大幅に変更しなければならなくなるな,と完全に頭を揺さぶられています.
ChatGPTの実力がどんなものかすごく気になったので,勝負を挑んでみました.一応勝った気にはなれたので,あとはその特質をつかんでうまく使いこなす方に回るまでです.
 以下,南極帰りの私がChatGPTに挑んだ「ある質問」へのChatGPTの回答です.「研究者からのインプットが必要」と言わせてしまったところが勝負のつきどころだと思ってます.私も頑張ります.
 ChatGPT>>〝申し訳ありませんが、私が知る限りでは、最近トッテン棚氷からの流出に関する情報はありません。ただし、トッテン棚氷は長期間にわたって縮小しており、その結果、氷棚から流出する氷の量が増加している可能性があります。
 トッテン棚氷は、南極大陸の西側海岸に位置し、海水面上昇に影響を与える重要な役割を果たしています。そのため、トッテン棚氷の状態や変化に関する継続的な監視が重要であり、多くの科学者がこの地域での研究を行っています。今後もトッテン棚氷に関する情報が入手でき次第、随時更新していきます。

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