プラモデル

講演と展示の準備の続き.講座の帰国歓迎会の時にプレゼントしてもらった「しらせ」の模型を展示してみようかと思い立った.でもまだ組み立てていなかったので,急遽制作にとりかかる.

それらしく見せるには塗装が重要,ということで,昼休みにヨドバシまで行って,塗装道具をそろえてきた.モデル本体よりも高くついたかも.

image模型売り場を物色していたら「Mr.カラー艦船色セット3【宗谷】」というドンピシャのセットを発見.思わず購入.箱には南極観測船のカラーリングについてのうんちくが書いてある.独特のオレンジ色は「アラート・オレンジ」という名前で,航空機に使われていたディグロ(蛍光オレンジ)を参考として,1955年に榎本回漕店という会社が最初に採用し,それを宗谷にも採用したのだということである(たしかに会社のホームページを見たら,そこの船はこの色になっている).宗谷の頃はまだ標準色票も制定されておらず,良い顔料もなかったため,現在と比べると幾分くすんだ色になっていた,という.

imageということで,まだ艦載ヘリの作成とデカールの貼付けが残っているけど,久しぶりに童心にかえって無心に取り組み,半日で完成にこぎ着けることができた.風が強くて窓を開けっ放しにできないので,シンナーで頭がくらくらしてきた.でも,我ながらなかなかの出来映えで満足.作りながら,これまで気づかなかった細かな構造なんかも理解できたように思う.逆に,現在のしらせを再現しきれていない所もあったりして,プラモデルも完璧じゃないな,と思ったりもした.

真っ昼間から研究室でプラモデルを作るとはけしからん,と言われそうだけれど,まあこれも仕事の一環ということで許していただこう.その分,早朝から出てきているし残業もしていることだし...


講演準備

今週末に学祭の一環で環境科学院で開催される催しの準備.

南極用の展示品をみつくろっていたら,越冬中にもらった賞品とか賞状とか許可証などが出てきた.これでも展示してみせようかな.


久しぶりの博物館

真っ青に抜けた空.北海道の一年で最高の季節.

息子をつれて久しぶりに博物館へ「科学者のフィールド・スケッチ展」を見に行く.

坂本直行さん,太田昌秀さん,木崎甲子郎さん,橋本誠二さん,樋口敬二さんなど,地質・極地の研究者の作品が大半.私は仕事柄,どの方の作品も日常的に目にする機会が多い.今回は,掘り出し物がないかと期待していったのだけれど,それほどでもない.

O教授の作品があったのはちょっと異質に感じられた.作風も違うし...パンフに記載がなかったのでそこの人に聞いてみたら,企画の実施間際になって追加されたものだということだった.

絵を趣味とされていて個展も開催されているくらいの方ばかりなので,ここでの企画が展覧会的なものになっていては意味がない.博物館として「科学者」のフィールド・スケッチを銘打つならば,もうひとひねり欲しかったな,と思う.

しかし,フィールド・スケッチを一つのカテゴリーとして博物館展示で扱おうとする姿勢は評価できる.かつて「地理学は芸術だ」と題した講義をしていたこともある私としては,スケッチと写真の違い,スケッチを通して自然を理解し記録する意義について,もう少しアピールしてほしかったと思った.


ようやく

起学M2中間発表会の3回目.ようやく終わった.

こういう会で学術的に突っ込んだ議論をするのは無理.中間発表会の趣旨は最初からそうだけれど,修論の進捗状況を把握するのが目的.その意味では,アピールすべき内容はおのずと明らか.

教育理念と照らし合わせて評価するには,どのコースでどの課題にとりくんでいるのかという情報は絶対に必要.全員ごちゃまぜにやるのは良いけれど,評価する側としては,コースと課題ぐらいははっきりさせてほしかった.


遠隔「な」授業

アップルが「iTunes U」を開設というニュース.

音楽配信で一世を風靡しているITuneサイトで,米国著名大学の教育コンテンツを無料配信するというもの.iPodに取り込んで,移動しながらでも見られるらしい.

昨日のエントリーの趣旨と正反対の動きだけれど,面白そう.こりゃ,教育の黒船かもしれない.


体験「な」授業

教授から,東大出版会が出しているUPに松浦寿輝さんが書いているエッセーのコピーをいただいた.

高尚すぎてなんだかさっぱり理解できないけれど,畏怖と尊敬は感じることができる,そういう大学教養時代の講義が,今でも鮮烈な記憶として残っていて人生の糧となっている.昨今のパワポできれいな「プレゼン」授業にはそんな「体験」は望めない.

とまあ,こんな趣旨.

たぶん,私がUPを手に取って眺め読みしていても,読み飛ばしたに違いない記事だけれども,あらたまって,読め,と渡されてみると非常に面白い.

私が学部生だった頃も「プレゼン」授業はまだなかった.確かに私にも同じような「体験」があった.例えば中国文学の中野美代子先生とか,火山学の勝井義男先生とか.中野先生なんかは,話自体聞いていて面白かったので,ちんぷんかんぷん,という感覚はなかったけれど,講義の話の裏側にものすごく大きな世界が広がっていそうだという,空恐ろしさを感じることができた.

ちょっと前にこのエントリーにも書いたけれど,AACHの先達が築いてきた文化の片鱗に始めて触れたときにも,同じ感覚を抱いた.それが今日の原動力につながっている.

昭和基地から「南極教室」を発信していた時も,こんな体験をしたりして,きれいな「プレゼン」授業よりも,心の底に響く体験を伝えたいと思ったりした.

南極に出かける前に科学未来館で開催されていたサイエンス・トンネル展もそうだった.ドイツ最大の科学研究機関、マックスプランク協会が製作して世界各地を回っている展示だが,行ってみてその内容をさっぱり理解できなかった.でも,おれたちはこんなスゴイことをしているんだぞ,というアピールは伝わってきたし,科学の切り開く世界の深さを感じ取ることはできた.

今の自分に,大教授たちや偉大な先輩たち,そして世界の最先端ほどの迫力があるとはとても言えないけれど,教育に携わるものとして,「体験」をつたえる教育ということは,心の隅に控えておきたい事柄だと思った.


IYM復活

普段あまり使わないサーバーのメンテナンスをしていたら,いつの間にかRAIDの片割れのHDDがクラッシュしていたことが判明.急遽別のHDDにデーターを入れ替える.

このサーバーでは国際山岳年日本委員会のサイトも運用しているのだが,この委員会からなんだかよくわからない役職を申し付けられているわりには,南極出張中に何もしてこなかったので,修理のついでに久しぶりにサイトの構成に手を入れる.

これまで一番の懸案事項だったにもかかわらず実現できていなかったのはマルチランゲージ化すること.一応「国際」ということで,日本語以外でも国内の活動をアピールしておく必要があるだろうという理由による.今回,これこれを導入してバイリンガル化を実現.英文を書く手間をのぞけば,簡単に多言語を切り替えられるのでけっこう便利.

夕刻,環境科学院の学内説明会.会場が一杯になるほどの盛況ぶりだったにも関わらず,またまたうちへの希望者がいなくて,悲しい思いをする.思いのほか雪氷コース希望者が多いみたい.話を聞いていると,うちのほうが向いていると思う希望者もいたりしたが,うちと同レベルで院生獲得に低迷してるコースだし,横取りしちゃうのはマズいと思い,おとなしくしていた.


情報統制再び

asahi.comに「1次南極観測隊の上陸地点確認」というニュース

すでにこのBlogでも48次越冬隊が発見したことを紹介していたが,マスコミの発表としては初めて.今確認したら48次越冬中の隊員のBlogから,これに関連するエントリーが消えていた.ははぁ,これもニュース性のある観測隊取り扱い事項に相当する訳ですか…なんとも時代錯誤な処置ですなぁ.こんなことにも気をつかわなければならない隊員のみなさんのご苦労がしのばれる.

でも,すでに南極OB会北海道支部の報告会でしゃべっちゃったし…


花冷え

北海道の花冷えは「リラ冷え」とも呼ばれ,ライラックが咲く今頃にオホーツク高気圧の影響で冷え冷えとした日が続くことを指す(語源についてはこちら).北海道ではこの時期に小中学校の運動会が開催されることが一般的だが,今週末はそんな運動会が予定されていたところも多い.でも,あいにくの悪天で中止・延期となったところも多いらしい.


南極大規模融雪

asahi.comに南極大陸で大規模な融雪判明という記事.元ネタはNASAの記事(May 15, 2007)JPLでこちらで高解像度の画像をダウンロードできる.

手法はscatterometerというのを使って,氷床からのレーダ反射によって,融解した雪が再凍結して氷になるときの変化をとらえ,それで融雪が起きたと判断しているらしい.

実際に「大規模融雪」と判断された観測は2005年だけで,その後は2007年現在まで観測されていないとのこと.2005年の大規模融雪を近年の地球温暖化の影響だと決めるには,この一度だけの結果をどこまで信用するか,これが本当に最近のトレンドなのか,あるいはたまたま起こったことなのか,南極氷床の普通の姿なのか,という疑問を解消していく必要があると思われる.この衛星観測は2005年よりも前から行われていたみたいだが,それでもせいぜい10年間くらいの観測期間である.

いづれにしても,継続的観測は必要だろう.NASAは税金で実施されている観測・研究を社会に還元するのがうまい.おまけに予算要求にもつながっているし…

image
NASAの記事画像から
昭和基地付近を切り出したもの

ちょっと気になったのが,昭和基地周辺の宗谷海岸露岩域のすぐ氷床側にも融雪を示す黄色い領域があること.この領域は,夏に気温がプラスになることはたまにあるし,融雪もある地域だから,2005年だけのことではないようにも思う.

ただ,これがこの年の特異な現象だったとすれば,もしかしたら越冬中に行ってみた氷洞と関係あるかもしれない?と思ってみたりする…出現時期も一致するし…

【5/29追記】氷河・雪氷圏環境研究舎の情報の広場にワシントン大の松岡氏がコメントを寄せている.

この結果は査読論文としてではなく、解説本で報告されているのみです。
http://www.amazon.com/Earth-Machine-Science-Dynamic-Planet/dp/0231125798/ref=cm_taf_title_featured?ie=UTF8&tag=tellafriend-20

とのこと.


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