なにかと

講義の準備,予稿集の執筆,入試をひかえてホームページの更新など.


ひさしぶり

北海道地理学会に出席.デビューお披露目ということで,M1に発表してもらう.

夕刻,修了生が修了以来3年ぶりに札幌にやってきて,在学当時からいる人たちと一緒に夕食.当人は元気そうだったが,こちら札幌部隊はシケた話になりがち.申し訳ない.

修了生たちに顔向けできるように,夢と希望を持って生きていこうと思った.


名刺

帰国後まもない頃は,まだ身分がどのような扱いになるのか実情を把握できていなかったので,これまで印刷するのをためらっていたのだけれど,さすがにいろいろと外との付き合いも多くなってきたので,名刺を作る事にした.

学位,研究院と学院.研究の専門と教育の担当,住所,電話番号,E-mailアドレスなど,原稿を作ってみると,名刺に盛り込むべき内容は非常に多くなってしまった.しかも私の場合,どれも長ったらしい組織名称ばかりだし,外国人との付き合いも考えると英語版も欲しくなる.これぐらい書いておかないと,自分の立場を説明するのに一苦労なので仕方がない.こうなると,限られた紙面にどれだけの情報を盛り込めるかが勝負だ.取捨選択しなければいけなくなって一苦労.

学生の頃,さるお方から「北海道大学 教授 北海太郎」とだけ書かれた非常にシンプルな名刺をいただいた事がある.当時はこれで充分だったんだよねぇ.

それだけ,世の中単純じゃなくなっている,ってことなのか...


学会対応

夏から秋にかけての学会シーズンにむけて,そろそろ参加申し込みや発表要旨の原稿受付が始まっている.いろんな作業と並行して,これらへの対応を考える一日.

こうして,書きかけの原稿がたまっていく...


キリマンジャロ

朝から雪氷学会北海道支部の研究発表会

6/20の道新で,温暖化で消滅が危惧されている氷河の代表のように取り上げられる事の多いキリマンジャロの万年雪が,まだ大丈夫だという研究結果があることを報じていた.この記事を読んで,実際の所どうなのかな,と思い調べてみようとしていた矢先,氷河・雪氷圏環境研究舎の情報の広場で3日前からですでに議論されているのを見つけた.ここではその研究の原典が示されていたので助かった.

研究舎の掲示板に書き込もうと思ったが,なぜかエラーになって投稿できないので,ここに書いておくことにする.

ことろで,キリマンジャロとは話がはなれるが,うちの研究室では現在,渡辺准教授や院生の小松君が中心となって,パミールの北側にある半乾燥地域の閉じた流域内へ流入する氷河の消長と,その堆積盆にある湖の盛衰について調査を始めている.対象となる時間スケールは過去数万年になるので,近年の急激な温暖化とは少し離れるが,過去の氷河変動を復元することで現在への応用もできればいいな,と思う.キリマンジャロでも議論されているような,水資源としての氷河の融解水の問題も半乾燥地域では重要で,そもそもは,そちらへの寄与を目指して始まった研究でもある.

キリマンジャロもそうだが,パミールの北側のような半乾燥地域の氷河の消長は,寒暖変化に氷河が反応することに加えて,降水量(涵養量)が氷河の成長と消耗のどちらに効くか,ということも顕著な問題になる.パミールの場合は,閉じた流域内の湖面変動という別の指標が使えそうなので,その変動とペアで考えてみると,なにかがいえるような気がしている.

問題は,氷河の融解で単純に湖面が上昇すると考えてよいのか,それとも降水量が増えて氷河を涵養しつつ,同時に湖面も上昇させるのか,という疑問を解決しなければならないこと.モンスーンなどの気団の変化との関係もあって,なかなかやっかい.

まだ調査を初めたばかりなので,結果が出るのはまだ先だが,キリマンジャロの結果も参考にしながら研究を進めていければ,と思う.


49次隊

49次隊の隊員が決定したというニュース.今回の夏オペの目玉は,あすか基地のあるセール・ロンダーネ山脈の地質調査が十数年ぶりに再開されること,そしてドーム基地を超えてずっと南極大陸を横断しながら調査を続けるトラバース計画があることだ.越冬は越冬で,次期観測船の完成が間に合わないだけに,なにかと大変そうな隊である.

セルロンに関しては,しらせの退役や航空網の発達をにらんで数年前から企画されてきたものだが,企画段階から地形分野の参画も検討されたりしていて,できれば私も参加したいと思っていた.47次越冬の三浦プロジェクトの都合や地形分野の人材の都合で,結局地形分野は関わらないことになってしまったが,学術面の事情は差し置いて,内陸調査の経験のない私としては,セルロンに行く機会を失ったのは無念きわまりない.

49次の名簿には,札幌在住の写真ジャーナリストの阿部幹雄さんの名前がある.阿部さんは,毛利衛さんぐらいの世代で私よりもずっと上の方だが,北大山スキー部のOBということもあって,学生の頃から付き合いがある.夏とはいえ,内陸氷床上にあって昭和基地以上に厳しいセルロンでの調査のフィールドエキスパートとして隊員に採用されている.

阿部さんは81年にミニヤコンカで遭難した北海道登山隊の一員でもあった.最近,その遭難者の遺体が25年ぶりに見つかったというニュースがあったばかりだが,阿部さんは,当時の生き残りの一人として,山岳遭難の悲惨さを伝えたり山岳事故防止を促進するために,雪崩講習会を開催されたりするなどして今日まで精力的に活動されてきている.

野外ガイドを営むAACHの先輩の樋口さんが,午後に私の研究室にやってきて,いろいろと話をしていった.樋口さんは,阿部さんとも協力しながら安全登山の啓蒙に活躍されている方で,当研究院でも,国際南極大学講座の依頼を受けて,安全に関する講義を受け持っている.さらに南極観測隊の安全管理についても関わっていて,先日開催された第4回南極設営シンポジウムで,「南極観測におけるフィールドマネージメント」という講演をされたばかり.

今年度の最終講義を終えたばかりのその足で私の所に来てくれた樋口さんだが,氏の言う事には,南極観測への提言が机上の空論にならないように,自分もぜひ南極に行きたいという.たぶん極地研からの要望もあるだろうから,樋口さんならばすぐに実現するだろうと思うけれど,その前にお互いの知人である阿部さんが先に南極行きを果たしてしまう,ということに,こころ強さと羨望が入り交じっているような風情だった.

おそらくこれからの南極観測は,航空機で直接南極入りしたり,内陸奥深くまで独自の旅行隊を出したりして,オーソドックスな観測隊本体とは切り離して,多方面に活動が展開されていくことになるだろう.研究面での人材確保も問題だが,充分にトレーニングされていない人も増えるだろうから,フィールドでの安全管理も重要な課題になってくると思われる.阿部さんや樋口さんのような人材の養成や組織作りが求められてる.その意味で,お二人が関わってきてくれるのを見て,将来的にみても大変心強く思った.

阿部さんのジャーナリストとしての視点も興味深く,帰国後の報告が今から待ち遠しい.


100号

趣味の世界の話で恐縮だが,AACHの会報が100号を迎えた.今夜はその発送のため山岳館で作業.封筒詰めをしながら,役得として,配送を待つ諸会員に先立って100号の会報をつまみ読みする.

100号を特に意識した訳ではないだろうけれど,今回の号はなかなか読み応えがある.南極観測の創成期に活躍された菊池徹さんと小林年さんがあいついで他界されたが,これまた南極地学の大御所でもある木崎甲子郎さんが追悼文を寄稿されている.

菊池さんについては何度も書いてきたのでここでは省略させていただくが,小林さんは,私が北大に来た当時から札幌で直接話を聞かせていただく機会も多かった方で,私の南極への思い入れが加速したのには小林さんの影響も決して少なくない.でも,私のような若輩が何を書いたところで,木崎さんのように南極観測の創成期の同時代を一緒に経験されている方の追悼文には及ぶべくもない.連綿と時代を築いてこられた方の,同胞を弔う文章とはかくたるものか,と感じ入ってしまった.

このような追悼文に加えて,この100号には,南米に移住されて久しい西村豪さんが,パタゴニアの自然や探検史について,日本人や北大の学術隊の話も交えながら解説されている.実は,20年以上も前に書かれた原稿が見つかったので,資料性もあることから今回会報に掲載されることになった記事である.パタゴニアにはちょっとは首を突っ込んだことのある私であるが,今になって読んでみても十分通用する内容である.

さらに,今となってはAACHの最古参のお一人となられた今村昌耕さんが,民俗学者でチベットやネパール,アイヌ文化の研究で高名なフォスコ・マライーニ氏とAACHとの関係について,特に国内の登山史に残る冬期ペテガリ初登の裏に隠された秘話を紹介されているのも楽しめる.最近,野暮用でアイヌ文化について調べる機会があってマライーニ氏の業績に触れることもあったばかりなので,この記事も面白かった.

残念ながら趣味の集まりの会報なので公開はされていない.内輪の話だから書けるという面もあるのだろうけれど,会員の間だけに埋もれさせておくには惜しい文章ばかり.こういう文章に触れられるというだけでも,AACHの一員でよかった,とつくづく思う夜であった.


GRASS

執筆構想中の内容が「3次元」をうたっているので,その参考のために,かつて展開されていた「BEDMAPプロジェクト」をあらためて確認.このデータが公表された当時は,かなり興奮して飛びついたものだが,それを処理するPC環境も,あれからずいぶん変化した.気がつけば,当時盛んに使っていたGISソフトは今のMacじゃ動かないものばかり.古いMacを持ち出して昔のデータをいじってみたりする.

基本的に,私は,今のGIS業界を牛耳っている標準ソフトはきらいだ.Intel化したMacならWindowsOSにして使うという手もあるにはあるが,そもそもMacOSでは使えない.なによりもバージョンアップするごとに更新料を払わなければならないのは腹が立つ.貧乏研究室にとっては環境を整えるだけで一苦労なのである.

前からずっと言い続けていることだが,GISは標準ソフトでなくても,やろうと思えばできる.その道を極めれば,独占状態の大手の鼻を明かすことだってできる.そう思いながら今日までやってきた.

GISにも資格認定制度ができて,GISを駆使できる地理屋の社会的存在価値を高めようとする学会の動きがある.それ自体はたいへん結構なことだ.

大学教育でも資格の取れるカリキュラムを整備しはじめてるところもあるが,そういうところで標準ソフトの使い方を覚えて資格を出すっていうやりかたはどうなのか,と思ってしまうことも多い.EXCEL検定とかWord検定なんてのとどこが違うの?下手をすると大手ソフトハウスの商売の片棒をかついでいるにすぎないことにもなりかねない.それに,今やPCの能力向上と低価格化によって,かつてのような専用システムの価値は薄れてきたし,個人ベースでGIS風の処理をする機会もちまたには増えてきたのではないかと思う.標準ソフトもうかうかしているとより低価格で使いやすいソフトにやられてしまう日が来るとも限らない状況だ.そうなればなったで,あのばか高いソフトが価格競争に勝ち抜けるように安くなってくれることも期待できるわけではあるけれど...

ということで,BEDMAPのデータを最新のMacで処理できる環境を整えるために,オープンソースのGISソフトを試す一日.GRASSというやつ.まったく慣れていないので,3D画像を作り出すまでに丸一日かかってしまった.

越冬中に出版された「南極大図鑑」なんかを見ていると,とにかくイラストがきれいだな,って思う.しかも,ちゃんとしたデータに基づいて作成されているものが多い.プロに頼んで作図してもらっているんだろうけれど,彼らはどうやってこういう図を描いているんだろう?プロをライバルにするつもりはないけれど,できれば自分でもこういう図を描いてみたいと思ったりする.ちなみに,この図鑑には私も写真で登場している.本吉さんが提供した写真だ.なんと写真提供者にはJARE34のダンディカメラ小僧の小池さん(気象庁)や我らがJARE47渡井さんも入っている.きっと編集中に昭和基地から最新の写真を提供したんだろうな.巻末には写真・図版の出典・提供者が一覧になっている.だれがどんな写真を撮っているかを見るだけでも楽しめる.ちょっとマニアックな楽しみ方だけど....


準備開始

一家そろって昨日の疲れから脱力気味.久しぶりにパソコンから離れてのんびりしようと思ったけれど,性分がなかなか許さない.

来月に控えた南極大学講座の集中講義の構想を練るも,窓の外に広がる真っ青な空につられて気もそぞろ.子供をつれて北大構内を散歩しながら考える事にした.

中央ローンの芝の上で寝転んだり歓談したりしている人たち,博物館横でジンパを楽しむ人たち,構内を散策する人たちなど,意外に人が多い.一回りしたらすっかり日に焼けてしまった.こう緑に囲まれてのんびりしていると,極寒の南極のことや地球温暖化のことが頭から離れていってしまう.

ということで,たいした進展もなく本格的な準備は明日以降にもちこし.


遠出

image多数の来客でてんてこまいのかみさんを助けるため,下の子を外に連れ出す.背中にしょって山に登ろうかとも思ったけれど,思いのほか出発が遅れてしまったので車で行ける範囲にする.

初夏のさわやかな風に吹かれながら支笏湖の湖畔で水遊び.子供は生まれて始めて見る自然の湖面におおはしゃぎ.私のほうも久しぶりに街を離れて気分的にはおおはしゃぎ.考えてみれば帰国以来初めての遠出かも.


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