南極 一覧

ついに

ついにShaw先生も南極進出!!Geomorphologyの最新号に下記の論文が出たので,タイトルを見た時には一瞬そう思った.共著のYoung氏はこの写真を撮ってくれた研究者である.

Shaw, J. Pugin, A., Young, R.R. (2008) A meltwater origin for Antarctic shelf bedforms with special attention to megalineations, Geomorphology, 102, 3-4, 364-375.

でも,実際には著者達は南極に行っているわけではなく,この論文は,西南極のアイスストリーム研究の第一人者のAnderson博士らの研究成果を,氷底水流説で再解釈したもの.じつは,今私が書きかけの論文で,昭和基地での三浦プロジェクトの成果をもとに,同じような解釈をこころみていたところなのだが,先にやられてしまった.でも,やってくれたのがShaw先生だからまったく悔しくはない.とはいえ,私のほうも早々にまとめなければならないハズで,さっぱり進展しないのがつらいところ.

もう一つの切り口は,ウプサラのErlingsson教授が提唱する「Captured Ice Shelf仮説」を再評価することかなぁ...と思ったりもする.すでに基礎的なところは

Sawagaki, T. and Hirakawa, K. (2002): Hydrostatic investigations on subglacial meltwater: implications for the formation of streamlined bedfroms and subglacial lakes, East Antarctica. Polar Geoscience, 15, 123-147.

に書いているので,そこんところを最近の成果も含めて発展させればいい.

実は,先日の先進プロジェクトの研究集会で,「コールドベースの氷床とウェットベースの氷床の形状」と「寒冷期ー温暖期」との対応について問題になったのだけれど,氷床底湖の存在を考慮すれば,「Captured Ice Shelf仮説」は無視できなくなってくるんではないかと感じた.

実際,前にも紹介したように,Alley博士も氷底水流と気候変動との関係に注目した論文を発表しており,その論文についてErlingsson教授が最近になって肯定的なコメントを寄せていたりする.

Erlingsson, U. (2007) Comment on Alley et al. (2006): “Outburst flooding and the initiation of ice-stream surges in response to climatic cooling: A hypothesis”, Geomorphology 75, 76–89. Geomorphology, 86, 1-2, 214-216.

集会の時には,北見の亀田さんが「雪氷学的な見地から氷床の形状と拡大縮小のタイミングてきなことに関して検討しようと思っていた」とコメントしていたのだけれど,このへんの経緯もフォローしてくれるとありがたかったりする.集会の時に機会が与えられていれば,私もレビューを話すこともできたかもしれないと思ってみたり...

こういう考え方は,どうも北欧系の人たちが好んでいるような気配も感じられるようになってきた.昨年のJAREもスウェーデンとの共同トラバース旅行だったし,わりと受ける切り口かも知れない.


秋晴れ

image秋晴れ.銀杏並木の紅葉見物の人がいっぱいの北大構内を息子と散歩.

「南極写真展『剥き出しの地球ー南極大陸』」を見てきた.迫力のある写真ばかり.さすがプロの仕事.

いってみたいなぁ...

夕刻,それなりの頻度で会ってはいるものの,札幌では久しぶりの友人に会う.最近とんとなかった喜ばしいニュースを聞く.


研究集会の二日目

先進プロジェクト研究集会の二日目.今日もまたびっちり話を聞く.頭の中はかなり満杯.帰ってからの復習がたいへんだ.

たぶんこれで板橋に来るのは最後になるだろう.

札幌に戻って,冷んやりした空気に迎えられる.家族はみんな風邪気味.


先進プロジェクト研究集会

極研で,先進プロジェクト研究集会「古気候データとモデリングによる地球システム研究のフロンティア」の一日目.朝から夕方までびっちり分析屋さんとモデル屋さんの話を聞く.キーワードは「氷期のターミネーション」と「氷床変動」


本が出た

手稲山に初雪.曇っていて街からは見えず.

image構想から一年以上かけて共著で書きすすめてきた本の印刷があがって届いた.題して「なぞの宝庫・南極大陸 100万年前の地球を読む」.

一般書に本格的に取り組むのは今回が初めてなので,本を作るということについていろいろと勉強になった.また矢沢オフィスの方々や極地研の方々にも大変お世話になった.この場を借りて感謝申し上げる.
四人の共著で,話題がかぶってしまっているところも少なくないのがちょっと気になるところだけれど,分野の違う研究者のそれぞれの視点で書いているので,著者ごとの書き方を比べてみていただくのも一興かと思う.

3軒建てないと満足いく家は得られない,というけれど,満足行く本を仕上げるにはまだまだ経験を積まなければならないだろうな,と思う.でも,こうして研究者の立場で本を世に出してしまったからには,それなりの責任もついて来るのも必定.売れ行き以上に評判・批判が気がかり.論文のほうがよっぽど気が楽だったりして...


極限のフィールドワーク

image午後に帰札.このポスターの催しからおよびがかかっていたりするので,来週と来月初旬にも極地研通いが続くのだけど...

一方,京都では「パイオニアワークとしての登山・探検・フィールドサイエンス」という面白そうな講演会があるらしい.

出張中にたまった雑用を片付けるために研究室に寄ったものの,脱力気味で注意力は散漫.ケアレスミスを連発.

今夜はカムチャツカの番組をやっているせいか,このサイトへのアクセスがいつもよりずいぶん増えたみたい.


さよなら板橋

極域地学シンポ二日目.朝二番目の発表があるというのに,昨夜の呑みのせいで喉の調子がへん.

来春の立川移転が決まっているので,板橋での地学シンポはこれが最後.シンポ後に仲宿界隈の庶民的雰囲気の中で飲み歩くのも今夜が最後.なじみの店に来ることももうなくなるのか...と思うと,最後の呑みに気合いが入る.


シンポ一日目

極域地学シンポジウムの一日目.

終了後の飲み会を楽しみに,専門的にはちょっと心配なセッションの座長を乗り切る.なんとなく世代交代が進んできたかな,と十年前に書いたエントリーのことを思い出した一日.

結局,これまでの経緯はこの通りになってきたということかな...


本当?

東京で開催されている学会には今回は参加できず.なんとか効果とか雪氷圏の温暖化とか面白い話題がたくさんあるのに,行けないのが残念.

最近

昭和基地は最近の平均気温が2度上昇し、解けた氷は館林、太田市、邑楽郡の面積に匹敵する

と観測隊が報告している毎日新聞の記事を読んだのだけれど,今までの私の認識や文献やデータの解釈とは違うので,気になって仕方がない.観測隊が公の場で気温上昇を伝えているのは,私が知る限りこれがはじめてのような気がする.元データは何なのだろう?

これに関係して,公開講演会の「南極氷は地球温暖化で融けだしている?」で本山さんがどんな話をするのか,とても興味がある.話の内容を報告してくれる参加者がいればありがたい.


札幌でそり作り

北海道のローカル番組,HTBのイチオシでセルロン隊が南極で使うソリが札幌で作成されている様子を取材した「職人の技・南極のソリ製作に密着」というのをやっていた.ネタ提供はもちろんMikioジャーナルの阿部さん.発注者ご本人の取材である.

南極の氷の上で使うソリにはいろいろあるけれど,雪上車で何トンもの資材を運んだりカブースにしたりするソリとは違って,セルロン地質隊のようにスノモで引っ張るソリは小ぶりである.これまで,南極探検の犬ぞり時代から定評のあるナンセンソリを使ってきたのだけれど,岩石試料の重さなどに耐えきれず,前回のJARE49では破損があいついだとか.その欠点を克服すべく,現代風の材料と技術で新たに開発を依頼した,というのがニュースの趣旨.その発注先が札幌にある個人経営のソリメーカー.

氷床上ではないけれど,我々も海氷の上でよく小型そりを使った.海氷の研究者から依頼されていた海氷厚測定レーダー観測用のソリなどがその代表的なもの.

当初はFRPでできた小型船に乗せて使っていたのだけれど,一回の走査であっさり大破してしまった.裸氷のデコボコに耐えきれなかったのが原因.その後,昭和基地にあったスノモ用ソリを改良して一冬問題なく使い続けた

イチオシで紹介されていた特注ソリもこの形に近いやつ.作成者の方は「初めてのことで,実際に使ったあとのフィードバックとそれに基づく改良があるといいのに」とおっしゃっていた.まさに職人の言葉だし,今の南極観測に欠けていることのような気もする.50年もやってる南極観測なんだからこれぐらいのノウハウは蓄積されているんじゃないの,と思われがちだけれど,実際のところはそうじゃないんだよねぇ...トライ・アンド・エラーの試行錯誤を続ける研究観測部門は別として,ちょっとした野営技術とか設営技術に関してはやりっ放しのことが結構多い.越冬中のBlogエントリーでもさんざんぼやいてきたことでもある.そういう体質に風穴を開けようとしている阿部さんの姿勢には学ぶべきところが多い.フォールドマネージャーとして,観測とは一歩引いたところで,しかも連続して南極に行くことができるがゆえの試みだったりもするんだろうな,と思う.

たぶんそのうちMikioジャーナルで動画配信されると思うので,見逃した人は要チェック.


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