南極 一覧

底面氷ースカルブスネス編1

image底面氷のもう一つの採取場所に向けて出発.場所はスカルブスネスの南側.

海氷が不安定になり始めているのがよくわかる.海氷の割れ目から海水が上の積雪に浸みだしてシャーベットアイスになっていたり,これまで凍結していた割れ目が開いていたり.なによりも,海氷面が日光を反射してキラキラ輝いているのが,まるで海面が波立っているように見えて,なんとも気持ち悪い.

採取場所までのルート工作と偵察をすませて,久しぶりにきざはし浜小屋に宿泊.


底面氷ー向い岩編

image頼まれ仕事で,底面氷を採取しに向い岩へ.

底面氷(Basal Ice)ってのは,氷河や氷床の最も底にある氷のことで,P.G. Knight氏などがその専門家として知られている.彼の説なんかに代表される最近の研究によれば,底面氷は氷床の上に積もった雪が次第に押し固められて氷になったモノではなく,底面圧力融解や融解水の浸透などによって再凍結したものであるという(写真など).

南極の氷には空気が閉じこめられていて,グラスの水やウィスキーに入れるとピチピチはじける,なんていうことで喜ばれるけれども,底面氷にはそういう気泡はあまり含まれていない.さらに底面氷は,基盤岩からはぎ取った岩石や氷床底面にあった堆積物を取り込んだりしている.これらの性質が合わさって,底面氷は遠目にみると暗い色をしている.

この氷を調べることで,氷床内部の融解の履歴や水の移動過程,さらには,底面での浸食作用なんかについて情報を得ることが期待できるのである.

この氷について研究している仲間からサンプルを取ってきて欲しいと頼まれていたので,向い岩へと採取に出かけた.

底面というくらいだから,底面氷はそう簡単には採取できない.氷床が海に落ち込んでいるところの崖などに丁度底の部分が露出している場所があって,そんな場所をねらってサンプリングする.オングル海峡をはさんで昭和基地のあるオングル島の対岸にある向い岩には,そんな崖があって底面氷らしきものを望むことができる.サンプリングポイントとして目をつけていた場所の一つだ.

午後から観測部会があるので,それに間に合うように作業をしようということで早朝に出かけていったものの,現場で氷を見てみると,どうも底面氷ではなさそうな気配.確かに汚れ層はあるんだけれど,風で飛ばされてきた砂が積もって,それがさらに雪で覆われたようにしか見えない.良いサンプルにはならないだろうということで,結局なにもせずに引き返す.

われらがボス三浦先生が底面氷について講義しているページを発見してしまった.


逃避モード

午前中,臨時のオペ会.

午後,ラングホブデに研修に出かける予定だったが,曇り空で風もあるということでとりやめ.

これから夏に向けての怒濤の日々を思いつつ,逃避モードで一日を過ごす.


おしっこ

白瀬中尉の故郷秋田で開催されていた雪氷学会の一般向け企画で昭和基地とのテレビ会議があって,早朝はそれに出演.隊員で基地にいる学会員は私と隊長だけ,ということで引っ張り出されるハメになった.

移動カメラで管理棟の主要内部をざっと案内したのち,会場からの質問に応える.出てくる質問はどれもそれなりに難しい内容で,一般向けとはいえ,その道の専門家もいるはずの学会会場を相手にしているだけに,下手な受け答えができず,けっこう緊張する.おまけに,頼みのスライド表示用PCが不調で,絵で説明できる質問にも言葉だけで説明しなければならなくなって,あせりまくり.たぶん,これまで出演したテレビ会議の中で最低のできだったかもしれない.

極めつけは,小さなお子さんから出た「おしっこ」の質問.「外でしたら,こおっちゃうんですか?」

たぶん小学校にも上がる前のお子さんだろう.わかりやすいようにペール缶トイレの話や熱湯爆発の映像も見せてあげたかったけれど,PCの不調でそれもならず,ついつい難しい説明に終始してしまった.ごめんねコウタ君.

ちなみに,白瀬矗中尉は真宗のお寺の息子で幼名を知教という.私も同じく真宗の寺に生まれ,名前に「教」の字をいただいており,しかも中尉の改名後の「ノブ」も私の名前の一部である.どちらも南極に入れ込んでいるというのも,そしてこうして秋田と交流できたというのも,なにかの因縁かもしれない.


平日

早朝,明日のテレビ会議の接続試験.お昼過ぎに海氷GPSのデータ回収.引継ぎ資料を作成したり.

なんということもない平凡な一日.


季節の変わり目

日中プラス2度くらいまで気温が上昇.このところ,朝晩に10m/s以上のカタバが吹いて日中にピタッとやむ,というサイクルが続いている.カタバは真東の大陸からそのまま地を這うように吹いてくるのですぐわかる.昼夜の寒暖差が大きく,また,冷えた大陸と温まった海域との気温のコントラストが大きくなっているせいだろう.

熱赤外放射温度をみているNOAAの4ch画像でも,海氷が黒く映っていて,海水なみに温まっているのがよくわかる.今後の海氷上行動にはますます注意が必要.

L/Sバンド衛星受信アンテナがまたぐずりはじめた.たぶん気温差の影響.やっぱりこの季節は,ACUのパラメータをこまめに再設定してしのぐしかないか…


VLBI2回目

昨夜から引き続き今月2回目のVLBI観測.今回は無難に終了.

超伝導重力計の記録に大きな振動がでたらしい.千島の地震をとらえたか?


氷床底湖

今日も快晴.除雪作業が活発.夕食後から今月2回目のVLBI観測に突入.

asahi.comに「南極2千メートルの氷の下、多数の湖が存在」という記事.たぶん出典は,Siegert et al. (2005) A revised inventory of Antarctic subglacial lakes. Antarctic Science, 17 (3), 453-460. だと思う.すでにAGUで発表されていて,昨年の日付で出版されている論文だ.なんで今頃ニュースになるんだろう?ただ注目すべきは下記の記述.

米英ロの研究者による解析で、多数の氷床下湖の存在がわかり、その中にドームふじ基地から約60キロの地点もあった。48次隊はほか数地点とともにレーダーで観測する。

寡聞にして,48次でドームF付近のレーダー探査をやるというのは知らなかった.もう一度SALE Workshop OutputsのOverviewのpptファイルをみたら,ドームF付近に「New Survey Site」って○がしてあった.これのことか?

ドームFのコアの年代がそれほど古くなかったとこといい,氷床底湖のことといい,執筆中の原稿で修正しなきゃいけない箇所が増えた.それも前向きな修正.

私の仮説に追い風が吹いてきたかな?48次隊のレーダー探査,期待してますよ.

【関連ページ】

  • “Subglacial Antarctic Lake Environments (SALE) “
  • Subglacial Antarctic Lake Inventory@ SALE web site.ここに氷床底湖の分布図が載っている.
  • このBlogの「南極域の配管システム」(2006/4/20)
  • 学位論文の第4章およびSawagaki and Hirakawa (2002) Polar Geoscience, 15.


  • 本部総会

    朝から今月2回目のVLBI観測の準備.

    しらせ出航前恒例の本部総会の日.いろんなことが表に発表された.

    100万年前まで遡ると期待されていたドームFのコアが72万年前までのものだったとか,49次の観測隊長が発表されたり,今度の夏に3名の客人が昭和基地にやってくることだったり.

    ここでは書けないことがまだまだいろいろあるけれど,今後の展開をお楽しみに.

    明日はいよいよしらせが出航する.


    Web徘徊

    休日日課だが,朝から重機がフル稼働.夏オペに備えて装輪車が走行できるように,地面を出す除雪作業が本格的に始まっている.

    次のVLBIの準備と並行して論文と昭和基地Nowの原稿書き.そのための調べ物をしながらインターネットを徘徊していたら,知人のBlog経由でいくつかの興味ある情報にたどり着いた.

  • 北極圏犬橇遠征・環境調査プロジェクト AVANGNAQ アバンナット…「やまちゃん」こと,JARE46-FAの山崎さんのwebサイトがオープン.10年ごしの計画で,グリーンランドからアラスカまで,科学観測をしながら犬ぞり旅行を続けるプロジェクト.応援してます.
  • 冥王星に続き、地質年代も“定義”変わる?(読売新聞)…ここでも前に何度か書いたこと.まだやってたの,ってかんじ.
  • みなさんと一緒バージョン」(YouTube)…ついにここにも出てしまったか…
  • 英国科学実験講座.」(サイエンスチャンネル)..ここに「(7)南極・氷の世界からのメッセージ」シリーズ4回分がある.昭和基地発信の「南極教室」でも使えそうなネタ満載.


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