日々の雑感 一覧

懐疑論

G-COEに関する初の全体会議.これで外野的立場をとることはできなくなった.

作成したDVDの原盤動画をGoogle VideoなるものにUpしていて,「The Global Warming Swindle」という英国のTV番組を偶然発見.放映されたのは,南極からの帰路のしらせにいた頃にあたる.

東北大学の明日香教授らによる「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」と併せて見るとなかなか面白い.また,実際に番組の取材を受けてインタビュー画像を使われてしまっている科学者からの反論や抗議声明もあるみたい(こことかこことか).

断っておくけど,私は懐疑論者ではない.この社会現象と科学論争のあり方について興味を身っている立場.


科学者からのメッセージ

日本学術会議と北大が主催する「地球温暖化〜科学者からのメッセージ」(PDF)を聞いてきた.学術会議から直接連絡を受けたとおぼしき,地球科学関連の北大名誉教授が何人も聴衆中にいらっしゃった.一般聴衆も大勢で,学内の私が一席を陣取るのが気が引けてしまうほど.

後半のパネルディスカッションは,司会の竹内氏が報道畑であるせいか,Politicな議論に傾きかけた.あれあれ,と思っていたところ,Susan Solomon氏の「研究者としてそこまで立ち入ると研究者自身の価値をおとしめることになる」という発言に司会者が敏感に反応して「科学者からのメッセージ」に主題を戻そうとしていたところはさすがだと思った.

私としても,そこのところが一番聞きたかったわけで,私みたいな場末の研究・教育者のはしくれが指針とできるような何かをそれぞれの発言からくみ取ろうとしたのだけれど,科学者として学術会議やIPCCに深く関わってこられた方々が,どのようなスタンスとポリシーで温暖化問題に向き合っておられるのかがなんとなく見えたような気がする.政策にからむところはやっぱり東大の独壇場という気もしたけど...


ご招待?

北大サミット・シンポジウム「地球温暖化にともなう劇変」の前半部だけ聞いてきた.わざわざゼミをずらして空けたのに,うちの院生の姿はあまり見あたらず.

ネオ・ゲキのわりには,まともな内容.80年代から90年代にかけての海水準観測方法の転換期のギャップについては,昭和基地で潮位観測も担当していた私としても前から気になっていたいたところで,この道の権威であるChurch博士の発表をきいて,さらに大村先生のコメントも聞いて,かなり納得.

なんと,旭硝子財団の広報支援会社から「ブログで紹介ありがとうございます.11月にブループラネット賞授賞式などの行事が開催されますので,是非出席下さい」というメールが来た.行ってみたいところだが,貧しい研究環境では先立つものもなく,無理っぽい.残念.


今週から

今週から始まる地球環境研がらみのサステナウィーク行事のため,日程をずらしてコースゼミ.

共著者からコメントが戻ってきた.投稿までまだ少しかかりそう.


教授の引き出し

今日のお昼に,一昨日のエントリーを読んだ教授が,日本のPT論争が具現化したものともいえる1970年代当時の岩波の「科学」や,関連する出版物を持ってきて見せてくれた.教授の引き出しの大きさとその引き出しやすさには感心するばかり.直系関係にもある貝塚先生の思い出話しにもなったり.

東北の地震で発生した地滑りの航空写真が,官・民双方から多数公表されている.kmokudaiさんのところに公開サイトへのリンクがまとまっているのはありがたい.

内容的には願ってもないドンピシャなんだけど,立場的に微妙な公募人事が出ている.公募条件に年齢制限はないけれど,私の年ではきっと選考委員会の内部議論で弾かれてしまうに違いないだろう.けど,期限付きになってもいいから,そこに飛び込んで情熱をかけてみたいんだよねぇ...と多方面に向かってカミングアウトしてみる...たぶん,永遠の片思いに終わりそう...


ダメオヤジ

どうしても手元に置いておきたいという衝動に駆られて,本屋に走って「PTの拒絶と受容」を買ってきた.すみずみまで立ち読みした土曜日には何冊か積んであったのに今日は最後の一冊になっていた.田舎のおじいちゃんが孫たちにと送ってきた図書カードをがめてきたので,父親としては後ろめたさが残った.

じっくりと読んでみて,やっぱり手元に置いておくべき本であることを確信した.これを理解できるような分別のある息子に育てることで許してもらおう.

竹内均編集長のバイアスかかりまくりのNewton小僧で過ごした私の中高生時代は,まさにこの「拒絶と受容」の中盤期に当たっている.今巷でちょっと話題の原子工学科に見切りをつけて地質学科に転部したのは,本書の終盤期.当時の講義ノートを開いてみると,PTに関する内容はほとんどない.学科が違う地物の講義もとっていたのでそちらはどうだったかと探してみたけれど,ノートは発見できず,残念.でも付加体の話は当時の最新情報として学部の講義やゼミにも出てきていたことは確認できた.

地団研とはとんと無縁に過ごしてきたけれど,湊正雄先生(当時すでに他界)や橋本誠二先生(当時すでに退官)は目指すべき偉大な地質学者だと思っていたし,退官間近かの勝井先生の講義はすれすれ受けることはできた.日本の地質・北海道地方の編集バイトに雇われて,在田先生の部屋で98のワープロタイピストをやったのもその頃だ.原稿を打ち込みながら,なんとなく勉強させてもらったりもした.まあ,不真面目な一学部生には知るよしもないPT論争が当時はあったんだなぁ,と本書を読みながら思った.ただ,Newton小僧として,PTが講義の前面に出てこなかったことを多少不満に思っていたという記憶があるにはある.

その後は,成り行き上,貝塚爽平先生の傍系の傍系みたいな雰囲気の中で研究生活を送ってきている訳だけれど,研究成果は個人に帰せられるもの,という哲学は,その流れの中で自然と身についたのかもしれない.

本書のように二元論的に割り切れれば歴史考証は不要だ.その意味でひとつの視点とたたき台が提出されたといったところだろう.そんなに遠くない過去のことでもあるので,人生をPT論争に重ねてきたいろんな人たちと,これを肴に話をしてみたくなった.それが本書を読んでの最大の感想.


皆さんご活躍

G8洞爺湖サミット・オルタナティブ特集に,JARE47で一緒だった環境省の枡さんの記事があった.室蘭では,学会活動でも一緒の中村氏が活躍された様子.

私は頭痛がおさまらず,苦悩の一日.


立ち読み

良く晴れているが風が冷たい.寒暖の差が激しいせいか,ひどい頭痛.気晴らしに子供と散歩していたらサイエンスカフェでお世話になった三上先生に出会った.そうか,今日はCoSTEPの講義の日か.

頭痛を抱えながら散髪に行って,帰りに本屋に立ち寄る.Cold Fusionのこととか科学哲学のこととか,気になるジャンルの前で立ち読み.「プレートテクトニクスの拒絶と受容—戦後日本の地球科学史 (泊 次郎 著,東大出版会)」というのも見つけて読みふけってしまった.

最新の学説を紹介する東大の気風が失われた...

というような記述や地団研批判なども興味深いし,詳細なレビューをもとに歴史的検討がなされているだけに,必読書であることは間違いないのだけれど,床屋帰りの財布と相談してみて,立ち読みで申し訳ないと思いつつ,買わずに帰宅.そのうち入手するつもり.


Pseudo-Creationistの戯言

「北大の研究者がCold Fusionを確認した」と道新が報じた件について,研究成果とそれを報道する道新の姿勢の両面について,あちこちで話題になっている.

Pathological ScienceとかPseudoscienceなどと呼ばれ,忌避されがちな分野の話なのであるが,かくいう私も,分野は違うけれども,いわゆる非主流の立場にいるので,世間や学界の通説に与するような単純な批判を展開することには躊躇してしまうところもある.私は,画期的な本物の成果と誤認や病的との境界はかなり微妙なところにある,と思っているので,核物理学に精通しているわけでも何でもないんだけれども,今回の研究自体については頭ごなしに否定的にとらえたくはない.

我々地質学の分野にも,隕石で恐竜が絶滅したという説やChanneled Scablandの洪水説など,大論争が展開された例は多い.氷河期という概念だって,ちゃんと認知されるようになったのは広大な氷原を目の当たりにした極域探検家が,その体験談を文明圏に持ち帰ってからのことだ.それ以前は,大陸の大半を覆ってしまうような氷床が拡大していたなどと想像していた人はだれもいなかったのである(こちらこちらで紹介している本も参照のこと).

これらの諸学説は「激変説」と呼ばれ,「漸進説」と対立し続けてきた歴史がある.その流れの中で激変説派はずっと劣勢であり続けてきたことはいうまでもない(詳しくは本サイトの【Scabland】の項を参照).私の主張する氷底水流説も,当初は「激変説」の一派とみられてかなり迫害された.ここ数年,実際に南極氷床下に湖がみつかったり,流路を形成している兆候が確認されたりして復権を果たしつつある.もちろん,まだまだ根拠を積み重ねて確実なものにしていく必要があるとも思っている.

ということで,激変説には寛容ではある私だけれど,昨今巷でもてはやされつつある《別の》「ゲキ変説」には,どうしてもなじめない.いわゆる「環境劇変」といわれているもののことである.

私から見れば彼らは「激」を「劇」に巧妙にすりかえているだけの「ネオ・激変説派」とでもいうべき新興派閥で,地質学の歴史の流れのなかで,これまでどれだけ「激変説」が疎まれてきたかも知らずに,無邪気に「ゲキ変!ゲキ変!」と騒いでいるようにしか思えてならない.そういえば一時期,「起学」を「Creation」とすら訳そうという案もあったくらいなんだよねぇ...「Creation」と「Catastrophe」が組み合わさったら,そりゃ最強のアレで,科学と対極をなす別物になってしまうんですぞ.

近年の環境変動といっても,結局は地球の長い時間軸の上の短期間の事象の問題であり,地質学的論法や原理の上で議論できる課題であることは変わりないはずである.Cold Fusionを単純に批判したり,最初から受け付けるのを拒否したりする態度をとるのであれば,環境劇変をとなえる「ネオ・激変説派」もまた同様に批判の対象とすべきであろうと思う.しかも「ネオ激変説」は,マスコミも一緒になってほぼ無批判にしかもファッショ的にキャンペーンを展開しているので,今回の道新報道なんて比較にもならないくらい大きな問題のはずなのだから.

パラダイムという概念が通用する「物理学」の世界と,【明確なパラダイム構造を持たない】とも言われている「地質学」の世界とを同列に論じることにも批判はあるだろうけれど,大勢から一方的に病的とレッテルを貼られている分野の研究者の気持ちが痛いほど分かるつもりだけに,今回の報道に対する各方面の反応は,興味津々と同時にザワザワとした心の感触を抱かせるものでもある.

ということで久しぶりにPseudo-Creationistの顔をのぞかせた氷河地質学者の戯れ言でした.


対抗意識?

理学部生物学科のWebサイトが,CoSTEP修了生が主催する業者の手でカッコ良くリニューアルしたらしい.

ほんとに大学のサイトらしからぬ楽しいサイトに仕上がっている.あちこちのサイト構築・運営を請け負っている身としては,たいへん参考になる.一方で対抗意識が芽生えたりして...

こういう,きれいだけれどかっちりしたサイトは,主体者とサイトとの間にクリエーターの処理がワンステップ入るから,最新情報の更新がたいへんだろうな,と思う.

私の経験からいえば,情報を発信したいと思う個々人が,サイトにすんなり情報を掲載できるような,自律的運用が可能なサイトのほうがよかったりするんだけれど,ボランティアベースで管理している者の「楽したい」意識なのかもしれない.受注した業者にとっては,メンテナンス収入もビジネスモデルの重要な要素だからねぇ.


1 98 99 100 101 102 103 104 174