Best Friend

image朝一で小屋を後にして,ラングホブデ名物「ハムナ氷瀑」へ偵察に出かける.ちょっと近づいてみたり,脇の高台に登ったりして記念撮影大会.夕刻,基地に帰着.

もうすぐ中継拠点旅行隊が出発する.越冬開始以来ずっとお昼休みに上映していた「ちゅらさん」も見られなくなると言うので,今夜は残りの1週間分を最終回まで一挙上映.Kiroroが歌う主題歌はJARE47のテーマソングのようなものだったが,ちゅらさんのオープニングでこの曲を聞くのもこれが最後.「越冬もこれで終わりか...」なんて気分になってしまった.

実際のところ,越冬後半戦は,これまでの前半とは趣がガラっと変わるはず.忙しさが増すとともに,野外活動も増え,ラングホブデ・スカルブスネス・スカーレンなどの沿岸旅行が日常となる.基地を離れるのが当たり前の生活になって全員がそろうことも希になるけれど,最後までずっと「Best Friend」でいたいと思う.

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ラングルート

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朝一でラングホブデに向けて出発.33番までできているルートを延ばして,工作しながら今日中に雪鳥沢小屋まで.

気温が高く,外作業もつらくない.ソリの脇で昼食をとりながら進む.

途中でアザラシをみかけたりしながら,作業は順調に進んで日没前に小屋に到着.私は夏オペでは来ていないので,今次で初めての訪問となる.

写真は,まるでアザラシ狩りのような二人が映っているが,実際にはクラックや氷厚の様子を見に行くところ.アザラシがいると,その近くにはクラックが開いていることが多いのである.

発電機も暖房も順調に稼働し,快適な小屋の中で,愉快な仲間たちと団らんの一夜を過ごす.13年ぶりに訪れた小屋はほとんど変わっていなかった.35次の新聞が残っていて,当時私が帰国後に婚約したことを報じる記事が張り出してあったりして懐かしさを覚える.


平日

めずらしく,昭和基地Wikiの今日の予定欄に何も表示されていない一日.小ブリぎみで外作業もあまりなし.

観測ソリ内の設備の修理・点検や旅行準備など.

天候が回復すれば,明日から南方ルート工作に宿泊で出かける予定.


一休み

朝から風が強く,ほとんどの外作業は中止.しばらく動きっぱなしだったので,ブリにならないだろうか,と密かに期待していた人も多いハズ.

基地内で,南方ルート工作に宿泊で出かけるための準備など.

数日前にコーナーリフレクタのチェックに出かけて,だいぶ昔の観測隊員の名前が刻まれた銅板を拾った.この隊員は南極から帰って数年後に若くして亡くなったようで,その碑銘としてどこかに埋め込まれていた物が脱落したらしい.隊長預かりにしてもらうことにする.


水中ロボット

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試験第2ステージ.待ちに待った水中ロボット(ROV)「CANOPS1号」が南極デビューする日.

ROVを潜航させてすぐに,目標にする光源のフラッシャーが点灯しない,と言われて操縦役の私は思わず一瞬焦った.けれども,トランスポンダの位置情報に助けられて,すんなりと200m先の直径60cmの孔にROVを浮上させることができた.潜航しながらROV搭載のカメラ画像を見ていて,海氷の下が思いの外明るいのかったのが印象的.

これで海底物探用のワイヤー通しは大丈夫.ワイヤーを水平に回すウィンチも順調に動いて,今日の目的はほぼ達成.

下の写真は,観測ソリ内に設置したROV操作用機材.精密な電子機器が多いので,ソリの中を温めてから使用する.モニターに表示されているのは,ROVの「目」となる搭載カメラから,氷上の様子を見ていることろ.

割に合わない」と書いたからかどうか分からないが,南極展への協力のお礼として,南極展の図録やなんかをいただけることになった.家族とも話をさせてもらったし,十分見返りはいただいたと思う.


準備

休日日課.

明日からの試験第2ステージに向けて,装備のそり積み込みやウインチの立ち上げなどを行う.

昭和基地Wikiをちょっといじくって,表示速度を大幅に向上させることに成功.他のマシンへの移行にちょっと難のあるやり方だけど,まぁいいっか…


復活



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修理を完了した海氷掘削ソリの再始動.ハンドルに手をかけなくても,自重で掘り進んでいくようになった.持ってきた直後よりもよく動くようになったんじゃないかと思えるほどである.掘削が快調に進み,皆の顔も明るい.

考えてみれば,しらせに積み込んではるばる運んできて,その後も極夜開けまでほったらかしにしておいて,いきなり使ったのだから,不具合が出てもおかしくはなかった.しかし,今回はいろんなトラブルを経験して仕切り直したことや,機材を自分たちで分解・組み立てしてみたことなどによって,極限状態で初めての試みを実行する上での現場のノウハウを得ることができたのは大きな収穫だった.こういうことはなかなかマニュアルでは伝えられない.南極観測には,気づかないところにも似たようなことがたくさんあるに違いない.


修理完了

早朝,ライブステージの合間に,テレビ会談の設備を使わせてもらって,南極展に来ていた家族と対面させてもらう.生の動きのある次男を見るのは初めて.

孔を開けてから数日たつので,開いた状態を維持するために凍り始めた部分を砕きに出かける.夕刻,海氷掘削装置の修理を完了.

地震計室の温度管理.


解体

image固まった掘削装置の解体を試みる.これまた一筋縄ではいかない作業.なだめたりすかしたりしているうちになんとか解体できた.故障の原因らしき部分もつきとめて,不具合の出た部品の修理にかかる.

解体作業の合間に,地震計室の温度調整のため,ヒーターをつけたり扉を開いたりする.何度か通って,温度の推移を記録.

Wikiの記事が多くなってきて動作が遅くなっている.サーバーの不要なプロセスを殺したり,サーバープログラムをバージョンアップしたりしてCPUの負荷を下げてみる.Cacheの設定も有効らしいが,動作速度にムラが出て一定しない.それでも,30-40%の速度回復を実現できた.


無事回収

朝一で,昨日放置してきた海氷掘削装置の回収に出かける.

やっぱり装置はかたまったまま動かない.ドリルが水面まで海氷に刺さったままので持ち帰ることも出来ない.そこで,一番やりたくないことを思い切って実行することにした.

海氷掘削で一番恐れていることは,ドリルを海に落としてしまうこと.動かなくなった装置を使わずにドリルを回収するには,ロッドの上端をソリの下まで下ろして,装置から抜き取らなければならない.このときに何かでしっかりロッドをつかんでいないとドリルを海底に沈めてしまうことになるのである.

まずロッドが装置に固定されている状態のうちに,足場用の直交パイプクランプの片方でロッドをつかむ.そこにロープをかけてソリの上に乗っている装置の骨組みからつり下げるようにして確保しておく.さらにソリの下からもロープを潜り込ませて二つめの確保をとっておく.

ここでようやく装置の下へロッドを抜き取り,ロッドが抜けたところでソリを移動させる.ソリの移動に伴って,張り具合を調整しながら確保用のロープを繰り出す.ソリが移動したら,これでロッドが海氷から空に突き出した状態になる.

装置の骨組みからつり下げていたほうのロープを緩め,下側のロープにロッド確保を移行させておいて,ソリから一旦切り離し,すかさず移動させたソリの一部にロープの末端を固定し再び確保できる状態にする.下側のロープ一本だけで確保されているこの瞬間が一番危険.

最後は,ロッドと十字になるように,パイプを直交クランプのもう一方に差し込み,パイプの両端を人力で持ち上げてドリルを回収.

なんとも複雑な手順だが,絶対に落とさない,ということを合い言葉に,慎重に作業して無事終了.体力よりも精神的に疲れた.ソリの位置合わせの時に使ったレバーブロックといい,今回の確保手順といい,転落者や転落車両のレスキューに関しては,これで実践的な訓練をやったも同然って感じ.

基地に持ち帰って装置を検分したところ,かなり重傷のダメージを受けていた模様.メーカーに修理方法を問い合わせてみるつもりだが,どっちにしろ基地にある部品でなんとかしなければならず,まだまだ試行錯誤が続くのは必定.

とりあえず,別の方法でもなんでもいいから,もう一個孔が開けば,第2ステージの試験を行うことはできるので,修理と並行して実施するのも手だな,と思う.


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