南極 一覧

タロとジロ

1959年の今日,JARE-1で活躍し,越冬を断念したJARE-2に収容されず置き去りにされた15頭のカラフト犬のうち,タロとジロの2頭の生存がJARE-3によって確認された日.当時は今頃オングル島に到着していたんだね.

ちなみに,映画の『南極物語』のラストシーンで,高倉健が演じる地質屋がJARE-3でタロ・ジロと再会しているけれど,そのモデルとなった菊池徹氏はJARE-1しか参加していない.実際にタロ・ジロを確認したのは,渡瀬恒彦が演じていた地球物理屋の北村泰一氏である.

南極の本来の生態系を保護するために,もともと南極に棲息しない動物の持ち込みは禁止されているので(「環境保護に関する南極条約議定:附属書II(1991発効)」),現在は犬ぞりは使われていない.

これに関連して,wikipediaの『タロとジロ』には『別の視点からみた南極の犬たち』という項目が立てられていて,興味深いことが書いてある.さらにこれに追加するとすれば,極地探検の歴史から見れば,犬は消耗品扱いされた時代が長く,それが常識でもあったということだろう.JARE-1の時代もまだ探検の時代といって良く,帰国したJAREに浴びせられた批判は,探検とはどういうことかが理解されていないことの裏返しでもあろうと思う.実際,JARE-1は置き去りにした犬たちのことを気遣っているのだから,動物愛護の視点で見れば,そういう探検の時代にあっても観測隊員たちはヒューマニストだったのである.


水かけ砕氷

最新鋭の砕氷艦「しらせ」でも今年の海氷は厚いままで手強いようで,昭和基地への接岸が危ぶまれていたところ,下記のような動画を見つけた.オングル海峡を北上するしらせの様子をJARE50の越冬隊員がオングル島から撮影したもの.この様子から位置関係を推察するに,なんとか昭和基地にたどり着けるようだ.動画では,新たに装備された散水装置が稼働している様子を見ることが出来る.


1年戦争と南極条約

年始の教授会.

昨日の業務ついでに極地研のWebサイトを眺めていたら,広報誌『』がすごいことになっているのを見つけた.昭和基地にガンダムとシャアザクが仲良く立ってる...キーワードは「南極条約」ってことのようで...

それにしても,表紙のジオラマのケールはこんな感じでいいのかなぁ...一応「© 創通・サンライズ」って書いてあるから,それなりの考証はしているんだろうけど...もしスケールを正しく作ってあるとすれば,モビルスーツは私が今まで思っていたよりも巨大だ.

富野氏と山内教授との対談も面白い.現実世界では白々しい「地球の許容量」って言葉も,ガンダムワールドを通してみると,ホントにそれらしく思えてくるし,「科学者のエゴ」っていう言葉にしても,環境保全を扱う我々の間では日常的に議論になっている泥臭い概念なんだけれど,これもまたガンダムワールド側から指摘されると,泥臭さ味がなくなって聞こえてくるから不思議.そういえば,昭和基地でプラネテスを見たときにも同じ感覚を抱いたことを思い出した.

ということで,ガンダムで育ったアラフォー世代の私には,ずっぽりツボにはまった記事だった.「南極観測や極地研の存在意義を伝えること、しかと承りました。」というシメの言葉があったけれど,サンライズ路線もありうるってことなのか,ちょっと期待してみたりもする.


NIPR

立川方面との共同研究の報告書を作成.中身が薄くてメゲる.予算執行期限が切れていたのを無理を言って通してもらった.申し訳ない.相方は今頃隕石探し中.


先生は今、南極にいます !!


CARN

Shaw先生からメール.だいぶ前に写真を提供したカナダ極地委員会の南極部会へのレポートのPDFが添付されていた.現物はこちらで入手可能.

夕刻,来年度以降の作戦会議.


IAIのPV by CoSTEP

Youtubeで公開,だそう.イントロのキャンパス風景は,ラジコンヘリによる超低空飛行空撮の映像.

画像の中に太めの自分がいるのに気づいた.ネパールで細くなったほうが本来の自分,だと思う.


次の展開

JARE50の越冬からもうすぐ釈放される武田康男さんの昭和基地発のBlogが今日で終わってしまった

空を撮って語らせることに関しては右に出る者なし,と思われる氏が,南極という大自然の中から直接発信してきた内容は,まさに宝箱のようなもの.この7月には,南極大学の講義のテレビ会議にも出演してもらったし,今年一年,随分楽しませてもらった.

なにやら次の展開もあるようで,乞うご期待.


難産?

ネパール出発直前に共著者にほぼ完成に近い原稿を回しておいたのだけれど,一月半ぶりに帰国しても音沙汰がない.どうしたんだろう?そうでなくても,すでに取り組み始めてから2年近くがたつというのに...

そうこうしているうちに,論文構成から論旨まで,我々の原稿とそっくりの論文がQSRに掲載されているのを見つけた.

Lloyd Davies, M.T., Atkins, C.B., van der Meer, J. J.M. , Barrett, P.J. and Hicock, S.R. 2009. Evidence for cold-based glacial activity in the Allan Hills, Antarctica. Quaternary Science Reviews, 28, 3124-3137.

筆頭著者のD論がベースになっているらしいのだけれど,Corresponding authorが van der Meer先生になっているところをみると,どうやら,なにかと複雑な事情があるらしい.投稿から受理まで2年近くかかっているというのも気になるところ.著者の事情もあるのだろうけれど,この手の「記載・解釈論文」の難しさを反映している,と解釈することもできる.いずれにせよ,自分が抱えている事情と重なるところがあって,なんだか親近感がわいてくる論文だ.

まあそれ以上に内容的に参考になる点は多い.論文構成や論旨が似ているところなんかは,今の執筆方針が正しいことを保証してくれているようでもあり.多少心強く思ったり.

はやいとこ完成させなきゃねぇ...


南極講演

数日前から北大で南極科学委員会国際生物シンポが開催されている.私は生物屋ではないが,南極,ということで極地研をはじめとして南極つながりの知人も多く来札しているので,ポスター会場などに顔を出したりしている(モグリ?).

午後,市民向け公開講座に出かけて,昭和基地とのテレビ会議や作家の立松和平氏の講演など聞いてきた.立松氏は,南極観測50周年を記念した企画で宇宙飛行士の毛利さんらと共に昭和基地を訪問しており,私は昭和基地で彼らVIP一行をホストしたという関係.

立松氏は科学者ではないので専門家としてのデータに基づいた説得力はないけれど,作家としての語り口や表現力には唸らされるものがある.昭和基地ではさんざん学術的な内容をレクチャーしたので,そのかいあってか,南極観測のサイエンスの面についてもそれなりに理解してもらえたようで,立松氏の語りを聞いていて,軸をはずすことがない安心感があった(ときどき間違えるけど致命的ではない).

私は職業柄,地球環境変動や温暖化の議論の考え方についてよく質問されるけれど,的確な回答を持ち合わせていないものの一人であることを常々自覚している.今日の立松氏の「語り」を拝聴して,その中の言葉にヒントを見つけた.それは「地球にやさしく」というけれど「地球は我々にはやさしくない」という言葉.これは,南極の厳しい自然を目の当たりにした立松氏の率直な感想であると同時に,アイスコアから読み取られようとしている地球の数十万年の歴史,そしてその激動の歴史の中で人類をはじめとして多種の生物が盛衰を繰り返してきたという事実がある,ということをわきまえた,そういう意味深長の言葉であるように思う.


1 5 6 7 8 9 10 11 57