ようやく

起学M2中間発表会の3回目.ようやく終わった.

こういう会で学術的に突っ込んだ議論をするのは無理.中間発表会の趣旨は最初からそうだけれど,修論の進捗状況を把握するのが目的.その意味では,アピールすべき内容はおのずと明らか.

教育理念と照らし合わせて評価するには,どのコースでどの課題にとりくんでいるのかという情報は絶対に必要.全員ごちゃまぜにやるのは良いけれど,評価する側としては,コースと課題ぐらいははっきりさせてほしかった.


遠隔「な」授業

アップルが「iTunes U」を開設というニュース.

音楽配信で一世を風靡しているITuneサイトで,米国著名大学の教育コンテンツを無料配信するというもの.iPodに取り込んで,移動しながらでも見られるらしい.

昨日のエントリーの趣旨と正反対の動きだけれど,面白そう.こりゃ,教育の黒船かもしれない.


体験「な」授業

教授から,東大出版会が出しているUPに松浦寿輝さんが書いているエッセーのコピーをいただいた.

高尚すぎてなんだかさっぱり理解できないけれど,畏怖と尊敬は感じることができる,そういう大学教養時代の講義が,今でも鮮烈な記憶として残っていて人生の糧となっている.昨今のパワポできれいな「プレゼン」授業にはそんな「体験」は望めない.

とまあ,こんな趣旨.

たぶん,私がUPを手に取って眺め読みしていても,読み飛ばしたに違いない記事だけれども,あらたまって,読め,と渡されてみると非常に面白い.

私が学部生だった頃も「プレゼン」授業はまだなかった.確かに私にも同じような「体験」があった.例えば中国文学の中野美代子先生とか,火山学の勝井義男先生とか.中野先生なんかは,話自体聞いていて面白かったので,ちんぷんかんぷん,という感覚はなかったけれど,講義の話の裏側にものすごく大きな世界が広がっていそうだという,空恐ろしさを感じることができた.

ちょっと前にこのエントリーにも書いたけれど,AACHの先達が築いてきた文化の片鱗に始めて触れたときにも,同じ感覚を抱いた.それが今日の原動力につながっている.

昭和基地から「南極教室」を発信していた時も,こんな体験をしたりして,きれいな「プレゼン」授業よりも,心の底に響く体験を伝えたいと思ったりした.

南極に出かける前に科学未来館で開催されていたサイエンス・トンネル展もそうだった.ドイツ最大の科学研究機関、マックスプランク協会が製作して世界各地を回っている展示だが,行ってみてその内容をさっぱり理解できなかった.でも,おれたちはこんなスゴイことをしているんだぞ,というアピールは伝わってきたし,科学の切り開く世界の深さを感じ取ることはできた.

今の自分に,大教授たちや偉大な先輩たち,そして世界の最先端ほどの迫力があるとはとても言えないけれど,教育に携わるものとして,「体験」をつたえる教育ということは,心の隅に控えておきたい事柄だと思った.


IYM復活

普段あまり使わないサーバーのメンテナンスをしていたら,いつの間にかRAIDの片割れのHDDがクラッシュしていたことが判明.急遽別のHDDにデーターを入れ替える.

このサーバーでは国際山岳年日本委員会のサイトも運用しているのだが,この委員会からなんだかよくわからない役職を申し付けられているわりには,南極出張中に何もしてこなかったので,修理のついでに久しぶりにサイトの構成に手を入れる.

これまで一番の懸案事項だったにもかかわらず実現できていなかったのはマルチランゲージ化すること.一応「国際」ということで,日本語以外でも国内の活動をアピールしておく必要があるだろうという理由による.今回,これこれを導入してバイリンガル化を実現.英文を書く手間をのぞけば,簡単に多言語を切り替えられるのでけっこう便利.

夕刻,環境科学院の学内説明会.会場が一杯になるほどの盛況ぶりだったにも関わらず,またまたうちへの希望者がいなくて,悲しい思いをする.思いのほか雪氷コース希望者が多いみたい.話を聞いていると,うちのほうが向いていると思う希望者もいたりしたが,うちと同レベルで院生獲得に低迷してるコースだし,横取りしちゃうのはマズいと思い,おとなしくしていた.


情報統制再び

asahi.comに「1次南極観測隊の上陸地点確認」というニュース

すでにこのBlogでも48次越冬隊が発見したことを紹介していたが,マスコミの発表としては初めて.今確認したら48次越冬中の隊員のBlogから,これに関連するエントリーが消えていた.ははぁ,これもニュース性のある観測隊取り扱い事項に相当する訳ですか…なんとも時代錯誤な処置ですなぁ.こんなことにも気をつかわなければならない隊員のみなさんのご苦労がしのばれる.

でも,すでに南極OB会北海道支部の報告会でしゃべっちゃったし…


花冷え

北海道の花冷えは「リラ冷え」とも呼ばれ,ライラックが咲く今頃にオホーツク高気圧の影響で冷え冷えとした日が続くことを指す(語源についてはこちら).北海道ではこの時期に小中学校の運動会が開催されることが一般的だが,今週末はそんな運動会が予定されていたところも多い.でも,あいにくの悪天で中止・延期となったところも多いらしい.


南極大規模融雪

asahi.comに南極大陸で大規模な融雪判明という記事.元ネタはNASAの記事(May 15, 2007)JPLでこちらで高解像度の画像をダウンロードできる.

手法はscatterometerというのを使って,氷床からのレーダ反射によって,融解した雪が再凍結して氷になるときの変化をとらえ,それで融雪が起きたと判断しているらしい.

実際に「大規模融雪」と判断された観測は2005年だけで,その後は2007年現在まで観測されていないとのこと.2005年の大規模融雪を近年の地球温暖化の影響だと決めるには,この一度だけの結果をどこまで信用するか,これが本当に最近のトレンドなのか,あるいはたまたま起こったことなのか,南極氷床の普通の姿なのか,という疑問を解消していく必要があると思われる.この衛星観測は2005年よりも前から行われていたみたいだが,それでもせいぜい10年間くらいの観測期間である.

いづれにしても,継続的観測は必要だろう.NASAは税金で実施されている観測・研究を社会に還元するのがうまい.おまけに予算要求にもつながっているし…

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NASAの記事画像から
昭和基地付近を切り出したもの

ちょっと気になったのが,昭和基地周辺の宗谷海岸露岩域のすぐ氷床側にも融雪を示す黄色い領域があること.この領域は,夏に気温がプラスになることはたまにあるし,融雪もある地域だから,2005年だけのことではないようにも思う.

ただ,これがこの年の特異な現象だったとすれば,もしかしたら越冬中に行ってみた氷洞と関係あるかもしれない?と思ってみたりする…出現時期も一致するし…

【5/29追記】氷河・雪氷圏環境研究舎の情報の広場にワシントン大の松岡氏がコメントを寄せている.

この結果は査読論文としてではなく、解説本で報告されているのみです。
http://www.amazon.com/Earth-Machine-Science-Dynamic-Planet/dp/0231125798/ref=cm_taf_title_featured?ie=UTF8&tag=tellafriend-20

とのこと.


なつかしい英文

こんなこんな感じで紆余曲折を経てきた論文をようやく手にする…どこかしら懐かしさを覚える英文…そりゃそうだ,自分で書いたものなんだから…しかし,思わずそう感じてしまうほど,この論文が出るまでに時間がかかった...

午後,起学専攻M2中間発表の2回目.1回目の感想にちょっとキツめのことを書いたので気を悪くした人もいるんじゃないかと,少し気になっていたけれど,今回も,全体としては同じ印象を受けた.ただ違ったのは,前回は所用でいなかった前研科長が出席していて,さかんに発表者に質問していたことである.それらはどれも共通して修論の大目的を問うものであったのだが,私としては,そこに起学の教育理念との整合性に気を遣っている意図を読み取ることができた.さしづめ,我が意を得たり,といったところ.


昭和基地Wiki論文

昭和基地越冬中,研究以外で最も時間を割いたのが昭和基地Wikiの構築である.せっかく仕事をしてきたのだから,なにかの形でレポートをまとめておきたいと常々思っていた.

昭和基地Wikiの構築は観測調書にのっとった正式な業務ではなかったし,どこかの部門の任務でもないので,越冬報告書に記載する項目すら与えられることはなかった.越冬隊長が報告書の「基地運営」という項目の中で簡単に触れてくれているらしいが,開発者自らの手によるものではないので,充分に書き尽くせているとは言いがたい.

ということで,一連の報告プレゼン業務が一息ついたということもあって,先週あたりからチョコチョコと昭和基地Wiki開発に関する論文を書き始めている.今日はいよいよ核心部の記述.ついつい主観的になりそうなところをぐっと抑えて客観的記述を心がける.でもやぱり,いいたい放題書きなぐってみたい衝動はおさえきれない.どうしよう...隊長を共著者に引き込んで,評価を考察してもらおうかしら.


北海洞

助教として初めての指導院生となるM1のゼミ発表.北大探検部が昨年道南で「北海洞」という道内最長規模の鍾乳洞を発見したのだが,本人はその立役者である.レビューもそれなりにしっかりしているし,鍾乳洞の基礎調査記録もある程度まとまっているので,すでに修論の2章分ぐらいは仕上がってしまっている印象.

新米助教にとってやさしくありがたい院生である.


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